最近では、大人になってから発達障害と診断されるケースもあり、ADHD(注意欠陥多動性障害)の特徴によって仕事が上手くいかないことがあります。
ADHDは先天的とされていますが、後天的にADHDとなる研究報告もあり、大人になってから気づくケースも多いのかもしれません。
また、大人では周りに理解が得られないことで困難に直面することが多く、2次障害(うつ、不安、不眠や頭痛などの身体症状など)がみられることがあります。
そのため、2次障害を引き起こさないためにも適切なケア、治療などが必要です。
カイロプラクテイック心は、発達障害に有効なBBIT認定療法士であり、ADHDの困りごとに対して施術や運動療法などでサポートしております。
大人のADHDの方でもご相談ください。
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ADHDとは?
(ADHD:Attention Deficit Hyperactivity Disorder)は、注意欠陥(不注意)・多動性(じっとしていられない)・衝動性(思いつきだけで行動してしまう)の3つの症状がみられる発達障害(神経発達症)のことです。
ADHDの診断基準、一般的な特徴などはこちらの記事をご参考ください。
大人のADHDの有病率は、2~3%と推定され、最近では大人になってから診断を受けるケースも増えているようです。
また、ADHDと診断されていない場合、2次障害でみられるうつ病、不安障害、双極性障害、パーソナリティ障害と診断されていることもあります。
そのため、大人ではこれらの障害がみられることもADHDの診断基準の1つとなるようです。
ADHDは年代によって不注意、他動、衝動性の徴候が異なるため、診断する場合は年代も考慮する必要性もあると考えられています。
とくに成人期では、不注意が問題になることが多く自閉症スペクトラム障害との鑑別が困難とされています。
また、不注意は女性に多く気分や感情のコントロールに問題が生じ、気分障害やうつなどの誤診につながることもあります。
参考文献
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28211596/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38130507/
おとなADHDの特徴
大人のADHDでは以下のような特徴がみられることがあります。
- 目の前にある仕事に集中ができない
- マルチタスクが苦手である
- 優先順位をつけることが難しい(計画を立てることが困難)
- 約束や期限を忘れてしまう
- 忘れ物が多い
- 礼儀に欠ける
- 片付けが苦手
- 過度にしゃべりすぎる
イライラ、フラストレーションに耐えられない、感情を抑えられないなどもみられ、気分障害と誤診されることもあります。
また、自閉症スペクトラム障害のように対人関係に難しさを感じないようですが、親しい友人関係を維持することが難しいです。
ADHDの良い面
自閉症スペクトラム障害も同様ですが、世界を変える偉人に多くみられます。
ADHDの特徴として、創造的でアーティストとして成功しているケースが多いです。
また、タスク管理が苦手な反面、仕事が自分の利益につながることが理解できるとやりがいを感じます。
仕事で成功を得るために自分の欠点を認め、それに対処(タスク管理アプリの利用、アラームの設定など)していくことが重要と考えられています。
ADHDと非ADHDと比べると学業の成績は良くないですが、一定の年齢に達することで困難を示すことが減るとされ、状況を受入れるためにも早期の受診が推奨されています。
おとなADHDの必要な支援
「ADHDかも?」と感じた場合は、病院を受診することが重要です。
ただ、最近では脳波の検査で簡単にADHDと診断してしまうクリニックもあるようですが、それはADHDの診断基準を満たすものではないため、注意しましょう。
ADHDは確立された治療方法はありませんが、おとなのADHDの課題の一つである2次障害を併発するリスクは軽減できると考えられます。
また、ADHDと気づかずに2次障害でみられる疾患の治療を行っても効果がみられないこともあり、無駄な治療を継続しないためにも受診は有用です。
ADHDは服薬によって症状が軽減することもあるため、適切な診断と処置は重要と言えるのではないでしょうか。
支援を受ける選択肢を多く
ADHDは服薬の有効性が認められていますが、副作用や依存性もあります。
また、ADHDに限ったことではありませんが、どのような治療でも100%の効果はありません。
そのために支援方法も治療という1つの選択肢だけではなく、色々な支援があることを知っておいた方が良いでしょう。
公的なものであれば、就労支援や生活支援などの相談窓口があります。
病院では服薬以外にも心理療法(カウンセリング、認知行動療法など)も受けられる施設もあります。
カイロプラクテイック心のADHD大人の支援
ADHDの大人の方は、身体症状(頭痛、睡眠障害など)に悩まされることも多く、思春期であれば起立性調節障害を発症しやすいとも考えられています。
