すべり症 改善

腰痛・脚の痛みしびれ

すべり症が楽になる対処方法

脊椎すべり症は腰部にみられる場合は、腰椎すべり症とも言われています。

脊柱管狭窄症の原因の一つともされ、脚の痛みやしびれが発症することがあります。

ここでは腰椎すべり症の原因、運動による予防方法、カイロプラクティック施術方法などを詳しく書いていきます。

腰椎すべり症の基礎知識

腰椎すべり症について一般的な病態、原因、病院での治療方法などを解説していきます。

腰椎すべり症とは?

 

すべり症と分離症の違い
図のように腰椎すべり症は、下位の椎体に対して上位の椎体が前方へズレが画像診断により確認できる病態です。また、すべり症が発生しやすい場所(好発部位)は、腰椎4番です。(5つある腰椎の下から2番目) 腰椎分離症は、すべり症とよく似ていますが、腰椎関節突起の分離(疲労骨折)がみられます。

腰椎すべり症の種類

1)腰椎分離すべり症

腰椎分離症で、さらにすべり症がみられる。

2)腰椎変性すべり症

椎間板、椎間関節など腰椎周辺の組織が変化したことですべり症がみられる。

3)形成不全すべり症

 
先天的な原因によってすべり症を発症している。
 
4)病的すべり症
 
腫瘍や感染症など他の病気によって2次的に発症している。
 
5)外傷性すべり症
 
事故、転落などによる骨折、捻挫などの外傷が原因で発症している。
 

すべり症の原因

1)加齢による組織の変性

高齢の女性に多いと言われ、加齢に伴い椎間板や椎間関節が変性することで椎体が前にズレてしまうことで発症します。

腰椎に限らず、変性は30歳過ぎから始まるとされています。

2)先天的(生まれつき)

椎弓(関節突起部)が発育しなかったことが原因とされており、無症状でも悪化防止のために手術が適応されることがあります。

3)腰椎分離症の2次的な問題

若い頃に腰椎分離症を発症している人が、腰椎分離すべり症を発症することがあります。

腰椎分離症は、疲労骨折が痛みの直接的な原因ではなく腰部周辺の筋肉のアンバランスが痛みの原因とされています。

そのため、治療の1つとして運動療法、ストレッチが行なわれます。

このことから、中高年になったことで筋力が衰えると共に筋肉バランスが崩れ、姿勢のコントロールができないくなっていることがすべり症の発症原因と考えられます。

4)病気

腫瘍、感染症などで椎体が破壊され、2次的にすべり症になってしまいます。

4)事故やケガ

交通事故、転落事故、スポーツでのコンタクトなど腰部周辺の外傷(骨折、捻挫など)がキッカケで腰椎すべり症を発症します。

すべり症の症状は?

  • 臀部周辺の重だるさ
  • 腰の痛み
  • 運動後の痛み(分離症は運動中も痛くすべり症の特徴的な痛みです)
  • 間欠跛行(歩行中の痛み、休むと楽になる)
  • 下肢の痛み、しびれ

椎体が前方にズレるため、脊柱管が狭窄される脊柱管狭窄症と診断されることがあります。

そのため、腰痛だけの症状もみられますが脊柱管狭窄症のような下肢の痛み、しびれ、間欠跛行なども発症する人がいます。

排尿障害、排便障害、運動麻痺(足が動かない、触られても感覚がない)がみられる場合は、専門医の治療が優先でありカイロプラクティック適応外です。

すべり症の病院治療

保存療法(手術以外の治療)が第一選択になりますが、改善がみられない場合は外科的手術が行われます。

コルセット(固定・装具療法)

腰を安定させるためにコルセットを着用します。コルセットにもいくつか種類があり、なかには身体のサイズに合わせたコルセットを作成することがあります。

物理療法

 血流を促進させて痛みを和らげる目的で、電気治療、温熱治療、干渉波治療などが行われます。

薬物療法

1)非ステロイド抗炎症剤(NASID)

ロキソニン・ボルダレンなどの抗炎症剤は、炎症性の痛みに対して鎮痛効果があり短期的な痛みのコントロールには有効です。

ただ、副作用に胃が荒れる、腸の障害、むくみなどが発症する恐れがあるため、急性期の3日程度の服用が望ましいです。

2)神経障害性疼痛薬(リリカ)

