スポーツ障害

長引く鵞足炎(膝内側の痛み)を改善させる

鵞足炎はランニング、水泳(とくに平泳ぎ)、自転車競技などに多くみられる膝内側の痛みです。

オーバーユース(使い過ぎ)が原因とも言われ、痛みが長引くケースもみられます。また、重症になると歩くだけでも痛くなったりするなど生活に支障をきたすこともあります。

鵞足炎を慢性化、重症化させないためにもおーばユース以外の原因を解決していくことが大切になります。

ここからは鵞足炎について原因、改善方法などを詳しく解説していきます。膝の内側が痛い、鵞足炎と診断された人は、ぜひ続きをお読みください。

鵞足炎の基礎知識

鵞足炎は、膝内側にある「鵞足」と呼ばれる部分に痛みが発生します。

鵞足は、「半腱半膜様筋」「薄筋」「縫工筋」の腱が一体化して膝内側に付着しています(下の図を参照)また、鵞足の下に鵞足包という滑液包があり、これが炎症をおこす滑液包炎という病態がみられるケースがあります。

出典:ネッター解剖学アトラス

鵞足炎とはなっていますが、腱組織が炎症を引き起こしている組織学的な裏づけはなく、腱の組織変性のみられる腱障害と考えられます。そのため、炎症が治まれば痛みが軽減するという病態ではないため、腱の修復に時間がかかり痛みが長引いてしまう可能性があります。

スポーツ障害だけではなく、鵞足下の滑液包炎がみられるのは過体重の中年女性に多くみられるという複数の研究報告があります。また、糖尿病、変形性膝関節症との関連も示唆されています。

腱障害と滑液包炎

鵞足炎においては、どちらの病態も発症している可能性があります。

腱障害は、先に説明したとおり腱の組織変性がみられ、局所的な圧痛、肥厚(腫れたようにみえる)が確認できます。また、特徴として運動後に痛みを訴え、動かすと楽になるためスポーツを継続し、悪化させてしまうことがあります。悪化すると安静時でも痛みが生じます。

滑液包は、 滑液の入った小さな袋状のもので、腱と骨の間にあって摩擦を軽減させる役割があります。 滑液包が炎症を起こすと局所的な圧痛、腫れ、特定の動作で痛みが生じます。

本来ならしっかりと診断されるべきですが、鵞足炎と一まとめにされる可能性もあり、適切な治療が行われないこともあります。

症状

初期は運動後に痛みが発症します。

進行すると階段の昇り降り、正座など膝を曲げる動作で痛みを感じるようになり、ひどくなると安静時や歩く時でも痛みが生じます。

診断

レントゲンでは鵞足および滑液包の状態は確認できないため、鵞足部分の圧痛が診断基準の一つとなります。ただ、中年以降であれば、変形性膝関節症のような骨の異常を確認するためにレントゲンが有効なケースがあります。

また、腱や滑液包の状態を確認したり、他の疾患と鑑別するために超音波検査(エコー)MRIなどが用いられます。

鑑別診断

膝内側には色々な組織が密集しています。

適切な処置を行うために、違う疾患ではないか鑑別する必要があります。(主に以下の疾患と鑑別します)

  • 内側半月板(運動障害、損傷など)
  • 膝蓋大腿関節症
  • 内側側副靭帯損傷
  • 鵞足部以外の滑液包炎
  • 変形性膝関節症
  • 関連痛(他の筋肉、腰椎、股関節など)
  • 伏在神経の絞扼障害

自己判断で鵞足炎と考えずに、専門医に診断してもらうことも早期改善には大切です。

一般的な病院での鵞足炎治療(整形外科)

基本的には手術以外の保存療法が選択されいます。

安静

痛みのある動作、活動自体を中止します。ただ、安静と言っても「痛みのない範囲」を大前提として活動することが望ましいです。

安静の目的として腱の修復が目的です。

腱が修復しない間に膝内側(鵞足)に負担をかけ過ぎると腱が障害され、長引かせる可能性があります。

薬物療法

非ステロイド性抗炎症薬(痛み止め薬)が処方されることもありますが、腱障害では炎症がみられないため効果は少ないです。また、滑液包も血液供給が少ない組織のため、効果がみられないこともあります。

