1つでも当てはまる方は、ぜひ続きをお読みください。
カイロプラクティック心の岡が、脊椎側弯症について原因、改善方法などを解説しています。
※特発性脊柱側弯症を中心に書いています。
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脊柱側弯症とは?
脊柱側弯症は、脊柱(背骨)を後ろから見た場合、側方に湾曲した状態です。
脊柱を横から見た場合、後もしくは前に弯曲した状態は、後弯症、前弯症と言います。
2016年度から運動器学校検診が開始され、学校で医師による視触診が実施されています。
そこで、脊柱側弯症が疑われ「整形外科への受診要」と判定されると整形外科を受診することになります。
ただ、一度問題がなかったとしても成長期に発症する疾患のため、ご家庭でもチェックし一般の方でもわかるくらいの側弯がみられる場合は、整形外科の受診するとよ良いでしょう。
なかには整形外科の受診まではいかないものの、脊柱の側弯を指摘されることもあり、親御さんが不安に思うことも多いようです。
しかし、あまり神経質になる必要もありません。
なぜなら、背骨以外の原因でそう見える脊柱側弯症もあり改善が可能だからです。
ご不安を感じる親御さんは、カイロプラクティック心にご相談ください。
脊柱側弯症の分類
脊柱側弯症は、機能的側弯、構築的側弯の2分類に大別されます。
機能的側弯
脊柱の変形ではなく、脊柱以外の原因を除去することで改善がみられます。
疼痛性側弯
痛み(椎間板ヘルニア、非特異性腰痛など)によって、反射的に痛みから逃げる姿勢および筋肉のアンバランスによって生じます。
代償性側弯
不良姿勢、ミスアライメント(骨盤部の傾斜、下肢関節のアンバランスなど)に対して代償的に側弯がみられる状態です。
整形外科の要受診ではないく、医師に指摘された程度の側弯が確認された場合は、代償性側弯であることが多いです。
構築的側弯
脊柱自体に原因があるとされ、回旋(捻じれ)も伴う側弯症です。
特発性側弯
特発性とは「原因がわからないこと」を意味するように、先天的奇形がなく原因が特定できず、側弯が徐々に進行していきます。
側弯症の80-85%を占るのが、特発性側弯症です。
◇年齢による分類
- 乳幼児期側弯症:3歳以下に発症し80%は自然治癒(男児に多い)
- 学童期側弯症:4~9歳で発症80%は悪化に向かう(進行する例が多い)
- 思春期側弯症:10歳以降に発症60%は悪化に向かう(女子に多い)
先天的側弯
先天的な脊柱の奇形、変形によって生じる側弯症です。
症候性側弯
神経疾患、結合組織異常、外傷など、疾患が起因している側弯症です。
主な症候性側弯がみられる疾患
- 脳性まひ
- 筋ジストロフィー
- 脊髄空洞症
- レックリングハウゼン病
- 血管および結合組織異常
感染症、代謝疾患、放射線治療などでも側弯症が生じることがあります。
脊柱側弯症も種類いくつかあり、整形外科でしっかりと診断してもらう必要があります。
ここからは特発性側弯症について詳しく解説していきます。
脊柱側弯症の診断
Cobb角(脊柱側彎症のカーブの大きさをレントゲンをもとの計測される指標)で脊柱側弯症の状態を分類しています。
Cobb角は図のように計測されます。
- 最も傾斜している上位(上縁)と下位(下縁)の椎体から直線を引き交わる角度(図では①)
- 引いた直線からそれぞれ直角に立てた直線を引き交わった角度(図では②)
数学上では①と②は同じ角度になるそうですが、精度としては②の方が高いため、Cobb角が小さい場合は②が適用されます。
特発性側弯症は、Cobb角を指標に治療方針が決められます。
脊柱側弯症治療(一般的な整形外科)
Cobb角が20~25°以下は経過観察となります。
一般的には、3~12ヶ月毎にレントゲン診断によって定期的にCobb角を観察し、進行具合によっては治療に移行していきます。
Cobb角が20~45°は装具や運動療法などの保存療法が適応され、Cobb角が50度以上は手術療法の対象となります。
装具
装具にも種類があります。
- ミルウォーキー型(カーブの頂点が高位の場合)
- アンダーアーム型(カーブの頂点が低位の場合)
- ボストン型( 腰椎、胸腰椎部を中心とした側弯の場合)
- チャールストン夜間装具(昼間に装具ができない人の場合)
装具は進行予防であり Cobb角が5~6度の進行に留まったケースを有効とすることが多いようです。
装着時間は、入浴以外は装着することを支持され 20時間以上の装着が推奨されます。
運動療法
