外傷が脳活性化領域に影響

パフォーマンスアップ

スポーツ外傷(前十字靭帯断裂、足関節捻挫など)にも神経系のリハビリが大切【選手・指導者向け】

カイロプラクティック心は、脳機能をベースとした徒手療法を取り入れています。

一見スポーツ障害や腰痛、肩こりなどと脳機能は結び付かないと思われがちですが、症状改善には重要なカギとなることも少なくありません。 

アスレティックトレーナー(スポーツ現場で選手が受傷したときの応急処置や傷害の評価、復帰までのリハビリプラン、傷害の予防までこなす)の方もスポーツ外傷と脳活性の変化について報告されている研究を紹介していました。

足関節捻挫(慢性足関節不安定症)前十字靭帯、脳震盪などのスポーツ外傷によって、運動野、いくつかの感覚皮質、認知プロセスなど様々な場所で脳の機能変化が認められています。

また、外傷ではないケース手首の痛み、腱板損傷(野球肩、五十肩などに関わります)でも変化がみられており、引用文献などでは腰痛、変形性膝関節症にも脳機能の変化が確認されていました。

このようにスポーツ外傷だけではなく、スポーツ障害から一般的な症状まで脳機能の変化がみられています。

脳の機能的な問題が起こるとどうなる?

この動画の少年は、アイスホッケー中の脳震盪後に光過敏・頭痛・歩行困難・左手が動かないなどの症状が現れたそうです。

脳機能が機能低下することで絶えず正確に働いていた神経ネットワークにエラーが生じると様々な症状がみられることがあります。

ちなみにこの動画は、カイロプラクティック機能神経学の第一人者であるDr.キャーリック治療風景です。そして、この少年はアイスホッケーに復帰することができました。

ここまでの症状が現れなかったとしても厳密に脳機能を評価し、感覚機能や運動機能の低下がみられれば、パフォーマンスがなかなか向上しない、ケガが多くなる、症状の改善が長引くなどの徴候がみられます。

スポーツ外傷や障害で脳の活動に変化がおこる理由

身体の運動は、脳からの指令だけで行われません。

身体の至る所にある感覚受容器(筋紡錘、腱紡錘、パチニ小体、ルフィ小体など)が筋肉の長さや張力、地面の凹凸、関節の曲がっている角度などを脳に伝え、それらの情報を統合して最適な運動が行われます。

※感覚受容器は外からの刺激を全て含むため、視覚、嗅覚、前庭系(平衡感覚)なども統合されます。

〇サッカーでヘディングの競り合いをした時の感覚受容器の働き

視覚情報でボールの位置へ身体を動かし、ジャンプ動作を最適化するため、筋紡錘、腱紡錘など筋肉の張力や長さの情報を脳へ送っています。さらには競り合っているため、押された圧や振動なども脳に伝わり最適な運動を指示します。そして、着地時には地面の傾斜や着地したときの関節位置、頭部の位置など情報が送られバランスを崩さず次の動作に移れます。

※わかりやすく簡単に説明しましたが、もっと多くの情報を脳に伝えています。

このように脳の活動は、一方向(指令)ではなく双方向(統合)となっています。

脳(神経システム)を正常に保つためにコンスタントな刺激が必要

色々な刺激を統合しているため、日常的にはコンスタントに感覚刺激が脳に入力されています。そのことで、無意識下では学習された情報も統合され適切な運動が選択されます。

そのなかでも重力下で2足歩行で生活する人は、姿勢維持、運動時の刺激(固有受容器:筋紡錘、前庭系)をコンスタントに入力され、結果として脳機能維持にも役立っています。

このようなことから、筋骨格系の障害だけではなく脳疾患、精神疾患などにも運動療法が良いとされているのではないでしょうか。

損傷や可動域低下などで適切な刺激が伝わらない

感覚受容器は、身体のあらゆる組織に分布しているため、損傷によって固有受容器自体もダメージを受けます。それが、結果として脳への刺激が減少し、脳に影響を及ぼします。

また、外傷や障害によって関節を固定、もしくは関節の可動域低下が長期に及ぶと固有受容器への刺激が減少するため、相対的に脳が活性化されません。

これらの刺激減少により、研究で報告されている脳活性変化がみられると考えられます。

神経系のリハビリとは?

脳には可塑性があります。

脳の可塑性は個体の成長,学習・記憶,神経の再生など多くの現象にかかわることが知られている。

~中略~

神経細胞同士の接合点であるシナプスにあるパターンの電気インパルス (短時間の高頻度刺激) を与えると,シナプス伝導効率が変化し,さらに,このシナプスの伝導効率がしばらくの間保持される現象が起こる。これはシナプスの可塑性を表すが,代表的な例は,海馬 (脳の記憶固定に関係する部位) のニューロンにおけるシナプス長期増強現象である。

引用元:コトバンク

脳活性にネガティブな変化がみられたとしても、脳の可塑性によって回復させることができます。

そのため、スポーツ外傷や障害によってみられる脳の活性の変化に対しても神経系のリハビリによって回復可能です。

神経系のリハビリは、コンスタントな刺激が不足していることが一因でもあるため、コンスタントな運動療法による刺激でも脳の可塑性が生じます。

脳卒中後の患者に対して2~3週間の期間(1日3時間)積極的に麻痺側の腕を使うリハビリを実施した研究では、両側の大脳半球の感覚野と運動野に白灰質の増加が認められ、さらに海馬でも増加がみられました。

参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2574634/

カイロプラクティック機能神経学での神経系リハビリ

カイロプラクティック機能神経学は、どこの部分に問題があるかを評価して不活性化している部分を絞ってアプローチしていきます。

もちろん、先に説明したコンスタントな運動療法でも十分回復可能ですが、問題部位を絞ってアプローチしたほうが効果的なリハビリが可能です。また、動画のように2次的な症状が現れてしまった場合は、とくに問題部位を絞ったほうが良いでしょう。

スポーツ外傷、スポーツ障害は損傷を受けた組織を最優先に回復させることが大切です。そして、関節可動域および正常な関節運動を回復させることが重要となります。

なぜなら、末梢の情報を正確に脳へ伝えるためには、末端の関節位置感覚、筋紡錘の状態も正常にしておく必要があるからです。

ポイントを絞った神経リハビリ

運動を一つとっても色々な脳領域を通過して複雑な動きをスムーズにこなすことができます。(脳辺縁系(やる気、行動をおこす)⇒大脳皮質⇒視床⇒小脳⇒脳幹⇒脊髄のα運動ニューロン)

脳卒中患者のように生活レベルの向上であれば、おおまかな運動でもその人にとって最適な刺激であれば問題ないと考えられます。しかし、スポーツ選手の場合、身体は十分に動いたとしても微妙な感覚のズレが積み重なり、ケガや障害に繋がりかねません。

そのため、とくにスポーツ選手にはカイロプラクティック機能神経学のようなアプローチは有効です。

痛みがなくなれば競技復帰ではありません

神経系の問題は見た目では判断できないため、痛みがなくなる時点で競技復帰させてしまうことも少なくありません。それが結果としてパフォーマンスがなかなか上がらない、ケガが多くなるなどがみられるようになります。

捻挫後からケガが多くなった、外傷後の痛みはないのにパフォーマンスが上がらない、肩を痛めてなかなか痛みが改善されないなどケガ後の状態が良くないケースは、専門家に相談しましょう。

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