ただ、プラセボ効果(偽薬を投与しても効果を感じる)は期待できるため、痛み止めを薬によって痛みが和らぐ可能性があります。

ステロイド注射

滑液包炎においては、ステロイド注射が有効とされています。

腱障害でも効果が期待できますが、副作用(腱断裂、腱短縮など)もみられるため、使用する場合は注意が必要です。

物理療法

超音波療法は、腱変性の修復促進に用いられることがあります。電気療法は、血流改善、炎症の抑制などに効果がみられます。

超音波と温熱療法を合わせた物理療法が効果がみられたという研究報告もあります。

痛みがあるとアイシングを多用する人もいますが、炎症の抑えることで回復を遅らせることが複数の研究で示唆されており、鵞足炎では温熱療法が効果的ともされていることから、アイシングはあまり行わないほうが良いと考えられます。

リハビリ(運動療法)

鵞足炎の原因筋肉である半腱半膜様筋、薄筋、縫工筋を中心としたストレッチや筋力トレーニング(とくに大腿四頭筋が有効とされています)

ただ、ストレッチすべきかは検査(可動域、筋力テストなど)も必要なため、専門家の指導の下行いましょう。

一般的なセルフケアは有効?

一般的なセルフケア方法の有効性について解説していきます。

湿布

日本ではケガをすると湿布を使用する頻度は多いです。しかし、湿布は海外で処方されることはなく、ほとんどが塗り薬です。そのため、湿布に関する科学的根拠は不明です。

塗り薬を含めた研究においても以下のとおり、科学的根拠は確立されていません。

変形性関節症および急性筋肉損傷に対して経口NSAIDと同等の有効性および安全性が示されている。急性および慢性の腰痛、広範囲の筋骨格痛、および末梢神経障害性疼痛症候群において、現在の証拠は局所NSAIDの使用を支持していない。

参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20210866

※NSAIDは非ステロイド性抗炎症薬のことで市販もされているロキソニン、ボルダレン、アスピリンなどになります。

鵞足炎では非ステロイド性抗炎症薬が有効とは言えないため、湿布も効果的ではありません。

テーピング

鵞足炎のテーピング方法は、セルフケアとして活用できます。

キネシオテーピングは皮膚に貼ることによって機械受容器が変化(触られている感覚や押される感覚など)することによる痛みの軽減、筋ポンプの促進、関節アライメントの修正などによる血液循環や筋機能向上を目的とすることで痛みが和らぐことがあります。

ただ、膝の問題だけではなく足関節や股関節など下肢全体のアライメント不良が原因となるケースも多く、全ての人に効果的とは言えません。

実際は、足関節の問題が鵞足炎につながっているケースも多く、足関節のアライメント修正にテーピングを活用すると痛みが軽減することがあります。

サポーター

サポーターは、軽い圧迫ができることでキネシオテーピングと同様に機械受容器の変化がみられ、痛みの軽減につながることがあります。

利便性はありますが、テーピングでも説明したとおり、下肢全体のアライメント不良が原因であると効果は少ないです。

ストレッチポール

最近では筋膜リリースと称して、ストレッチポールを使用して筋膜を伸ばす方法が注目され始めました。鵞足炎においても筋膜リリースが紹介されていることが多いです。

出典:ACEFITS フォームローラー

 

フォームローラーでコロコロしていると可動域が広がるという研究報告もあり、ストレッチの一つとして行っても良いです。

ただ、一般的には筋膜を押し広げるようなイメージが強く、痛くてもゴリゴリと強く押してしまいがちですが、心地よいレベルで行いましょう。世間的に筋膜と言われる部分には、筋肉にはない神経受容器(圧を感じるセンサー、振動を感じるセンサーなど)があり、それらに刺激がいくことで結果として可動域が上がります。このようなことから、軽めの刺激でも充分です。、強くしても効果は変わらず、場合によっては余計に固くなる可能性もあるため、強く行うのは止めましょう。

フォームローラーにおける筋膜リリースについて詳しくはこちら⇒フォームローラーで本当に筋膜リリースできるのか?検証する(理論編)

歩けない、歩くと痛いまで重症化させないためには

鵞足炎は、初期の段階であれば休息と適切な処置(腱変性の修復、原因の改善)によって早期に回復します。

歩けない、歩くと痛い状態にると腱の変性が進行し、その周辺組織との滑走性も低下していることが考えられ、回復が遅れて今します。

そうならないためにも初期の段階で適切な処置が必要です。

腱の変性においては、休息が大切になるため、痛みのない範囲で(運動後の痛みもない程度)動くことは可能ですがしっかりと休息をとりましょう。休むべきときに休むことで結果として早く回復して全力で練習に取り組めるようになります。

