ジストニア

頸部ジストニア(痙性斜頸)は改善できる?機能神経学からみた原因とアプローチ

首が、勝手に動いてしまう。

意識していないのに横を向いてしまう。

止めようとしても止められない。

病院では「ただのクセ」「原因がわからない」などと言われることもあります。

不安ななか、いくつもの病院をめぐって、やっと病院で「頸部ジストニア(痙性斜頸)」と診断された方もいらっしゃいます。

私は、これまでの臨床の中で、同じようなお悩みを抱えた方に何度もお会いしてきました。

「周りに理解してもらえない」

「治療法があると聞いたけど、本当に良くなるのか不安」

そんな声を、たくさん聞いてきました。

このページでは、頸部ジストニアについて、私がふだん現場で行っている「機能神経学(脳や神経の働きから体を見ていく学問)」の視点から、原因と対処法をお伝えします。

こんなお悩み、ありませんか?

  • 精神的な問題と言われた
  • 首をふるクセと言われた
  • 頸部痛の処置しかされていない
  • 数ヶ月の治療を受けたけど効果がなかった
  • 良くはなってきたけど、もう少し首が揺れる状態を改善したい

一つでも当てはまるものがあれば、このまま読み進めてみてください。

頸部ジストニア(痙性斜頸)とは

頸部ジストニアの定義は「一定のパターンを持った、不随意な筋収縮による頭部の不随意運動や頭位の異常」とされています。

頸性斜頸とも言われますが、欧米では頸部ジストニアと呼ばれることが多いです。

また、局所性ジストニア(体の一部だけに起こる不随意運動〔自分の意思とは関係なく起こる筋肉の動き〕)の一つとされています。

自分の意思とは関係なく首の筋肉が収縮し、頭部の振戦(不随意でリズミカルな震え)および緩徐反復運動(ゆっくりとして動き)により、首の回旋(左右を向く動き)、側屈(左右に傾く動き)、屈曲・伸展(前後に倒れる動き)がみられます。

他の局所性ジストニアと違い、痛みを伴うことが多いのも特徴です。

そのため、病院によっては「単なる頸部痛」として処置されているケースもあります。

これは、診察時に症状が出ないことも多いためです。

他の特徴は、以下のとおりです。

  • 一定の姿勢・動作パターンで症状が現れる
  • 特定の感覚刺激(首のどこかに触れる、視線を動かすなど)で一時的に軽くなる
  • 起床時は症状が落ち着きがある
  • 主動筋と拮抗筋の関係にある筋肉が同時に収縮する(例えば太ももの前後が同時に収縮する状態であり、強い緊張状態となります)
  • 動作に不要な筋肉の不随意運動
  • 起床時に症状が改善される

なぜ治りにくいと感じるのか?原因を知る

頸部ジストニアの原因は、まだ完全には解明されていません。

これは、この病気に関する現在の医学的な限界でもあります。

ただし、中枢神経系(脳と脊髄)の異常が関係していると考えられています。

なかでも、大脳基底核(だいのうきていかく:運動を調整する脳の一部)の機能異常が有力な仮説であり、脳機能へのアプローチにより回復している事例もあります。

身体の動きを例えるなら、体は「オーケストラ」のようなものです。

脳が指揮者となり、筋肉や関節は各パートの演奏者です。

指揮者の指示が乱れると、演奏者がどれだけ上手でも、音がずれてしまいます。

頸部ジストニアも、これと似たことが起きている可能性があります。

筋肉そのものより、指示を出す脳の側に誤作動が起きている状態と言えます。

大脳基底核の役割

頸部ジストニアの原因は解明されておりませんが、中枢神経系の異常が考えられおり、大脳基底核の運動ループの機能異常が仮説として有力です。

引用元:大脳基底核による運動の制御

脳機能医工学研究センターの高草教授は、「大脳基底核による運動の制御」において、以下のことを述べられています。

大脳皮質―基底核 ループの異常活動にともなう不要な運動プログラムの生成 と,皮質~網様体投射系の亢進,そして,姿勢や筋緊張の制御に関与する網様体脊髄路系の機能異常が存在すると筆者は想定している.また、職業性ジストニアは、動学習や学習の強 化との関連が強い.運動プログラムの生成には、大脳皮質―基 底核ループだけでなく、小脳も重要な役割を担う(Fig. 8A)。 また、体幹・上下肢の運動機能の制御には小脳も重要な役割を担うことから、ジストニアの病態を修飾する因子として小脳の機能異常を考慮する必要がある。