神経傷害(脚のしびれ、痛み)が考えられる場合、処方されます。

副作用にめまい、眠気、ふらつきなどがあり、坐骨神経痛には効果がないという以下の研究報告もあります。

研究ではプレガバリン(商品名リリカ)を1日あたり150mgから開始し、必要に応じて1日600mgにまで増やす治療を8週間続けることを試しています。坐骨神経痛の患者209人が対象となり、対象者はランダムに2グループに分けられ、プレガバリンを使うグループ、有効成分を含まない偽薬を使うグループとされました。

8週間の治療終了時点で、プレガバリンのグループと偽薬のグループを比べると、足の痛みの強さに差がなく、治療開始から52週の時点で比較しても差がありませんでした。

参考文献⇒https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28328324

3)オピオイド

痛みがひどい場合は、強い鎮痛作用のあるオピオイドが使用されます。

ただ、副作用が強く薬物依存をおこすこともあります。

4)その他

筋弛緩剤(筋肉の緊張を緩和させる)外用薬(湿布、塗り薬)などが処方されることもあります。

湿布が処方されるのは日本だけであり、筋弛緩剤は筋肉のアンバランスをより崩してしまう可能性があります。

神経ブロック注射

痛みが強い場合、神経を注射でブロックし痛みを和らげる効果があります。

注射には、硬膜外、神経根、仙骨などの種類があります。

手術

関節のズレを矯正してから固定する腰椎固定法、神経を圧迫している椎弓を切除する除圧手術法などが一般的です。

しかし、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症が下肢の痛みやしびれの原因ではないことが多いように、すべり症も痛みやしびれの原因ではないこともあります。

手術を受けた場合、術後は症状が改善され短期的には満足される人も多いですが、以下のとおり長期的な有効性を示す研究報告はありません。

■脊柱管狭窄を伴う変性辷り症患者76名を対象に、器具固定群と骨移植固定群の術後成績を2年間追跡したRCTによると、器具固定によって骨癒合率の向上は認められるものの、それが必ずしも臨床症状の改善に結びつかないことが判明。

参考文献⇒http://1.usa.gov/nfQM86

■慢性腰痛を訴える変性辷り症患者130名を対象に、器具固定群と骨移植固定群の術後成績を2年間追跡したRCTによると、骨癒合率と満足度に差はないが器具固定群は手術時間、出血量、再手術率を増大させ、深刻な神経損傷を招く危険性大。

参考文献⇒http://1.usa.gov/rd6vMx

■脊柱管狭窄症と診断された腰下肢痛患者88名を対象に減圧椎弓切除術の成績を6年間追跡した結果、1年後の改善率は89%だったが6年後には57%に低下し17%は再手術を受けていたことから、これまで報告されていた成績より悪い。

参考文献⇒http://1.usa.gov/qEMqae

■脊椎固定術に関する論文47件を厳密に検討した結果、優または良と評価できたのは平均68%だったが、論文によっては15%~95%の開きがあり、研究デザインにも不備があるため脊椎固定術の有効性を示す証拠は見つけられなかった。

参考文献⇒http://1.usa.gov/pdP0Eg  

手術は保険が適用されますが、10日前後の入院、さらには自宅療養、リハビリなど生活や仕事に支障をきたします。

リスクも大きいため、最後の手段と考えるほうがよいでしょう。

腰椎すべり症の運動療法

運動療法も保存療法の1つであり、その人の体に合った筋力トレーニング、ストレッチなどの運動は、腰椎すべり症にも有効です。

そのため、腰椎すべり症と診断されても動けるようであれば、痛みやしびれが悪化しない程度に動くことが大切です。

腰椎すべり症でやってはいけない運動

腰椎すべり症の病態は、椎体の前方へのズレです。

椎体が前方へ移動する運動は、腰椎の伸展であり腰を反らせる動作です。

〇マッケンジー体操

身体を反らす体操
マッケンジー体操が有効な腰痛もありますが、すべり症では痛みを誘発する動作です。そのため、良くなると思い込んで痛みを我慢して行っても悪化するリスクのほうが高いです
 
〇間違った腹筋運動
 
間違った腹筋運動
足を固定して上体を起こす運動は、腹筋ではなく股関節を曲げる筋肉(主に腸腰筋)が最も活動します。とくに腹筋の弱い人は尚更、腸腰筋を使って上体を起こそうとし、腹筋運動の効果はあまりありません。また、腰椎に付着する腸腰筋を過剰に働かせてしまうと、緊張(縮む)すると腰椎を前方に引っ張ることになるため、腰痛の原因にもなってしまいます。
 