あと大切なことは、鵞足炎になってしまった原因を解決することです。

せっかく大事な練習時間を割いて休息したとしても原因が解決していなければ、鵞足に負担をかけてしまっていることに変わりがないため、再発しやすく重症化もしやすいです。

重症化してしまった場合でも骨格の問題や関節の運動障害などが原因であれば、それらを解消することで痛みが軽減することも多いです。

鵞足炎の原因

鵞足炎の原因は多岐に渡り、大きくは「身体的」「トレーニング」「環境」の3つに分けることができます。

トレーニングにおいては、急激な練習量の増加(とくに進学時期の4~5月)練習強度(アップダウンが多いコース、ストップ&ダッシュに加え方向転換が多いなど)などによるオーバーユース(使いすぎ)が原因となります。

環境の問題では不適切なシューズ(足に合っていない、使い古されているなど)が原因となります。

身体的な問題は以下のとおりです。

下肢アライメント異常(回内足)

回内足は、写真のように踵がハの字に開いてみえる足関節のアライメント異常です。

歩行やランニングの着地時に踵骨の回内運動がみられるのは正常ですが、過剰な回内は膝を内側に倒すknee inが増長され、とくに縫工筋へのストレスが強まります。

回内足になる原因としては、過去の外傷(足関節の捻挫、骨折)足に合わない靴を履き続けるなどが考えられます。また、回内足ではないケースでも膝および股関節のアライメント異常によって踵骨の回内運動が増長される場合もあります。

 

骨格のアライメント不良

変形性膝関節症の人が鵞足炎を発症することが多く、O脚、X脚が問題となるケースがあります。また、O脚、X脚は膝のアライメント不良ではなく、全身の影響(腰椎の前弯減少、骨盤後傾、股関節内旋、回内足など)の問題でもあります。

このアライメント不良により、関節の運動障害も起こりやすくその結果、膝への負担が大きくなります。

身体の使い方

下肢のアライメントが良好でもランニングの着地時にKnee in to out(膝が内側を向きつま先が外を向く)トレンデンブルグ徴候がみられたり、けり脚が外側に向いたりすることで膝内側に負担がいかかります。

にKnee in to outにおいては、自転車競技でも同じことが言えます。

水泳の平泳ぎでは股関節の使い方(股関節が上手く内旋しない)によって膝に負担をかけてしまいます。

競技によって特性は違いますが、股関節が上手く使えていないことが起因して膝への負担を増やしていることが多いです。

モーターコントロール異常(運動制御の異常)

身体は複数の筋肉が協調して動きますが、この協調性が乱れると鵞足炎に関与する筋肉の負担が大きくなります。

例えば、けり脚が外側に開く場合、半腱半膜様筋(ハムストリング内側)が上手く働いていないことが考えられ、この状態では半腱半膜様筋の負荷が大きくなります。

モーターコントロール異常では、半腱半膜様筋が働かない原因を解消する必要があります。

モーターコントロール異常であることを気づかずにストレッチやエクササイズをこなしても効果が少なく、悪化する可能性もあります。

中枢神経系の機能低下

左右の脳バランスが崩れていると、左右の筋肉の緊張度に違いが現れます。さらに前後の筋肉の緊張度にも違いが現れると共にバランス感覚にまで影響を及ぼします。

そうなるとランニングでの着地時の不安定、膝をおよび股関節を曲げる筋肉のアンバランスが生じます。それが結果として膝への負担となってしまいます。

原始反射の問題

原始反射は、誰もが持っている反射であり、成長と共に大脳でコントロールするようになります。原始反射は、運動や姿勢の基礎にもなります。とくに姿勢反射に関わる緊張性迷路反射、非対称性緊張性頸反射は全身の協調運動が難しかったり、左右の協調運動が難しかたりすることで膝への負担が大きくなります。

内臓疲労

縫工筋は副腎、半腱半膜様筋は大腸と関係が深い筋肉です。

大腸では便秘、下痢が日常的になっていると半腱半膜様筋の機能低下につながります。また、栄養吸収にも重要な消化器系の内臓でもあるため、大腸の不調により筋肉への栄養供給も上手くいかないため、ダメージを受けやすくなります。

副腎はホルモンを分泌する臓器でありストレスと関りがあります。また、糖利用、血圧なども調整するため、カフェインや甘いものを摂りすぎることでも負担をかけてしまいます。