一般的には、側弯の凹側にストレッチ、凸側の筋力強化が行われます。
例えば腰辺りが左へカーブ、胸部が右カーブしているタイプであれば、左側の腰方形筋、腹斜筋のストレッチを行い、筋力強化は左側の肋間筋、脊柱起立筋群などを行います。
シュロス療法という運動療法が、装具治療よりも効果的であったという研究報告もあります。(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5198985/)
手術
Cobb角が大きくなると心肺機能への悪影響、腰背部痛の悪化などにより、手術が行われることがあります。
前方矯正固定法(腹や胸から背骨に到達する方法)、後方矯正固定法(背中側から背骨に到達する方法)があり、どちらか一方の場合もしくはその両者の組み合わせて行われます。
ただ、単にCobb角が50°以上になっただけで手術が行われるワケではありません。
Cobb角が大きくなっても生活に支障がないことも多く、経過をみていくこともあります。
脊柱側弯症の原因
特発性は原因が解っていませんが、現時点では遺伝性が有力です。
他の説は、神経系の異常、筋骨格系構造異常、成長ホルモン異常などが挙げられます。
側弯症が改善されていくケースもあるため、遺伝性とは言い切れない部分があり、シュロス法などの運動療法も効果をあげていることから筋骨格系および神経系の機能的な異常も考えられます。
脊柱側弯症の症状
Cobb角が大きくても、日常生活に支障がないことが多いです。
ただ、体形にコンプレックスを感じていることが多く、身体的な症状だけではなくメンタルケアも必要となります。
人によっては腰痛、背部痛、肩こり、下肢症状などを訴えることがあります。
急速に側弯症が進行するケースがあるため、自覚症状はありませんが 経過に注意をしながら、進行予防が大切となります。 成長が過ぎると共に側弯症の進行は、ほとんどとまるようですが 重症の側弯症の場合は、成人になっても進行することもあります。
重症となると呼吸器障害(肺の圧迫)の危険性もあり、早期発見、治療が有効とされます。
そのため、 学校検診のチェック項目に含まれ、 側弯症がみられるケースは専門医の受診をススメられます。
カイロプラクティック心の脊柱側弯症アプローチ
医学的に原因が解っていませんが、装具、運動療法で改善することもあり、筋骨格系および神経機能の異常が原因であるケースも多いと考えています。
なかには神経機能の低下を解消することで、運動療法が効果的になることもあります。
改善がみられる機能低下は?
病院では画像診断が主であり、筋力テストや神経機能評価が行われません。
機能低下の結果、筋力のアンバランス、姿勢維持の困難が生じていることもあり、脊柱側弯症を増長していることもあります。
末梢神経の伸張性低下
末梢神経は、脊髄から四肢の末端まで張り巡らされている神経です。
この神経は、少しですが伸張性があり、何らかの問題によって伸張性が低下します。
それが、結果として神経伝達にも影響し、神経系の機能低下を招く可能性があります。
ポジションセンス(関節位置感覚)の異常
姿勢は単純に筋肉や関節のアンバランスだけで決定されるのではなく、各関節および筋肉から送られる位置感覚などを脳が統合して最適な姿勢を決定(姿勢制御)しています。
側弯症では長期の関節運動異常が継続していることが考えられ、関節の運動を可能な範囲で正常にしつつ、ポジションセンスを向上させるエクササイズを行います。
脳機能の低下
20歳前後で脳が成熟すると言われており、とくに学童期側弯症は脳機能の低下が一因していることもあります。
それが結果として、姿勢維持の困難、アンバランスな身体活動、反射の亢進が絡んで側弯症がみられる状態になっていることがあります。
一例としては、ガラント反射といって脊柱付近を触ると腰を捻じる反射が強く現れることで側弯症の姿勢が継続してしまうことがあります。
運動療法を行うにしてもガラント反射を抑制した状態で行ったほうが効果があがります。
病院や他の治療院では行われない評価法によって、改善させるポイントがみえてくることがあります。
前庭系の異常
前庭系は耳の奥にある神経であり、頭部の位置を感知して姿勢をコントロールしている神経機能です。
特発性脊柱側弯症がみられる思春期の青年(14歳くらい)と側弯症のみられない青年と比較した研究において、前庭系の問題がみられた報告があります。(引用文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21558641/)