身体は、脳による姿勢および運動制御によって、スムーズな動きが可能となります。

そのため、ジストニアの改善のカギとしては、脳のどの機能(大脳、脳幹、小脳など)が上手く働いていないことでジストニアの症状が現れているかを見極めることです。

もう少しかみ砕いて説明すると大脳基底核の働きは、運動を「洗練させる」役割を持っています。

例えば、野球でバットを振ろうとしたとき、ボールがストライクゾーンから外れていると気づいた瞬間、スイングを「止める」ことができます。

この「止める」判断を担っているのが、大脳基底核です。

このように状況に合わせて動きを抑える(ブレーキの役割)だけではなく、適切な運動を選択して行動します。(アクセルの役割)

これを頸部に当てはめると、首を曲げるときに本来は首を曲げる筋肉が収縮(アクセルが踏まれる)それに伴い適切なスピードで動けるよう首を伸ばす筋肉も適切に働きます(ブレーキが踏まれる)

しかし、頸部ジストニアではブレーキの上手くコントロールされないため、収縮が繰り返されるてしまいます。

小脳の関与

近年の研究では小脳(体のバランスや細かな運動の調整を担う部分)の過活動が、頸部ジストニアに関わっている可能性が指摘されています。

※これは一部の研究による示唆であり、すべての方に当てはまるものではありません。

左右の小脳のバランスが崩れると、運動を抑制する力が弱まります。

結果として、不随意な筋収縮が起こりやすくなると考えられています。

前庭系・視覚系との連携

首の筋肉は、頭を安定させる働きを持っています。

そのため、視覚(目からの情報)や前庭系(内耳のバランス感覚)との連携が欠かせません。

同じ方向への反復動作が多いとこれらの感覚に偏った刺激が入りやすくなります。

それが、症状に影響することもあります。

結果として、首の震えや不随意な動きにつながると考えられています。

臨床現場で感じてきたこと

ここで少し、私自身の臨床の話をさせてください。

機能神経学の視点で「頸部ジストニア」に対応して感じてきたことがあります。

少なからず、機能神経学は魔法ではなきため、1回みただけではわからないことが多く、遠方からこられて「数回で良くしてください」という期待に応えることはできません。

ケースによっては、筋肉が緊張していたり、過剰な筋過活動を抑制したりすることで、施術やアプローチ後に症状が緩和されることはありますが、それは一時的な反応です。

「頸部ジストニア」と同じ診断名であっても「腹部の迷走神経刺激」により過剰な筋活動が抑制されることもあれば、眼球運動を組み合わせることで首の震えが緩和されることもあります。

臨床の初期の頃は「一日でも早く」と焦った気持ちもありましたが、脳が変化するには時間、反復回数、頻度が重要であることは研究でも示唆されており、日々の臨床でも実感しています。

そのため、日常に支障をきたさないレベルまで落ち着いた人達の共通点は、良い反応がみられたケア方法を地道に1~3ヶ月は続けられた方です。

だからこそ、「頸部ジストニアだから、これをやる」という画一的なアプローチではなく、その方の脳のどこに機能低下があるのかを見極め、自宅でもできる方法も考えることを大切にしています。

残念ながら「数回で何とかしてほしい」という方は、お力になれないため、お断りさせていただきます。

病院での主な治療法

頸部ジストニアは、神経内科・神経外科での診断が第一選択ですが、専門性のない医療機関では診断されないケースも多くあり、「頸部ジストニア」の診断経験のある病院の受診をおすすめします。

また、鑑別診断も重要であり、脳血管障害や脳炎などの脳疾患、先天性の代謝異常など器質的な疾患(体の組織そのものに異常があり、検査で数値や画像に現れる病気)がある場合は、病院での治療が最優先になります。

代表的な治療法には、以下のようなものがあります。

  • ボツリヌス注射(筋肉を弛緩させる注射。ある研究では寛解率30%という報告がありますが、これは特定の研究における数値であり、効果には個人差があります)
  • 抗コリン薬(症状が軽い場合の第一選択薬)
  • EMG(筋電図)バイオフィードバック療法やストレッチなどのリハビリ症状が重く、他の治療で改善がみられない場合の外科的手術(定位脳手術、選択的末梢神経遮断術など)

