ジストニア

局所性ジストニア(音楽家・スポーツなど職業と関連)原因、対処法

局所性ジストニアは、体の一部位(眼瞼痙攣【眼瞼】痙性斜頸【首】書痙【手】など)が自分の意思とは関係なく動いてしまう神経疾患です。(フォーカル・ジストニアと呼ばれることもあります)

一般的に知られているイップスと類似点もあり、局所性ジストニアと合わせて研究されています。

イップスを含めたスポーツ関連性ジストニアはこちらをご参考ください。

局所性ジストニアの発生要因には、職業が関与している例もあり職業性ジストニアまたは職業性攣縮と呼ばれることがあります。

また、職業の中では音楽家には多いです。(スポーツ選手ではゴルフや野球競技でみられることが多いようです)

日常生活には大きな支障がなくとも、職業で必要な動きができないケースは、大変な困難を極めストレスのかかる病態です。

また、専門医も少なく精神疾患とされたり、ただの腱鞘炎されたりするなど適切な処置を受けれないケースも少なくありません。

ここでは局所性ジストニアの職業性ジストニアについて解説すると共に、機能神経学的なアプローチ方法をご紹介します。

局所性ジストニアの基礎知識

成人で発症するほとんどが局所性ジストニアとされ、身体の7部位中の一部分が自分の意思とは関係なく動いてしまう神経系が関わる運動障害です。

主な局所性ジストニアは以下のとおりです。

  • 眼瞼痙攣(まぶたのジストニア)
  • 痙性斜頸(頸部のジストニア)
  • 痙攣性発声障害(声帯のジストニア)
  • 書痙(手のジストニア)
  • 指のジストニア(ピアニストに多い)
  • 足のジストニア(ドラマーに多い)

スポーツ選手では、ゴルフスイング、投げる動作、ランニング中に力が入らないなどがみられます。

職業が要因となる

局所性ジストニアは、要因の1つに職業と関連すると言われているため、職業性ジストニアとも呼ばれます。

関連する職業は以下のとおりです。

  • ミュージシャン
  • タイピスト
  • 美容師
  • 画家
  • 靴屋
  • 仕立て屋
  • 作家
  • スポーツ選手(ゴルフ、射撃、卓球)

参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5502053/

これらは、細かい運動コントロールが必要であり、一定の作業を維持するための姿勢を継続したり、身体の一部を反復して使う動作にみられたりするする職業です。

しかし、同じ職種の人が全てジストニアを発症するワケではなく、特定の動作によってジストニアが顕著に現れることが特徴なため、動作特異性ジストニアと表現されることも多いです。

音楽家(ミュージシャン)に多い

ミュージシャンの手および指の局所性ジストニアは、ピアノ、バイオリン、ギター、フルート、クラリネット、ホーンなど色々な楽器で報告されています。

また、手だけではなく管楽器奏者(トランぺット、ホルンなど)のアンブシュアによる、唇、舌、表情筋のジストニア、歌手の声帯のジストニア、ドラマーの足のジストニアなど発症する部位は多様です。

これらは、過度に反復した動作が影響しているとされ、特異的な動作によってジストニアが発現します。(ある動きをしようとすると意思とは関係ない動きをしてしまう)

発症率は?

一般的に動作特異性ジストニアは、34,00人に1人とされていますが、海外の調査報告ではプロの音楽家の発症率は100人に1人と報告されています。(参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12945651

ジストニアを発症する傾向としては、男性が女性の4倍の頻度で発症し、40代に多くみられます。

スポーツ関連のジストニア(SRD)

スポーツ関連のジストニアの研究では、ゴルファーとランナーに関する報告が多いです。

他の競技では、アイススケート、テニス、卓球、ピストル射撃、ペタンク、野球、ビリヤードなどの報告があります。

「イップス」という用語は主に、細かい運動制御を必要とするショット(チッピングやパッ​​ティングなど)を実行する際のゴルファーの運動障害を表すために使用されてきたようです。 

ここ数年では、スポーツ関連ジストニアの報告も増えてきました。

スポーツ関連ジストニアは、アスリートのパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があり、キャリアを早期に終わらせてしまう可能性があります。

まだまだ未解明の現象ですが、運動学的分析やその他の神経生理学的手法を使用する必要性が考えられています。

職業性ジストニアの特徴

ジストニアは中枢神経の機能異常とされていますが、MRIやレントゲンなどの画像診断では異常がみられません。(異常がみられる場合は、他の疾患が原因のジストニアです)

そのため、他の疾患と鑑別するための検査は行われますが、職業性ジストニアの診断は以下の特徴の有無が判断基準になります。

  • 動作特異性がみられる(ある動作を行うと不随意運動がみられる)
  • 感覚トリック(症状のみられる部位以外を触ったりすると症状が治まる)
  • 定型性(同じ部位が同じような不随意運動がみられる)

音楽家の場合は、特定の楽器の演奏または歌うことでジストニアが出現します。

また、特定のフレーズのみ出現したり、他の楽器や他の動作でも振戦および動作性ジストニアがみられるケースも職業性ジストニアと認められることがあります。

病院での治療方法

職業性ジストニアは、生活に支障が現れていないとしても職業上の困難がみられるため、科学的根拠よりも結果のみられる治療方法を重要視する傾向はあります。

現在、局所性ジストニアにはボツリヌス注射が有効とされていますが、改善は限定的で困難とされています。

最近では、外科的手術(視床の凝固巣をつくる定位脳手術)が行われ、改善される報告があります。

しかし、この手術を行える施設は世界でも少ないです(参考ホームページ:東京女子医科大学:脳神経外科

その他の治療方法

職業性ジストニアは、結果を重視する傾向があるため、様々な治療方法が試されています。

  • リハビリ(練習の休止・バイオフィードバック療法・ミラーセラピー・ピアノを使った再教育など)
  • 経頭蓋直流電流刺激
  • 反復経頭蓋磁気刺激
  • 小脳への経頭蓋電流刺激

