ゴルフ肘は、肘の内側の痛みを訴える症状であり、ゴルフ選手やテニスのフォアハンドが得意な選手に多くみられるスポーツ障害でもあります。
病院では内側上顆炎と診断されますが、病態は炎症ではなく腱障害であるため、病院で処方される抗炎症薬(痛み止め薬)に効果がみられないことが多いです。
また、しびれも併発することもあり、他の疾患との鑑別診断ができないことでゴルフ肘の原因と治療方針が一致しておらず、症状が治まらないことも少なくありません。
カイロプラクティック心は、スポーツ選手を多くみた経験から他の要因も踏まえて原因を考え、その人に合ったアプローチを行い病院でも改善されなかったゴルフ肘にも対応しています。
ここでは、ゴルフ肘についての原因、改善方法などを詳しく解説していきます。
ゴルフでも肘の外側を痛めた人はこちらをご参考ください。
ゴルフ肘とは
ゴルフ肘は、一般的には内側上顆炎と診断されるため、炎症が起こっているかのように勘違いされています。
実際は、過負荷または過剰使用による肘の内側前腕屈筋腱の腱障害です。
図では赤丸で囲ってある部分(白っぽいところが腱)が障害されています。
※図はクリックすると大きくなります。
引用元:プロメテウス解剖学
腱障害とは
腱に繰り返しの負荷がかかり微小裂傷(マイクロトラウマ)を受けると、限局性壊死または石灰化が起こる可能性があります。
その後、コラーゲンの強度が低下し、脆弱性の増加、瘢痕組織の形成、および腱の肥厚につながります。
もう少し具体的に説明すると、腱の柔軟性(腱の柔軟性は筋肉ほどありません)がなくなり、腱の正常な組織を維持できていない状態です。
炎症であれば炎症が治まれば痛みが消失しますが、腱障害は組織がある程度は修復する必要もあり、痛みが長引きやすい病態です。
ゴルフ肘になりやすい人は?
45〜64歳に発症率が高く、男性に比べて女性に多く見られます。
30歳を過ぎると組織の変性が進行しやすいため、20代よりも腱障害を誘発しやすいことが考えられます。
ゴルフやテニス、その他のラケットスポーツ、ボウリング、重量挙げなどのスポーツ障害ですが、90%以上はスポーツに関連しない人が発症します。
主に発症する人は、肉体労働者に多く反復な活動を伴う職業です。(大工、配管工事など)
他には心理的要因(心身症状、抑うつ状態など)も関連が示唆されています。
内側上顆炎の診断方法
レントゲン・MRIなどの画像診断は、尺骨側副靭帯の裂傷、離断性骨軟骨炎、または他の軟部組織損傷などゴルフ肘以外の疾患を除外する検査として有効です。
整形学テストが、主に診断に使われます。
呼び名は違うこともありますが、ゴルファーエルボーテストといって腕を伸ばしたり回外したりした状態で手首の屈曲に抵抗し痛みが誘発されれば、ゴルフ肘の可能性が示唆されます。
鑑別診断
肘の内側の痛みはゴルフ肘だけではないため、治療方針を立てる意味でも鑑別診断が重要です。
主な鑑別すべき疾患は以下のとおりです。
- 神経障害(C6またはC7神経根障害、肘部管症候群、尺骨または正中神経障害、尺骨神経炎、前骨間神経絞扼障害など)
- 内側側副靭帯損傷
- 関節包炎
- 内側上顆剥離骨折
- 滑膜炎
ゴルフ肘の病院治療
一般的には手術以外の保存療法が選択されます。
薬物療法
非ステロイド性抗炎症薬が処方されます。
ただ、炎症による痛みではないため、効果を感じない人も少なくありません。
ステロイド注射
痛みが強い場合にステロイド注射を行うこともあります。
しかし、副作用(免疫低下、組織の惰弱など)もあるため、強烈な痛みではない限り行われないです。
理学療法(リハビリ)
高周波温熱治療や超音波治療などの医療機器で患部の炎症を抑えていきます。(ゴルフ肘は炎症ではないため、効果は不明です)
理学療法士が肘の痛みを発生させる原因を考え、筋力トレーニング、エクササイズなどのリハビリプログラムによってゴルフ肘を改善させていきます。
体外衝撃波
保険適用外の治療ですが、難治性の腱障害に有効となることがあります。
PRP療法
血液中に含まれる血小板を利用した再生医療で、メジャーリーガーの田中投手、大谷投手が行ったことで有名になった治療法です。
これも保険適用外の治療です。
手術