ボツリヌス注射だけではなく、EMG(筋電図)バイオフィードバック療法、ストレッチ、エクササイズなどのリハビリが併用されることによって、生活の質が向上するという研究報告もあります。

※EMGバイオフィードバック療法は、筋電図を用いて視覚的にどこの筋肉が活動し、緩んでいるかを確認しながら体を動かし不随意の運動を減らしていくリハビリ方法です。

「数回で良くしたい」という方は、手術をお勧めします。

参考文献:ジストニア診療ガイドライン

なぜ病院の治療だけでは物足りなさを感じる方がいるのか

ここまでお伝えした治療法は、いずれも医学的に確立されたものです。

決して否定するものではありません。

また、手術は症状が治まった症例報告も多くあり、当院でも数名の方は手術をすすめさせていただき、回復したご連絡をもらったことがあります。

ただ、ご相談に来られる方の多くは「注射やお薬で症状は抑えられている。でも、根本的に良くなっている感じがしない」「もっと動けるようになる方法はないのか」などより良くなる方法を求められています。

これは、決して不思議なことではないと、私は考えています。

「なぜその誤作動が起きているのか」という、脳の働き方そのものにアプローチする視点は、まだ一般的ではありません。

その痛みや不随意運動、原因は首そのものではなく、脳の誤作動や、脳を動かすための栄養不足にあるかもしれない。

私は、そういう視点からサポートしています。

器質的な異常がなく、「病院であまり改善傾向がない」「病院の治療と並行してできることを探している」

そんな方の力になりたいと思っています。

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カイロプラクティック心の機能神経学的アプローチ

機能神経学(脳・神経の働きから体を見ていく学問)では、大切にしていることがあります。

「情報を処理する側(脳を含む中枢神経)」と「情報を送受信する側(関節や筋肉)」その両方を、正常に機能させることです。

基本的に脳を活性化させる方法は運動が中心となりますが、情報を送ったり、受け取ったりする関節や筋肉などの問題(関節の異常な動き、筋肉の伸長性の低下など)がみられると脳を活性化させるだけでは不十分と考えられます。

そのため、初期の段階では施術も重要です。

検査・評価

まず、脳のどの機能(大脳、脳幹、小脳など)がうまく働いていないかを検査を通じて見極めます。

頸部を動かす筋肉や関節の状態も、合わせて確認します。

頸部は体でも上位に近いため、頸部ジストニア以外の人でも頸部以外の問題で頸部にストレスがかかっていることが多いです。

そのため、頸部以外の問題によって頸部にストレスをかけていないかも改善には重要なポイントとなります。

この点においては、筋骨格系のスペシャリストでもあるカイロプラクターは得意とするところです。

施術(構造面へのアプローチ)

関節や筋肉への施術には、固有受容器(関節や筋肉にある、体の位置を脳に伝えるセンサー)を介して、脳を活性化させる側面があります。

固有受容器からの情報が整っていることで小脳を介した運動の修正は、より正確になると考えられます。

そのため、初期段階では、とくに施術が有効だと考えています。

また、ストレスが症状悪化の一因となっている場合は、頭蓋療法や頸部へのアプローチによって迷走神経(リラックスに関わる神経)が働き、症状が和らぐケースもあります。

ここをクリックすると伊勢市カイロプラクティック心のアプローチ方法のページに移動します。

感覚エクササイズ【中枢神経系の活性化】

検査で見えてきた機能低下の部分に対して、段階的にエクササイズを行っていきます。

音に合わせた動き。

ゆっくりとした大きな動き。

眼球を素早く動かすサッケード(視線を素早く移動させる眼球運動)。

こうした大脳基底核や小脳の働きに関わる経路を使ったアプローチはもちろん行いますが、脳の神経ネットワークは複雑に絡み合っているため、必要に応じていくつかの英草サイズを組み合わせていきます。