〇歩き方

大きく動かすことを意識しすぎて太ももを高く上げる(高校野球の行進のイメージです)動作は、腸腰筋の活動が高くなるため、すべり症を悪化させる可能性があります。

女性のハイヒールは、腰を反らす姿勢になることが多くすべり症の悪化要因となります。しっかりと姿勢をコントロールできるようになってからハイヒールを履いたほうが良いです。

すべり症の筋トレ&ストレッチ

①腹筋運動

腹筋
腹筋の筋トレは恥骨と肋骨下部に付着するため、写真のように少し肩が浮くくらいで十分です。また、すべり症を悪化させにくい腹筋運動は、腰の骨が床から浮かないことが前提になります。そのため、このような腹筋でも腰が浮いていないかをチェックしながら行います。
 
②呼吸
瞑想
呼吸が正しくできると腹圧(腹筋群)や姿勢のコントロールが上手くなります。まずは、鼻から吸って口から吐くことを心掛けましょう。可能であれば専門家に相談するかヨガ、瞑想、座禅などで呼吸方法を指導してもらうことをお勧めします。
 
③腸腰筋ストレッチ
腸腰筋ストレッチ
腸腰筋の緊張は腰椎の前弯を強めて、すべり症を悪化させる可能性があるため、ストレッチが有効です。
 
 

すべり症の効果的な筋トレ、ストレッチ、エクササイズを紹介しましたが、自己流では行わず専門家に指導してもらうことをお勧めします。

そのため、ここでは詳しく解説することを控えています。

どのような動きでも微調整が必要であり、自己流になると自分の行いやすい動きにドンドン変化してしまい、良いことをしているつもりでも悪化させかねない動きになってしまう可能性もあります。

また、すべり症と診断されていても他の原因で腰を痛めている可能性もあり、結果としてこれらの運動で悪化させることもあります。

このような理由から、専門家に身体を評価してもらい、身体に合った筋トレ、ストレッチ、エクササイズを行いましょう。

伊勢市周辺の皆様は、カイロプラクティック心にご相談ください。

腰椎がすべっていることが原因ではない?

腰椎すべり症は画像(レントゲン、MRI、CT)によって、診断されます。ただ、画像だけでは特定できない腰痛が85%あります。腰痛の原因は特定できない

腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症は、痛みやしびれの原因ではないことが多いと言われるようになってきました。このことから、すべり症も同様のことが言えます。

無症状の3110人を対象に画像診断をしたところ、すべり症と診断される所見が80代では50%みられたと報告されています。

そのため、画像所見と痛みは必ずしも一致しないと結論づけられました。

詳しくはこちらの記事をご参考ください。

すべり症が原因とされる症状(臀部痛、腰痛、脚の痛みやしびれ、間欠跛行)がみられても画像以外の検査も行い、腰だけではなく脳も含め全身をみて判断する必要があります。

すべり症と診断された症状の本当の原因は?

腰痛や下肢のしびれ、痛みはすべり症以外でも発生します。最近では、病院ですべり症以外の原因ととらえて治療に当たっている所もあるため、それらも含めて書いていきます。

筋筋膜性

筋肉の問題(スパズム、微小損傷など)により、腰痛や関連痛として下肢に痛みやしびれを誘発します。

問題のある筋肉には、硬結(硬いしこりのようなもの)がみられ、その部分を押すと現症状が誘発されます。

病院ではトリガーポイントブロック注射、筋膜注射など言われ生理食塩水や局所麻酔を硬結部分に打つことで治療していきます。

詳しくはこちら⇒筋膜性疼痛症候群(MPS)研究会

トリガーポイントについては、カイロプラクティック心のブログにも書いてありますので、ご興味のある方はご参考ください。

筋筋膜性疼痛疼痛症候群(MSP)の原因とされるトリガーポイントとは?/伊勢市カイロプラクティック心

脳(心理的要因)の問題

慢性的な痛み(3ヵ月以上続く痛み)は、脳の影響も大きいことが研究でわかってきました。

腰痛に限らず痛みを認識するシステムは複雑で、組織に問題がなくても痛みを感じてしまう侵害可塑性(脳を含む中枢神経の変化)があります。

病院では認知行動療法(心理療法の1つ)を慢性腰痛患者に治療として取り入れているところもあり、結局「ストレス?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、現時点では最も科学的根拠の示されている療法です。

分かりやすく書籍にもまとめられておりますのでよろしければご参考ください。

侵害可塑性(脳を含む中枢神経の変化)については、以下の動画でわかりやすく解説してあります。

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