むち打ち症は、主に自動車事故によって生じる頸部障害の総称です。
そのため、疾患名に分類すると複数あり、症状も頸部痛だけではなく頭痛、しびれ、めまい、吐き気など多様です。
そして、ほとんどの研究ではむち打ち症の25~40%は、受傷した1年後も持続性の症状があることを示唆する報告があります。
むち打ち症の症状分類についてはこちらの記事もご参考ください。
このようなことから、症状が改善されていないにも関わらず、症状固定で病院での治療が打ち切られていたり、保険会社から治療を打ち切られたりします。
そして、自費でカイロプラクティックの施術を受けにくることも少なくありません。
なかには、症状の回復を諦めている方も多いかもしれませんが、適切なアプローチによって症状が回復することも多いです。
ここでは、むち打ち症に対するカイロプラクティック施術に対して解説していきます。
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むち打ち症に手技療法は有効
急性および慢性のむち打ち症は、運動と手技療法を組み合わせるこが頸部痛軽減に効果的であることが複数の研究で報告されています。参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20538501/https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20593537)
むち打ち症の治療では、湿布、痛み止め薬、頸椎カラーが多くみられます。
痛め止め薬は一時的な痛みの軽減には有効ですが、むち打ち症でみられる頸椎の関節障害および関節包、筋肉の拘縮が改善させることはありません。
また、頸椎カラーは複数の研究で回復を遅らせることが示唆されています。
湿布においては、効果が不明瞭です。
人の身体は動かなくなると組織が変性(関節及び筋肉)しやすく、固まったような状態になります。
そのため、最近の医療現場でも手術をするようなケース(ガン、変形性関節症など)でも術後すぐ(早い病院は術後の翌日から)リハビリで体を動かすことが推奨されています。
むち打ち症も同様であり、可能な範囲で動くことが推奨されています。
ただ、筋肉へのダメージが強いケースは動かすことで痛みが誘発されるため、手技療法によって痛みのない範囲で頚椎の動きをコントロールし、組織変性を最小限に食い止めることが有効であると考えられます。
むち打ち症で現れる症状の原因は?
むち打ち症は、頸部の痛み以外にもしびれ、頭痛、めまいなどの症状が現れることがあります。
また、慢性化(受傷から6ヶ月以上)してしまうと精神的な症状を訴えたり、自律神経症状(胃腸障害、睡眠障害など)を訴えたりするようになるケースもみられます。
頸部痛
急激に頭頚部が振られることで、頸部の深部にある関節包(頸部の背骨である頸椎の椎間関節を包む組織)が損傷し炎症が生じます。
また、椎間関節の障害によって、必要以上に椎間関節に刺激がくわわることで関連痛(椎間関節以外の部分に放散する痛み)が生じることでも頸部の痛みとして感じます。
自律神経に関与する神経線維(C繊維)にダメージがみられると、C繊維は痛みを伝える伝達速度が遅いため、事故直後よりも数時間後に痛みが増すことがあります。
頭痛
むち打ち症の慢性症状は、7割程度に頭痛がみられるという研究報告があります。
むち打ち症後からみられる頭痛は、頸性頭痛といわれる頸椎の障害によって生じると考えられます。
受傷時には過剰な頭頸部の伸展がみられ、その状態が慢性化してしまうと頸部をとおる神経(上部頸神経根)の絞扼障害によって頭痛を発症します。
めまい
めまいの原因にもいくつかあり、むち打ち症では頸性めまいが多いと考えられます。
頸部には姿勢を感知して脳に知らせるセンサーの役割を果たす固有受容器がたくさんあり、実際の姿勢と固有受容器が感知している状態の違いからフワフワした感覚のめまいが生じます。
また、固有受容器以外にも椎骨動脈の血流不全、頸部の交感神経障害によってもめまいが生じます。
しびれ
受傷時に過剰な頸部の伸展(とくに下部)がみられると神経根障害によってしびれを発症することがあります。
また、最近では胸郭出口症候群によるしびれもみられることがあり、シートベルトによる鎖骨部の圧迫、頸部の過緊張が影響していることが考えられます。