大腸や副腎の不調、疲労によって膝への負担が大きくなっていることがあります。

カイロプラクティック心の鵞足炎施術

カイロプラクティック心は、関節や筋肉の評価、アプローチだけではなく原始反射、機能神経学、NKTなどの神経系の評価も行うなど、「何が原因か?」を追求するため検査を重要視しています。

スポーツ障害であると筋骨格系のアプローチが多いですが、神経系および内臓疲労が原因になることもあります。それが結果としてどこに行っても改善されなかったり、再発を繰り返す原因になるため、神経系や内臓疲労の評価も行います。

また、人それぞれ違う原因に合わせたアプローチ方法で施術を行うとともに早期改善を目指してホームケア方法、シューズの選び方、食生活の見直しなどのアドバイスもさせていただきます。

関節障害、筋骨格系の問題(回内足)⇒関節運動学的テクニック、カイロプラクティックアジャストメント

(モータコントロール異常)⇒NKT、筋伸長テクニック、カイロプラクティックアジャストメント

筋筋膜性⇒筋伸張テクニック、ストレイン・カウンターテクニック

滑液包炎⇒フリクションマッサージ(痛みの抑制に有効です)

内臓疲労⇒内臓マニュピレーション、栄養指導

原始反射、神経系の機能低下⇒神経活性化エクササイズ、カイロプラクティックアジャストメント

フォーム、身体の使い方の問題⇒エクササイズ指導

カイロプラクティック心は施術歴10年の施術者が責任をもって一人で担当させていただきます。また、安心して施術を受けていただけるよう現在も文献を読んだり、セミナー、勉強会にも出向いて知識と技術向上に努めております。

回内足改善のバランストレーニング

回内足が原因とされる鵞足炎は、関節の位置感覚を向上させるバランストレーニングが有効です。カイロプラクティック心では、筋力強化のエクササイズ、ストレッチだけではなく関節の位置感覚を向上させるトレーニングも指導し、再発予防を行います。

回内足は、足底アーチのアライメントの問題でもありますが、スポーツ競技において関節をコントロールすることは需要であり、過剰の回内(プロネーション)にならないためにも大切なトレーニングです。

エクササイズ道具

鵞足炎にインソール

カイロプラクティック心は、3点バランス保持理論のBALANCEインソールの代理店です。

3点バランス保持理論は以下のとおりです。

もともと人間は足裏の踵骨、親指根元の種子骨(拇趾球)、小指根元の中足骨(小趾球)の三点を支点として、二足歩行が可能となりました。 三点BALANCE保持理論とは、この三支点にバランス調整を行うことで、より支点保持力を高め、内外の縦足弓や横足弓の働きを活性化させて、 質の高い重心バランスに調整すると共に、「第2の心臓」として循環機能を活性、補助させる事を目的としています。

出典:三点BALANCE保持理論について

インソールの改善には、足底アーチを日常でも機能的に保っていくためにインソールも1つの手段として有効です。そのため、足底アーチの崩れが強い人や検査でインソールが効果的と考えられる人には、インソールも提案させていただきます。

※強制的に購入していただく必要はございません。

カイロプラクティック心は足の専門知識があります

カイロプラクティック心は、現在販売しているインソールだけではなく、以前は足型をとりその人に合ったパーツ選択してオーダーメイドインソールを作成するために身体評価もしていました。

このような経緯からインソールについてのメリット・デメリットまで幅広くアドバイスさせていただきます。また、インソールだけがよくても靴が悪ければ、足の問題は解消されにくいです。そのため、靴の選ぶポイントもアドバイスさせていただきます。

カイロプラクティック、整体でも足の各関節、筋肉をしっかりと検査して施術できるところは多くはありません。カイロプラクティック心は、インソール作成業務にも携わってきたこともあり、足からの調整は得意です。

鵞足炎の痛みは改善できます

鵞足炎は、腱障害でもあるため、病院での超音波治療も有効ですが、ここであげた原因はカイロプラクティック、エクササイズ、栄養指導を正しく行うことで解決されます。

そのため、長引く鵞足炎、再発を繰り返す鵞足炎の人の力になることができます。

「早く競技に復帰したいのになかなか治らない」「再発を繰り返しておもうように練習ができない」「歩くことも苦痛」という人は、ぜひカイロプラクティック心にご相談ください。

早くスポーツ競技に復帰したい想いに応えられるよう全力でサポートさせていただきます。

参考文献

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27512249

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK532941/?log$=activity

 

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