スポーツ障害

なかなか治らない野球肩(投球障害)の原因と改善方法

野球肩はどこが痛いかで病態が違う!?カイロプラクティック施術で改善させる方法

野球肩は症状名ではなく、野球で肩を痛めた病態の総称です。そのため、「野球肩」という曖昧な診断だけでは原因がわかりません。そして、原因がわからなければ、ぼやけた治療しかできず、なかなか肩の痛みは改善されないです。

野球における肩の痛みは色々と研究されていますが、未解明なことが多い障害の1つであるため、電気治療やインナーマッスルトレーニングだけでは回復しないことも多いです。また、下半身を使って投げる以上は、下肢、胸郭の連動性も必要であり、肩以外にも原因がみられるます。

ここでは野球肩の種類、原因、カイロプラクティック施術による野球肩の改善方法を詳しく書いていきます。

野球肩の種類(病名)は?

野球肩は、投球によって痛めた肩の通称であり、正式な病名ではありません。そのため、病院ではどの部分を痛めているかをしっかりと診断してもらうことも大切です。

主な野球肩は以下のとおりです。

  • 上腕二頭筋長頭腱炎
  • 腱板損傷
  • インピージメント症候群
  • SLAP損傷(関節唇上方の損傷)
  • 上腕骨近位骨端線離開(リトルリーグショルダー:10~15歳くらいの成長期特有の病態)

損傷している組織、炎症の有無、損傷の程度によって、治療計画、回復までの期間などが変わってきます。

野球肩の痛む場所でわかる簡単チェック

肩の痛みを感じる場所で、痛めている組織を把握することができます。ただ、目安となるだけであるため、確定診断は必ず病院で行いましょう。

◇肩前方の痛み

  • 上腕二頭筋長頭腱
  • 前方関節包

〇肩上方の痛み

  • 関節唇上方(SLAP損傷)
  • 棘上筋腱

〇肩後方の痛み

  • 棘下筋腱
  • 後方関節包

解剖図もご参考ください。(クリックすると図が拡大されます)

出典:ネッター

出典:ナースフル

投球フォームからみる野球肩

出典:整形外科リハビリステーション

〇後期コッキング期

最も肩の前面が伸ばされることで、上腕二頭筋長頭が伸ばされるストレスによって炎症をおこすことがあります。少年期から投球を続けることで肩前面の組織がルーズ(緩い状態)になりやすく、反対に肩後面の組織はタイト(短縮した状態)になりやすいです。これらの影響により、腱板損傷、インピージメント症候群、SLAP損傷をおこしやすい投球フェイズです。

〇加速期

肩関節の最大外旋から強く肩が内旋方向に捻られるため、上腕二頭筋長頭腱と上腕骨の結節間溝(上腕二頭筋長頭腱がとおる)の間で強く摩擦されます。また、ローテーターカフに捩じれる力が強くかかります。これらのことから上腕二頭筋長頭腱炎、腱板損傷、インピージメント症候群をおこしやすい投球フェイズです。

〇フォロスルー期

体重の1.5倍の牽引力がかかるといわれ、棘下筋がブレーキの役割を果たします。このことから上腕骨近位骨端線離開、棘下筋腱炎(腱板損傷)をおこしやすい投球フェイズです。

このようにどの投球フェイズで痛むのかということも野球肩の原因を探るうえで重要です。また、投球フォームや関節の異常運動などの問題がみられることで、投球による肩へのストレスが強まるとも言えます。

野球肩の原因

投球障害である野球肩の原因は、肩だけにあるとは限りません。なぜなら、腕だけを振って投げるワケではなく、下半身からの運動連鎖が重要になるからです。

ワインドアップで足を下ろし始めると骨盤の回旋(体を回転させる運動)が早期コッキング期まで加速し、踏み込み足が着地した瞬間に骨盤の回旋が急激に止められ、そのエネルギーによって上半身および肩の回旋速度も上がります。「投手は下半身が大事」と言われているように投球障害も投手に大事な下半身にも原因がみられても当然と言えることではないでしょうか。

