10代で朝起きれず、「倦怠感」「頭痛」「めまい」などの症状に悩む起立性調整障害のご相談は多いです。
また、病院での治療は効果がみられず、「精神的な問題」と言われ、親御さんは困惑されることも多いのではないでしょうか。
臨床的に精神的な問題だけで、起立性調整障害となるワケでもなく、栄養サポートや中枢神経系の機能回復によって学校に行けることも少なくありません。
起立性調節障害のお子さんに親ができることは、食事を含めた栄養サポートが1つです。
ここでは栄養コンシェルジュ®2つ星を取得している岡が栄養サポートについて書いています。
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起立性調整障害について
起立性調整障害は、朝起きれないだけではなく様々な症状(頭痛、腹痛、めまいなど)がみられ、症状の重症度も個人差が大きいです。
また、起立性頻脈、起立性低血圧、血管迷走性失神など病態によって分類できますが、10代での発症は起立性調整障害と一括りにされることが多いように思います。
病院での治療方法も確立されておらず、結果として「精神科」を紹介されるケースも少なくありません。
起立性調整障害の病態について詳しくはこちらもご参考ください
起立性調整障害の栄養問題
起立性調整障害のお子さんをみさせていただいてきた経験では、ほとんどのケースで栄養サポートが必要です。
また、起立性調整障害の臨床報告を聞く機会もありますが、栄養のサポートによって回復するケースは多く聞きます。
エネルギー不足【炭水化物不足】
起立性調整障害のお子さんは、全てではありませんが、低体重で細くみえる体型が多いです。
遺伝的に体重が増えにくいケースもありますが、起立性調整障害を発症する以前から食事量が少なく成長期に必要な栄養を摂取できていないこともあります。
とくに女性では痩せ傾向がみられたり、間違ったダイエット法(糖質制限、1日1食など)によって、根本的な炭水化物不足がみられることも少なくありません。
なかにはお菓子、スィーツなどの嗜好品はよく食べると聞くこともありますが、血糖値が乱高下しやすく血糖値スパイクによって交感神経が過活動となる低血糖状態に陥れやすいです。
低血糖
血糖値は食事によって一時的に上昇しますが、体の生理的な反応(ホルモン分泌)によって一定の値を維持します。
エネルギー不足(炭水化物不足)は、血糖値を維持するために筋肉を分解して糖を生成します。
しかし、痩せすぎている場合は分解する筋肉もなく低血糖に陥りやすくなります。
また、精製された糖質の多いお菓子、ジュースなどを多く食べる場合は、血糖値を下げるインスリン分泌も鈍るため、結果として血糖値スパイクによる低血糖の期間がみられます。
低血糖になると血糖値を上げようとアドレナリン、コルチゾールといったホルモンを分泌し、交感神経も過剰に活動します。
そうなると自律神経失調症と呼ばれるような症状(疲労感、眠気、頭痛、めまいなど)がみられます。
また、交感神経の過活動によりエネルギーがさらに枯渇するといった悪循環に陥ります。
タンパク質不足
タンパク質は、体の組織、ホルモン、神経伝達物質などの材料となります。
そのため、タンパク質不足は体に必要な物質がが生成できません。
また、血糖を安定させるためにもタンパク質は必要不可欠です。
そもそもの食事量が少ない、噛む力が弱すぎて肉を食べないなどタンパク質が豊富にある食材を食べないとタンパク質不足となります。
鉄不足
とくに女の子は月経があるため、鉄が不足しやすく貧血症状が起立性調整障害と重なっていることがあります。
エネルギー不足にも共通しますが、偏食(肉類、野菜類などの摂取量が少ない)がみられると、男の子でも鉄が不足している可能性もあります。
鉄不足がみられる特徴として、「爪が反りかえっている」「まぶたの裏が白い」「唇の裏が薄い」などがみられます。
ビタミンB群、マグネシウムなどのミネラル不足
貧血は鉄不足だけではなくビタミンB12、葉酸といった赤血球の材料となる栄養素が不足してもみられます。
また、ビタミンB群は糖や脂質の代謝、神経伝達物質の合成などに関わり、不足すると睡眠の質の低下、疲労感などに関わります。
他にも亜鉛やマグネシウム、ビタミンCなど症状によっては不足しているケースもあります。
起立性調整障害の栄養サポート
起立性調整障害にかかわらず、食生活を見直すことは大事です。
基本的な食事としては、3食(主食、主菜、副菜それぞれ1品)食べ、余分な食品(嗜好品、油)を極力減らすことになります。