難治性のケースにおいて、手術(腱の問題部位の切除)が選択されることがあります。
ゴルフ肘が病院治療で良くならない理由
ゴルフ肘は、改善されやすく治療後も再発することは少ないとされていますが、ゴルフ肘が病院治療で良くならないケースがあります。
基本的には保険適用の薬物療法を行うところが多いですが、炎症による痛みではないため改善されることが少ないです。
理学療法は有効ですが、理学療法士のレベルによっては、ゴルフ肘がなぜ起こってしまったかの評価ができず、ただ医師の指示通りのマッサージや医療機器を使用するだけでは改善が難しいケースがあります。
体外衝撃波、PRP療法は有効ですが、取り扱う病院自体が少ないです。
また、保険が適用されていない療法は、根拠のある治療とし認められていないともいえ、必ずしも有効とは言えません。
これらの理由によって、ゴルフ肘が改善されない人がいます。
そして、なかには関節障害や頸椎性の問題など病院では改善しにくいゴルフ肘の原因によってなかなか治らないケースがあります。
ゴルフ肘の原因
腱障害のリスクとしては、タバコと2型糖尿病があります。
タバコは血流の循環不良を招くことが解っており、腱への血液の供給不足により腱が障害されやすくなります。
糖尿病は糖の代謝異常であり、組織の回復が正常に行われにくいです。
また、女性においては肥満も関連していると言われています。
参考文献(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4850209/)
このようなことから、生活習慣および食生活の見直しも必要なケースがあります。
肘関節の関節障害
肘関節が正常に動作しないことが原因で腱だけではなく、関節への負担によって痛みが誘発されています。
また、関節が正常に動かないことで腱への負担が増加し、痛みが軽減されないこともあります。
肘関節も単純な運動に見えますが、カップリングモーションといって複数の動きが組み合わさります。
例えば、肘の屈曲(肘を曲げる)では、尺骨は内反(体側へ動く)+外旋(外側に回る動き)が伴います。
フォームの問題(体の使い方)
ゴルファーでは、バックスイングのトップからボールインパクトの直前まで起こり、テニスプレイヤーではフォアハンドで発症します。
不適切なフォームによって、肘への負担が大きいことが起因していることがあります。
具体的には、体幹部の回旋過不足、肩の可動制限などによるパワー不足を腕の力でカバーしようと肘への負担が増加しています。
頸椎性
頸椎の神経根が障害されることで、肘の痛みを発症することがあります。
また、頸椎を通る神経が肘の内側前腕屈筋群を支配するため、頸椎性の問題で筋機能が低下した結果、ゴルフ肘のような症状が現れることがあります。
他の障害の影響
ゴルフ肘の84%は、別の仕事関連の筋骨格障害、ほとんどの場合、肩腱炎、手根管症候群、または外側上顆炎を患っていたという研究報告があります(参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4850209/)
疾患まではいかなかったとしても肩や手首、他の筋肉骨格の可動制限や筋力低下がゴルフ肘の原因となることもあります。
肘だけではなく全身を評価し、リスクを抑えていくことも必要です。
神経障害
とくにゴルフ肘にしびれが伴っている場合は、神経障害も併発している可能性が高いです。
肘関節包付近は、前骨間神経、正中神経などがとおり、その影響によりしびれや運動障害を引き起こすことがあります。
前腕屈筋群の1つである尺側手根屈筋の腱の間(肘部管)をとおる尺骨神経を障害する可能性もあり、これらの神経障害がゴルフ肘の痛みにつながることもあります。
中枢神経系の問題
筋肉の緊張度は、脳によって適切にコントロールされます。
しかし、中枢神経のアンバランスが生じると筋肉の緊張度がコントロールが上手くいかずに前腕筋群が過度に緊張するとゴルフ肘を発症する可能性があります。
また、原始反射が残存することによって指に極端に力が入りやすい、手足の協調運動が難しくなるなどがみられるため、結果としてゴルフ肘を発症することがあります。