このようなことから、野球肩の原因をさぐるには全身を評価する必要があり、以下のようなことが考えられます。

姿勢

出典:スポーツメディスン

一般的には左端、右端の姿勢が良いとされていますが、どちらの姿勢も構造的(骨格的)にみて正しいとは言えず、力み過ぎた問題となる姿勢です。

「力むな」「力を抜け」と指示されますが、普段の姿勢は「背筋を伸ばせ」と非常に肩周りに無駄な力が入る姿勢が指導されることが多いです。指導者や選手自体がこの矛盾に気づいていません。

無駄に背筋を伸ばせば、肩甲骨の動きに大切な胸郭(肋骨部分)の可動制限がみられたり、肩周辺の筋肉バランスが崩れたりすることで投球動作に影響が大きいです。また、交感神経が優位になるため、心拍、呼吸数が高まり疲れやすくなることで投球フォームが終盤に崩れ、肩への負担が大きくなります。

投球フォームの問題

投球フォームの問題は、投球数増加(とくに試合中)に伴う疲労によるケースもあり、適切な投球数制限を設けることが望ましいです。

投球フォームの問題としては「適切な肘の高さではない(肘の上がりすぎ、下がりすぎ)」「リリースポイントが後方」「身体が開く」などは肩の不安定性や過剰な肩の水平外転がみられ、肩を痛める原因になります。また、これらのフォームになる要因として軸足の問題、重心移動、グローブの使い方などに問題がみられます。

投球フォームの問題は、適切な指導がされていないケースもありますが、バイオメカニクス異常やモーターコントロール異常によってイメージとおり身体を動かせない原因も含まれます。

バイオメカニクス異常(運動連鎖異常)

投球動作は、下半身からの連動性が重要です。踏み込み足の股関節、胸郭を含めた背骨などに可動制限がみられれば、代わりに肩を過剰に使うことになると肩への負担は大きくなります。

例)

  • 軸足の股関節伸展(脚を後ろに引く動き)の可動制限⇒骨盤の回旋スピードが上がらないため、手投げに近い投球になる
  • 胸郭の回旋制限(右投手なら左回旋)⇒身体が開きやすくなり、肩の前面が過剰に伸ばされやすくなる
  • 踏み込み足の屈曲および回旋制限⇒胸郭の制限同様に肩の前面が過剰に伸ばされやすくなる

このような状態で肩ばかり治療しても投球動作による肩の負担が減っていないため、肩の痛みが治まりません。

モーターコントロール異常

身体は脳を含めた神経ネットワークにより、バランスよく筋肉の協調運動が行われ無意識でも身体を動かせます(歩いたり、投げたりするときにここで足を動かして次に腕を振ってなど1つ1つ考えて動くことはないですね)このような運動の神経ネットワークシステムをモーターコントロール(運動制御)と言います。

競技特有の動きの反復、ケガ(過去のケガも含む)、栄養の問題、ストレスなどにより、神経ネットワークに乱れモーターコントロール異常が生じると可動域制限、フォームの修正が上手くいかない、簡単な動作もスムーズにできない(片足立ち、スクワットなど)の問題が現れます。

このようなことが投球フォームに影響したり、ローテーターカフの不安定性につながったりすることで肩を痛めます。

上腕骨頭の異常運動(他の関節の異常運動)

上腕骨頭(腕の骨)と肩甲骨で形成される肩関節は、関節包という組織で包まれています。投球動作では肩前方が伸ばされ、肩後方が縮む運動が反復されるため、前部の関節包が緩み後部の関節包が短縮した状態になっていることが多いです。

こうなると上腕骨頭は、正常な関節運動ができず肩峰下インピージメント、インターナルインピージメントなど骨同士の衝突による腱の挟み込み、滑液包の圧迫が繰り返され肩が痛くなります。