参考文献:ジストニア診療ガイドライン

カイロプラクティック心の機能神経学的アプローチ

局所性ジストニアは、まず神経内科、神経外科での診断してもらうことが第一選択となります。

脳血管障害、脳炎などの脳疾患、先天性代謝異常、遺伝性などの器質的(身体組織自体の異常のため、病院の検査で異常な画像、数値がみられます)な疾患があれば、病院での治療が最優先です。

仮に腱鞘炎のような筋骨格系の問題であれば、カイロプラクティック施術で十分に対応可能です。

カイロプラクティック心では、局所性ジストニアであっても器質的な異常がなく「病院であまり改善傾向がない」「さらに早く良くなるなら受けてみた」という方の想いに応えていきます。

ジストニアの原因

頸部ジストニアの原因は解明されておりませんが、中枢神経系の異常が考えられおり、大脳基底核の運動ループの機能異常が仮説として有力です。

引用元:大脳基底核による運動の制御

脳機能医工学研究センターの高草教授は、「大脳基底核による運動の制御」において、以下のことを述べられています。

大脳皮質―基底核 ループの異常活動にともなう不要な運動プログラムの生成 と,皮質~網様体投射系の亢進,そして,姿勢や筋緊張の制御に関与する網様体脊髄路系の機能異常が存在すると筆者は想定している.また、職業性ジストニアは、動学習や学習の強 化との関連が強い.運動プログラムの生成には,大脳皮質―基 底核ループだけでなく、小脳も重要な役割を担う(Fig. 8A)。 また,体幹・上下肢の運動機能の制御には小脳も重要な役割を担うことから,ジストニアの病態を修飾する因子として小脳の機能異常を考慮する必要がある。

身体は、脳による姿勢および運動制御によって、スムーズな動きが可能となります。

そのため、ジストニアの改善のカギとしては、脳のどの機能(大脳、脳幹、小脳など)が上手く働いていないことでジストニアの症状が現れているかを見極めることです。

左右の脳のアンバランス

局所性ジストニアの一因に、大脳半球間の異常な抑制が示唆される研究報告があります。

参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6149539/

解りやすく言うと、左右の脳バランスが崩れていることが考えられます。

カイロプラクティック機能神経学には、ヘミススフェリシティ理論という左右の脳バランスの崩れに対して評価、アプローチする方法があります。

脳機能を評価・アプローチ

姿勢、瞳孔収縮、眼球運動など神経学検査によって、左右の脳のアンバランスを評価します。

また、質問票によって脳領域の機能低下が考えられる部位を把握し、身体評価の参考にもしています。

そして、どの階層(脳幹、小脳、大脳など)の不活性化がみられるかを評価します。

ただ、神経学的な異常は中枢神経にだけアプローチするだけではなく、中枢神経系と相互作用なる末梢部分(関節や筋肉など)へのアプローチも必要です。

なぜなら、末梢部分からの情報も処理することで、さらに精度の上がった情報をフィードバックし、細かい運動が行えます。

そのため、脳の機能評価だけではなく、末端部の関節の状態、筋肉の機能も評価することが大切です。

アプローチ方法

関節および筋肉のアプローチは、筋骨格系のスペシャリストであるカイロプラクターの得意とするところです。

また、関節や筋肉などには固有受容器(脳に情報を送るセンサーの役割)があり、それらにアプローチしていくことで脳機能を回復させていく刺激にもなります。

さらに中枢神経の不活性の部分に刺激を入れることで、機能低下した脳を活性化させます。(視床⇒光や色、脳幹⇒臭い、音など、小脳⇒回転させる、眼球運動など)

機能神経学にマニュアル的なアプローチ方法はなく、反対にマニュアル化されたアプローチに誰もが効果はみられないと考えられています。

機能神経学的アプローチは、身体評価に基づき一人ひとりに合わせたオーダーメイドプログラムです。

筋骨格系を調整することで神経の命令をスムーズにし、感覚エクササイズで神経ネットワークの誤動作を修正する施術方式です。

感覚エクササイズについてはこちら

頸性ジストニアについてはこちらもご参考ください

局所性ジストニアでお困りの方へ

局所性ジストニアは、専門医も少なく仮に病院を受診できたとしても解決の糸口がみつからないケースも少なくありません。

カイロプラクテイック心では、そのような方に脳機能の視点から解決できるようサポートさせていただきます。

遠方の方でもZOOM(オンライン)を可能な範囲で利用しながら、局所性ジストニア改善に向けてアプローチいたします。

オンラインで無料相談も承っておりますので、よろしければご利用ください。

 

ZOOM相談1,000円

投稿者プロフィール

カイロプラクティック心
カイロプラクティック心カイロプラクター
伊勢市小俣町でカイロプラクターをしています。

病院では異常が見当たらず、どこに行っても良くならなかった方が体調を回復できるようサポートします。

機能神経学をベースに中枢神経の可塑性を利用したアプローチで発達障害、自律神経症状、不定愁訴にも対応しています。

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