このような研究報告もあり、ケースによっては前庭系の評価および前庭系を回復させるエクササイズなどが有効です。
前庭系の異常だけがみられることは少なく、その影響を受けて生活することによって視覚や体性感覚など他の感覚器にも偏りがみられることが多いため、それらの問題にも対処していく必要があります。
視覚においては、乱視、遠視など屈折異常がみられたり、視力に左右差なども大きく影響するため、文字がぼやけやすい、眼精疲労や頭痛を訴えているケースなどでは、一度は眼科医で診断してもらい、必要に応じて視覚矯正(眼鏡の作成)を行ったほうが良いです。
施術
姿勢全体をみるうえでは、身体の土台となる足関節も調整することが大事と考えています。
それが結果として、立位の姿勢制御が上手く機能しやすいです。
カイロプラクティック的には背骨1つ1つの動きを確認し、必要に応じてカイロプラクティックアジャストメントを行います。
シュロス法でも回旋の動きを取り入れて側弯が改善させるポジションを作りますが、背骨のアプローチが基本とするカイロプラクティックによって回旋の運動を行いやすくしていくことは大切と考えています。
また、末梢神経の伸張性低下(仰向けの状態で膝を伸ばしたまま足を上げ股関節が90°曲がらないケース)はカイロプラクティックアジャストメントは有効です。
運動サポート
医療機関やシュロス法などでは運動療法が取り入れられているように、運動を行うことは側弯症の改善に有効です。
ただ、神経機能の影響が大きい場合、運動による効果も現れないことがあります。
原始反射(ガラント反射)がみられれば、ガラント反射の統合エクササイズにくわえ、眼球運動、背中への触刺激などその人に合った運動を組み合わせていきます。
また、原始反射がみられると前庭系の異常もみられることが多く、ビジョントレーニング、前庭系エクササイズなどを合わしていくことになります。
エクササイズについて詳しくはこちらもご参考ください。
よくある質問
脊柱側弯症についてよくある質問をまとめました。
病院には通わなくてもよいですか?
A.定期的に通院することをおすすめします
医師が診察を終了としない限りは、通院してください。
カイロプラクティックではレントゲンを撮影できないため、経過を観察する必要のある脊柱側弯症は定期的な受診が必要です。
また、中等度以上に脊柱側弯症は、装具と運動療法を併用していくことが有効と研究報告されており、ケースによっては病院で装具の調整を行うことも大切となります。
当然ですが、当院権限はありません。
脊柱側弯症は骨格の歪みが原因ですか?
A.違います
医学的な原因は不明であり、施術で骨格の歪みを直したら脊柱側弯症が改善されるという認識には語弊があります。
姿勢は脳機能(中枢神経系)を介した姿勢制御システムがコントロールしており、研究でも中枢神経系への介入がされているため、骨格の歪みだけで問題がみられることはありません。
カイロプラクティックを科学的に説明するのであれば、骨格の歪みを矯正する療法ではありません。
カイロプラクティックアジャストメントによって、背骨周辺の筋肉が急速に伸長されることで中枢神経系の応答によって筋肉が緩みます。
それが結果として、痛みの改善や骨格の歪みが直ったようにみえるだけです。
施術だけではなく、姿勢制御システムの再学習をするための運動も重要と考えています。
どれぐらいの期間で改善がみられますか?
A.3ヶ月が目安となります
個人差はありますが、週1回くらいの施術およびエクササイズに加えて、自宅でのセルフケアの実施で関節の可動域、姿勢の再学習を行います。
癖が直しにくいように一度記憶された体の使い方、姿勢を変えていくためには時間がかかります。
通うことが難しい方は、ご自宅での宿題としてエクササイズの指導を行いますので、しっかりとご自宅でエクササイズに励んでいただけると良いです。
脊柱側弯症は一度ご相談ください
一般的に脊柱側弯症の原因は解っていませんが、身体の機能をチェックしてみると改善する糸口が解ることがあります。
装具をつけたり、整体でマッサージや背骨にアプローチしても変化がない場合は、とくに神経機能から見直していく必要があるかもしれません。
装具を早く取りたい、装具を付けたくてもつけれない、運動療法の効果が現れにくいなどみられる場合は、一度ご相談ください。
カイロプラクティック心でできることを出し惜しみなくサポートさせていただきます。
※当日予約も可能ですが、施術中は電話にでることができないため、営業時間前(8時30分~45分)昼休み(12時30分~13時30分)にお電話ください。