これは上腕骨頭に限らず、他の関節でも起こります。そのため、上腕骨頭の異常運動がみられたとしても他の関節の評価も行い、正常な運動を取り戻していくことも重要になります。

ローテーターカフの機能低下

肩関節の外転(身体の外側から腕を挙げる動作)は、図のように上腕骨が上に回転しながら下に滑ります。

※どの関節でも図のような複合的な動きが行われます。

ローテーターカフは、深部で関節を安定させるとともに滑り運動の動きに関与しています。そのため、ローテーターカフの機能が低下すると滑り運動ができずに骨同士が衝突し、棘上筋腱、上腕二頭筋長頭腱を挟み込む痛みにつながります。また、ローテーターカフである棘上筋が挟み込まれることで、さらに機能が低下してしまう悪循環にもなります。

ローテーターカフの機能低下は、先の原因にあげた関節の異常運動、モーターコントロール異常でも起こります。また、投球動作の反復により微細損傷(マイクロトラウマ)疲労などでも起こり得るため、ロテーターカフの機能低下の原因も追究する必要があります。

原始反射(非対称性緊張性頸反射:ATNR)

非対称性緊張性頸反射(ATNR)は原始反射の1つであり、姿勢反射にも分類されます。

ATNRは、以下の図のように頭部を回旋した側の手足が伸び(伸展)、反対側の手足は曲がります。(屈曲)

出典:Asymmetrical Tonic Neck Reflex: UpToDate

原始反射は、生まれつき備わっている反射であり、成長とともに大脳皮質でコントロールされます。しかし、成長過程において何らかの原因によって原始反射をコントロールできずに成長したり、ストレス、脳の疲労などによりコントロールできなかったりします。原始反射をコントロールできないと無意識の状態で原始反射の特性が出現してしまいます。

ATNRは目と手の協調運動の基礎発達であり、ATNRが強く表れると右と左の協調運動がスムーズでなくなります。これが結果として無駄に力が入ったり、入るべきときに力入りにくかったりすることで、肩への負担が大きくなります。

この状態で肩周辺の緊張を緩めたり、関節を調整しても反射によって症状が現れているため、一時に改善はみられても再発します。

野球肩の病院(西洋医学)治療は?

野球肩の知識やリハビリ施設の有無によって、治療による回復具合は違います。野球肩においては手術や薬物治療(注射を含む)だけで完全に競技復帰させることは難しく、病院での治療を希望するのであればリハビリ施設が必要不可欠であると考えられます。

野球肩の手術

重度の腱板損傷、SLAP損傷(関節唇損傷)は、リハビリにより症状が改善されない場合は手術適応となるケースがあります。また、肩後方の組織の短縮が継続し骨棘(ベネット骨棘)が形成されている場合も手術適応になることがあります。

ただ、手術後もリハビリ(運動療法)が必要です。

野球肩のリハビリ

リハビリは最新機器がそろっていれば良いのではありません。優れたリハビリ施設は、医師の指示だけではなくリハビリ担当者(主に理学療法士)が身体評価をしっかり行い、個人に合わせたリハビリプログラムを実施できるところです。

棘下筋腱炎であれば、肩後方のストレッチ、腱板損傷であれば段階的の疼痛改善、腱板トレーニング、フォームの修正など野球肩の病態や特徴にあわせたリハビリが行われます。

野球肩の改善期間の目安

野球肩は痛めている組織によって、回復する期間が異なります。主な病態に対する回復期間は以下のとおりです。

  • 上腕二頭筋長頭腱炎⇒炎症が治まる期間(1~2週間)に加え、原因の改善により2~3週間程度で回復。ただし、回旋腱板の機能低下も併発していると長期化する可能性あり
  • 腱板損傷⇒復帰は早くても3ヶ月以上、一般的には6ヶ月。ケースによっては手術適応となり、さらに長期化する
  • インピージメント症候群⇒腱板損傷まで至っていなければ、原因改善により2~3週間程度で回復。継続した痛みの中で投球して腱板損傷がみられれば長期化する
  • SLAP損傷(関節唇上方の損傷)⇒リハビリだけでは改善が難しく手術が適応となることが多く、リハビリで回復する可能性もあるが長期的な計画が必要