むち打ち症は、頸部周辺の障害だけではなく脳を含めた中枢神経系にも影響を及ぼすため、これら以外の症状が現れることもあります。
むち打ち症の原因について詳しくはこちらの記事もご参考ください。
頸椎障害にアプローチできるカイロプラクティックは有効
先に説明したように手技療法は、むち打ち症には有効という研究報告があります。
カイロプラクティックは、むち打ち症で問題となる椎間関節の運動障害、筋肉、関節包に対してアプローチが可能です。
ただのマッサージでは、深部の関節包に対してアプローチすることは難しいです。
頸部の椎間関節はカップリングモーションといって伸展、側屈、回旋というように動きが複合されているため、単純な運動よりもカップリングモーションを意識した動きを促すことが効果的です。
頸部の土台を安定させる
出典:図解姿勢検査法
図は足の関節障害から連鎖して、頭頸部に影響がでることを現しています。
このことから事故以前に足の問題があったり(捻挫や骨折などの経験、偏平足、外反母趾など)事故の問題(ブレーキをかけて足を踏ん張る、足も打撲したなど)などで、頭頸部の土台となる足部を含んだ下肢に問題があると頸部だけの調整では効果が現れにくいです。
このことが、病院で頭頸部を中心にリハビリをしても効果が現れない一つの原因です。
また、足関節だけではなくシートベルトによって圧迫さる股関節、胸郭、そしてその周辺に関連する横隔膜、大腰筋、内臓も含め、交通事故のダメージは頸部以外にもみられます。
そのため、頸部以外の評価も行い、対応する必要があります。
筋骨格系以外の問題
むち打ち症は、では視床下部、脳幹および小脳などの中枢神経系の機能不全があるとされています。
また、むち打ち症患者は、頸部交感神経神経の過剰興奮がみられます。
参考文献
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6599233
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3489433/
このように中枢神経系の問題が自律神経症状やうつや不安症などを招く可能性もあります。
中枢神経と末梢神経(手足の関節や筋肉などを動かす神経)は相互関係があり、末梢の問題により中枢神経に適度な刺激がいかず、中枢神経系の機能が低下することがあります。
そのため、むち打ちによって動きの制限や痛みが長く継続すると中枢神経の影響によって、症状が慢性化してしまうことがあります。
このようなことから、早い段階から正常な関節の可動域や筋機能を回復させる必要があり、カイロプラクティックで関節や筋肉を調整することはむち打ち症を慢性化させないことにも有効です。
また、中枢神経を活性化させることが有効なケースもあります。
頭部打撲による脳震盪の可能性
脳震盪と聞くと気を失う状態と考える人も多いですが、意識があったとしても脳震盪の症状がみられることも多いです。
そのため、最近のスポーツ界でも頭部外傷(コンタクトプレーによる頭部打撲、頭部へのデッドボールなど)は、ガイドラインが設けられ意識があっても脳震盪症状が見られれば即競技中止となります。
事故の程度によっては、頭部外傷も伴っている可能性もあります。
また、事故当日は問題がなくても脳震盪症状は後日現れることもあり、神経機能の評価は必要不可欠です。
事故で頭部打撲があり、後遺症があるケースは、脳震盪の後遺症である可能性もあります。
脳震盪の後遺症について詳しくはこちら
カイロプラクティックのデメリット
①日本にはむち打ち症をしっかりみれるカイロプラクテック院が少ない
日本のカイロプラクテックは法制化されていないため、数日のセミナーを受けただけで独立していたり、医学的な知識のないままカイロプラクティック施術を行うところも少なくありません。
とくに頸部は神経や血管が豊富にあり、とても繊細な部分です。
椎骨動脈に問題がみられるケースは、頸椎のカイロプラクテックアジャストメントは行ってはいけません。
このような基礎的なことも解らずにカイロプラクティックを提供しているところも多いです。
さらにひどいのは国家資格者である整骨院でもカイロプラクティックと称してひどい施術を提供することもあるため注意しましょう。
むち打ち症にカイロプラクティックは有効ですが、しっかりと情報収集をする必要があります。