しかし、朝起きれずに体調も悪いため、朝食を食べること自体が難しいケースも少なくありません。
こどもの状態によってサポート方法は異なりますが、まずは朝起きれない低血糖症状の改善を目指していきます。
低血糖のサポート
起立性調整障害の場合は病的に血糖値が上がらないのではなく、血糖の急上昇、急降下および血液検査では異常とされない程度の血糖値の低さがみられます。
まず、食後の血糖値の急上昇を防ぐために水溶性物繊維もしくはMCTオイル(中鎖脂肪酸)を摂取していきます。
炭水化物(茶碗1杯)も摂取していくことで、エネルギー不足になることを防ぎます。
起立性調節障害のなかには昼食、夕食時に体調が回復し、量が多くなる(野菜が少なく、脂物、炭水化物が過剰)ことがあります。
朝食を食べないからとって、1食の量が増えてしまうと血糖の乱高下の原因にもなります。
食欲がある場合は、1食の量を増やさずに間食(食後から3時間後くらい)におにぎり、食パンなど炭水化物を補食していきましょう。
当然ですが、お菓子やスイーツといった嗜好品は補食にならないため、完全に断つ必要はありませんが嗜好品は極力減らします。
なかには、食欲自体がないケースもあるため、その場合はハチミツをスプーン1杯程度を起床時、寝る前に摂取していくと良いです。
貧血サポート
貧血は病院での血液検査でも認められるケースもあり、その場合は病院で処方される鉄剤を服用していくことも大事です。
ただ、長期的に考えると貧血を引き起こさない食生活を少しづつでも取り入ていきましょう。
貧血の場合、鉄のだけとれば良いワケではなく、タンパク質、ビタミンCも合わせて摂取していく必要があります。
また、人によってはビタミンB12、葉酸も必要です。
食事は一般的に推奨される主食、主菜(肉類:レバー、赤身の魚など)副菜(野菜)を摂取できることが大事になります。
※貧血はヘモグロビンの材料となる鉄、タンパク質不足が一因ですが、ヘモグロビンのエネルギー源は糖質のみであるため、主食の炭水化物の摂取も大切です。
食欲がない場合は、鉄、ビタミンB12、葉酸などを含んだサプリメントも利用していくことも検討すると良いです。
腹痛、下痢の主訴がある場合のサポート
便秘がみられるケースもありますが、低血糖サポートの水溶性食物繊維を摂取していくことで解消されることが多いです。
腹痛、下痢がある場合は、消化機能の低下が一因としてあります。
そのため、よく噛むことが重要となり、さらには食事に集中(テレビをみて食べる習慣があればテレビを消す)することが大事です。
咀嚼によって食材を極力小さい状態にして胃へ送り込むことで消化を助けます。
また、食事に集中することで唾液や胃酸も分泌されやすくなります。
また、胃酸を多く分泌できるよう酢(リンゴ酢、黒酢など)梅干しなども食事にくわえていくと良いでしょう。
下痢がみられる場合は、水溶性食物繊維であると便が固まらないため、初期段階は不溶性食物繊維が良いです。
食事のサポートは大事
カイロプラクティック心では、起立性調節障害おにいて食事サポートも重要視しています。
ただ、こどもの食生活を変えるためにはご家庭の協力が必要不可欠です。
こどもの好き嫌い、胃腸障害の併発など様々な理由によって、上手く食事サポートができないこともあります。
しかし、出来ることを少しづつでも積み重ねていくことが早期改善につながります。
起立性調節障害のお子さんに何かしてあげられないかとお探しの方は、ぜひ食生活の改善に取組んでみてください。
サプリメントについては、参考に記事中に表示してあります。
カイロプラクティック心はサプリメントを販売しておらず、参考に購入できるサイトを紹介しておりますが、ご自身で選んでいただいて構いません。
起立性調節障害の栄養について、質問、ご不明な点があればご相談ください。
オンライン(ZOOMを利用)相談は、WEB予約も可能です。
※約30分程度です。
投稿者プロフィール

- カイロプラクター
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伊勢市小俣町でカイロプラクターをしています。
病院では異常が見当たらず、どこに行っても良くならなかった方が体調を回復できるようサポートします。
機能神経学をベースに中枢神経の可塑性を利用したアプローチで発達障害、自律神経症状、不定愁訴にも対応しています。
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