組織の炎症(軽度の損傷)だけで済んでいれば、早期の競技復帰も可能と言えます。筋肉や靱帯、関節唇の損傷が重度になるほど競技復帰には時間がかかるため、痛みを我慢せずに治療、リハビリを早期に開始することが結果として大切な練習時間が削られず、全力で行えることになります。

野球肩はなかなか治らない?

野球肩は、骨折や脱臼のような外傷ではなく繰り返されるストレスによる慢性的なスポーツ障害です。そのため、仮に組織の損傷が回復したとしても繰り返されるストレス(野球肩になった原因)が解消されないと再発してしまいます。

繰り返されるストレスは、身体の機能(関節の動きや筋肉の働きなど)に問題があり画像診断では原因がわかりません。このことから、身体の機能も評価できる専門家に出会えなければ、野球肩が治る可能性は低くなります。身体の機能をみれる医師は少なく、専門分野としては理学療法士になります。そのため、理学療法士の役割が重要となります。ただ、理学療法士にも細かくは専門性があり、スポーツ障害に理解がある必要があります。

このような条件になると、どこの病院でも治りますということはありません。

さらに、先に書いた野球肩の原因の中には「原始反射」「モーターコントロール異常」などは整骨院や整体にまで治療院の幅を広げたとしても評価してもらえるところは少ないです。このようなことから、評判の良いスポーツ整形外科、整骨院などへ通ってもそこで行われている治療以外の原因であれば、痛みの消失は難しく繰り返し痛めることも多くなります。

カイロプラクティック心では、リハビリ施設でも行われる身体評価にくわえ、神経系の評価も行うことで色々な視点から野球肩の原因を考えることができます。また、その原因にあわせた対処方法(カイロプラクティックアジャストメント、神経系の再教育など)も行うことで、病院でもなおらない野球肩が改善することがあります。

カイロプラクティック心の野球肩施術

カイロプラクティック心は、関節や筋肉の評価、アプローチだけではなく原始反射、機能神経学、NKTなどの神経系の評価も行うことで、今までわからなかった野球肩の原因を見つけることが可能です。また、カイロプラクティック心は、原因にあわせたアプローチ法で症状を改善させていきます。

スポーツ障害の再発予防には、ホームケア、身体の使い方の再構築が重要でもあるため、必要に応じて指導させていただきます。

関節障害、筋骨格系の問題、原始反射⇒関節運動学的テクニック、カイロプラクティックアジャストメント

バイオメカニクス異常、モータコントロール異常⇒NKT

筋筋膜性⇒筋伸張テクニック、ストレイン・カウンターテクニック

フォーム、身体の使い方の問題⇒エクササイズ指導

カイロプラクティック心は施術歴10年の施術者が責任をもって一人で担当させていただきます。また、安心して施術を受けていただけるよう現在も文献を読んだり、セミナー、勉強会にも出向いて知識と技術向上に努めております。

全力で投げられるように

野球肩は、全力で投げれない日々が続き辛いものです。

カイロプラクティック心は、そのような辛い日々に終止符がうてるように全力でサポートさせていただきます。そのために基礎的な野球の知識だけではなく神経生理学、原始反射など多角的な視点から野球肩の原因がみつけ、改善できるよう施術技術を向上させております。

これから試合で勝つために頑張りたい、レギュラーになるため早く練習を再開したい、全力で気持ちよくボールを投げたいなどの想いが叶うよう一緒に頑張りましょう。なかなか治らないと諦めずカイロプラクティック心にご相談ください。

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