また、交通事故専門とする整骨院でも、危険な手技を行っているところもあるため、注意は必要です。
②交通事故による自賠責保険が適用されません
病院、整骨院では自賠責保険によって上限120万円までは、交通費、治療費は支払われます。
カイロプラクティックは民間療法のため、自賠責保険が適用されることはなく、自分のお金を支払う必要があります。
カイロプラクティック心のむち打ち症施術
カイロプラクティック心は、検査を重視してむち打ち症の症状の原因に対してアプローチします。
検査法
静止した状態だけではなく、カイロプラクティック独特の検査法(モーションパルペーション)で背骨の1つ1つの関節可動域を確認します。
そうすることで、どの椎間関節の関節包に問題があるか絞れます。
カイロプラクティック検査以外にも整形学検査、神経学検査なども行い、どの椎体レベルで異常がみられるかをチェックします。
このように複数の検査を行うことで問題部位を特定していきます。
他には、機能神経学、原始反射、NKTなど神経機能の評価も行い、中枢神経を含めた神経系の問題にも対応しています。
施術
頸椎椎間関節の運動障害、関節包の拘縮など⇒関節運動学的テクニック、カイロプラクティックアジャストメント
原始反射、大脳機能低下(めまい、自律神経症状に関与)⇒カイロプラクティックアジャストメント、エクササイズ指導
筋肉の問題⇒筋伸張テクニック、ストレイン・カウンターテクニック
頸椎の神経根障害⇒IVF(椎間孔テクニック)
内臓、横隔膜の問題(シートベルトによる圧迫)⇒内臓マニュピレーション
ホームケア⇒エクササイズ指導(運動が早期改善につながるという研究報告があります)
2本足で立って生活するため、足関節の問題は意外に多く、足元からアプローチするだけでも肩こりや首痛などの改善がみられます。
また、 頸部の問題であっても頸椎の調整は、筋骨格系(とくに背骨)のスペシャリストであるカイロプラクターの得意分野です。
神経機能の問題は、感覚エクササイズ指導、呼吸指導なども行なっていきます。
むち打ち症は、事故の程度、追突された方向などだけでも一人ひとりアプローチの仕方が変ります。
それぞれの原因にアプローチできるよう施術歴15年の施術者が責任をもって一人で担当させていただきます。
また、安心して施術を受けていただけるよう現在も文献を読んだり、セミナー、勉強会にも出向いて知識と技術向上に努めております。
このようにむち打ち症でお悩みの人でも、全身を評価してアプローチしてもらえる専門家にご相談することをお勧めします。
むち打ち症でみられる各症状についてはこちらもご参考ください。
仕事、趣味、家庭生活を楽しみたい人へ
交通事故後のむち打ち症の症状は、病院からも症状固定を告げられたり、保険会社から治療を打ち切られたりするうえ、症状が長引くケースも少なくありません。
そのため、初期段階での適切な処置が大切になります。
カイロプラクテックによるむち打ち症の施術は、自賠責保険が適用されないため、躊躇される人が多いです。
もちろん、事故に遭われた上に「自費で治療をしなければいけないの?」という気持ちはわかります。
ただ、健康であるからこそ仕事に集中でき、趣味や家族と過ごす時間を楽しめるのではないでしょうか。
自費でも身体を早く良くして「仕事に集中したい」「大好きな趣味を楽しみたい」「子供との時間を快適に過ごしたい」という方は、ぜひカイロプラクティック心にご相談ください。
もちろん、1年以上もむち打ち症の症状に悩まれている人も快適な生活が一日でも早く送れるよう全力でサポートさせていただいます。
本記事の参考文献
参考文献
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4753964/#b3-oaem-3-029
投稿者プロフィール
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伊勢市小俣町でカイロプラクターをしています。
病院では異常が見当たらず、どこに行っても良くならなかった方が体調を回復できるようサポートします。
機能神経学をベースに中枢神経の可塑性を利用したアプローチで発達障害、自律神経症状、不定愁訴にも対応しています。
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