これらの神経機能を評価、アプローチすることでゴルフ肘が改善されるケースがあります。
カイロプラクティック心は関節の機能障害、頸椎性、中枢神経系の問題などを評価し、それらの原因に対してアプローチすることで病院でも治らなかったゴルフ肘を改善させることができます。
カイロプラクティック心のゴルフ肘改善方法
カイロプラクティック心は、関節や筋肉の評価、アプローチだけではなく原始反射、機能神経学、NKTなどの神経系の評価も行うことで、今までわからなかったゴルフ肘の原因を見つけることが可能です。
また、カイロプラクティック心は、原因にあわせたアプローチ法で症状を改善させていきます。
ゴルフ肘と思われる症状が、頚椎おおび胸椎の問題であるこがあります。
この場合、頚椎の可動域低下、圧痛などみられることがあり、このようなケースで肘ばかり治療しても効果はなく、背骨へのアプローチを得意とするカイロプラクティック施術が有効です。
スポーツ障害の再発予防には、ホームケア(食生活、生活習慣も含む)、身体の使い方の習得も大切になるため、必要に応じて指導させていただきます。
ゴルフ肘施術
- エクササイズ道具
- スポーツスクール身体の使い方指導
- 各種検査
- 足関節調整
関節障害、筋骨格系の問題、原始反射⇒関節運動学的テクニック、カイロプラクティックアジャストメント
バイオメカニクス異常、モータコントロール異常⇒NKT、
筋筋膜性⇒筋伸張テクニック、ストレイン・カウンターテクニック
フォーム、身体の使い方の問題⇒エクササイズ指導
ゴルフ肘にも色々な原因があり、それに合わせたテクニックを使用していくことが改善への近道です。
カイロプラクティック心は施術歴15年の施術者が責任をもって一人で担当させていただきます。
また、安心して施術を受けていただけるよう現在も文献を読んだり、セミナー、勉強会にも出向いて知識と技術向上に努めております。
ゴルフ肘テーピング
カイロプラクティック心は、正常な関節運動を促すテーピングを行います。
このようなテーピングにより、スポーツを継続しながら改善させていくことも可能です。
ゴルフ肘に有効なセルフケア
腱障害に有効とされるエクササイズ方法がります。
テニス肘と呼ばれる肘の痛みも腱障害であり、伸張性収縮運動による改善が研究で報告されています。
【伸長性収縮運動によるインピンジメント症候群と外側上顆炎の改善効果】https://t.co/FKnciGc3qE
伸長性収縮運動は、上肢腱障害による痛みや筋力低下の改善に非常に効果が高いことが認められた。
★アキレス腱炎に対するリサーチにおいても同様の結果がある
★伸長性収縮運動は腱症の改善に大きく貢献— 日本スポーツ徒手医学協会 (@manualsports) 2018年3月6日
ゴルフ肘も腱障害であるため、このエクササイズが有効です。
ただし、継続的に数ヶ月行う必要があります。(研究では3ヶ月)
腱障害を起こしている場合は、即改善するということはなく長期的な治療計画を地道に行うことが大切です。
ゴルフ肘の改善を諦めないで
ゴルフ肘は、病院ではわからない原因もあり、それによってなかなか治らないことがあります。
しかし、諦めないでください。
ここで紹介したように病院で治らないゴルフ肘でも改善する可能性はあります。
これからもゴルフを楽しみたい、仕事を頑張りたいなどの目的を達成するために、精一杯サポートさせていただきます。
諦めずにゴルフ肘を改善したい人は、カイロプラクティック心と一緒に頑張りましょう。
参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK519000/
投稿者プロフィール

- カイロプラクター
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伊勢市小俣町でカイロプラクターをしています。
病院では異常が見当たらず、どこに行っても良くならなかった方が体調を回復できるようサポートします。
機能神経学をベースに中枢神経の可塑性を利用したアプローチで発達障害、自律神経症状、不定愁訴にも対応しています。
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