また、同じ内容を繰り返すのではなく、少しずつ難易度を上げながら進めていきます。

詳しくはこちらもご覧ください。

栄養面のサポート

脳を働かせるには、エネルギー(糖質)が必要です。

また、神経伝達物質(脳内で情報をやり取りする物質)をつくる材料であるタンパク質やビタミンB群が不足しているとエクササイズの効果が出にくくなることがあります。

倦怠感やめまい、起床時の頭痛。

便秘や下痢といった症状を併せ持つ方には、栄養状態を見直すアドバイスもお伝えしています。

改善に向けて期待できる変化

脳の可塑性(かそせい:神経が新しいつながりを作り、働き方を変えていく力)を利用した再学習です。

脳の可塑性について詳しくはこちら

これが、改善のカギになります。

これは子どもの成長と同じです。

たとえば、小学1年生のときに行う学習や運動は、小学6年生では簡単すぎて成長につながりません。

こどもの成長に合わせて学習内容は難しくなり、複雑な運動をこなし、こどもの目標に合わせた難易度に設定し、あらゆる経験を積むことで「医師」「アスリート」「エンジニア」などなりたい大人に成長します。

「宿題をしない」「授業をさぼる」「練習継続できない」などが日常化すれば、成長しないことは誰もが理解できることではないでしょうか。

脳の可塑性は新しいことを経験し、次に進むために必要な反復回数、頻度が重要であることは、研究でも示唆されています。

段階的にエクササイズの難易度を上げながら進めることで、以下のような変化がみられることが多いです。

  • 首の不随意な動きが落ち着いてくる
  • 痛みを気にせず、人と会う時間を楽しめるようになる
  • 「また症状が出るのでは」という不安が和らぐ

※改善の度合いには個人差があります。

すべての方に同じ結果を保証するものではありません。

アプローチの目安

脳の可塑性を活かすには、一定の頻度が重要です。

1回の施術・エクササイズだけで完結するものではなく、週1~2回/3ヶ月が目安となります。

※ご自宅でのセルフケアも必須です。

集中的に行う場合

1日2回(午前、午後に1時間)を週5回、集中的アプローチしていきます。(エクササイズ中心)

※身体評価は別日に行います。

とくに遠方の方で数ヶ月通うことが難しい方は、集中的にエクササイズを可能な限り行います。

5日間で完全に症状が改善するワケではありませんが、集中コースで改善の見込めるエクササイズを絞り込み、自宅でのセルフケアとフォローアップで症状改善を目指します。

フォローアップとして、ZOOMを利用してエクササイズの確認、必要に応じてエクササイズの難易度を上げたり、新しいエクササイズを指導いていきます。

目安の期間:3ヶ月

通える方は3ヶ月の期間、週1~2回の施術+エクササイズにくわえて、自宅でのセルフケアを指導していきます。

集中的に行う場合でも、セルフケアを含めて3ヶ月くらいは経過を観察していく必要があります。

通っていただける方は、施術で体の機能を高めながら(必要に応じて栄養状況を確認)エクササイズを指導していきます。

体の機能低下が大きい場合(エクササイズ後の疲労感が大きい、気分が悪くなるなど)集中的に行うことも難しく、徐々に神経系への刺激を大きくしていく必要があります。

伊勢市で頸部ジストニアにお悩みの方へ

頸部ジストニアは、専門医も多くはありません。

受診できても解決の糸口が見つからないケースが少なくありません。

カイロプラクティック心(伊勢市)では、そうした方に対して、脳機能の視点から力になれるようサポートしています。

遠方の方には、ZOOM(オンライン相談)も可能な範囲でご利用いただけます。

「話を聞いてもらうだけでもいい」

そんな気持ちで、まずはご相談ください。

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投稿者プロフィール

カイロプラクティック心 岡真靖
カイロプラクティック心 岡真靖施術歴18年 第一種認定カイロプラクター BBIT認定療法士 栄養コンシェルジュ®2つ星の資格
伊勢市小俣町にあるカイロプラクティック心の代表です。
施術歴15年以上、1万人以上の施術経験と第一種認定カイロプラクターの資格を保持し、日本カイロプラクティック師協会の副会長を務めています。
慢性的な痛みやしびれ(腰、手足、頸部など)の症状改善の専門家
ほかにも栄養コンシェルジュ®2ツ星、BBIT認定療法士(脳機能ベースに神経可塑性を利用したアプローチを行う)に資格も保有して、筋骨格系、栄養、中枢神経系を介した独自のアプローチを行っています。
自律神経失調症、めまい、頭痛など栄養や中枢神経系が関与する原因に対しても、根本的な改善を行います。
BBIT療法は原始反射統合、感覚統合、脳の側性化、多感覚アプローチなどを用いて発達障害に有効であり、日本に数十人しかいないBBIT認定療法士の一人です。

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