これらの身体症状をサポートし、身体的なストレスを少しでも軽減させていきます。
また、発達障害に有効なBBIT認定療法士であるため、発達障害に理解のあるセラピストが対応いたします。
身体症状以外にもADHDの特徴から不注意、空間認知の弱さ(片付けが苦手)、マルチタスクの苦手(執行機能の低下)なども脳機能の問題からサポートいたします。
大人のADHDを脳機能から紐解く
研究では、ADHDとASDともに前頭葉、側頭葉、頭頂葉、線条体視床ネットワークで脳の構造異常が観察されています。
そのため、ADHDとASDどちらの診断も下りることは不思議ではないと考えられます。
だだ、比較すると以下のような違いがみられたと報告されています。
- ADHDでは、前頭前野や前帯状回などの前頭葉や小脳の機能低下や容積減少がみられた。
- ASDでは、側頭葉や扁桃体などの社会認知に関連する領域の機能低下や容積減少がみられた。
結論:ADHDとASDは認知制御において異なる脳構造と機能の異常を示すことが明らかになった。これらの異常は、ADHDでは行動的な不注意や衝動性、ASDでは社会的な理解やコミュニケーションの困難に関連していると考えられる。
他のADHDの脳機能異常として、以下のことも述べられています。
報酬や感情の処理に関する脳領域(腹側前頭前野)の白灰質質容量の減少がみられ、成人期の依存症行動に関与が考えられています。
また、行動の切替や抑制に関わる大脳基底核ループの経路に異常が示され、過度にしゃべりすぎたり、悪いと思いながらも一日中スマホをみてしまったりする行動につながります。
ASDとも共通している部分ですが、右側の島皮質の機能低下がみられました。
島皮質は、認知機能、内臓感覚、自律神経機能など多様な機能があり、運動抑制機能としても役割を担っています。
このように、ADHDの脳機能の研究も進んでいます。
また、ADHDは前頭葉の機能不全といった見解もあり、前頭葉についてはこちらもご参考ください。
脳機能に注目した研究
脳は構造的および機能的に変化する性質【脳の可塑性】があります。
そのため、脳の機能異常が認められるADHDであっても、好影響を与えた療法の研究報告もあります。
音楽
ミュージシャンの脳は、感覚運動の接続性が高く、大脳基底核、脳梁、小脳の容積が大きいとされています。
また、音楽は報酬系の神経回路を調整すると考えられています。
そのため、音楽療法が、ADHD の症状を軽減し、ADHD である人の作業パフォーマンスを向上させるのに有益であることを示した研究があります。
参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37171837/
個人的にも音を用いたアプローチは、有効性を感じておりカイロプラクテイック心でもテンポや音楽を利用したセルフケアを行っています。
運動
ADHDは、仕事に集中できなかったり、マルチタスクが苦手であったり、実行機能に問題が生じていることが研究でも報告されています。
有酸素運動を含めたスポーツ、身体活動などはADHD を持つ児童および青少年の実行機能を改善させるために有益とされています。
運動の内容は、ゲームでの身体活動、トレッドミル、水中プログラム、テニス、テコンドーなど色々と試されており、一定の効果がみられています。
参考文献
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35049535/
運動はあらゆる脳領域に刺激を与えることができるため、ADHDに限らず健康の維持向上に欠かせません。
また、カイロプラクテイック心でも脳の可塑性を用いたアプローチは運動を行います。
カイロプラクテイック心の大人のADHDアプローチ
カイロプラクテイック心は、発達障害に有効なBBIT認定療法士です。
そのため、ADHDの特徴を理解し、サポートさせていただきます。
例えば、ADHDの大人は、頭痛や疲労感、自律神経症状(不眠、腹痛など)も訴えやすく、一般的な施術では筋骨格系へのアプローチがほとんどになりますが、ADHDの特徴を理解していると視覚機能や脳機能も含めたアプローチが可能となります。
身体症状へのアプローチは、ADHDの根本的な問題解決にはなりませんが、まず1つでもストレスに感じることを軽減させる目的でもご利用ください。
大人のASDとこどものASDのアプローチの違い
大人とこどものADHDへのアプローチの大きな違いは、「限定的な神経ネットワークへのアプローチの必要性」「長期的な計画」の2点が挙げられます。
こどもは脳の発育段階でもあるため、大脳皮質の左右のバランスを評価し、機能低下してると考えられる側を活性化させるアプローチによって変化がみられることが多いです。
しかし、脳の発育段階ではない大人の場合は、複雑な神経ネットワークを形成している脳に対して左右にこだわらず限定的な神経ネットワークへのアプローチが必要と考えられます。
例えば、仕事に必要な実行機能の悩みを解決したい場合は、前頭葉を介した神経回路へのアプローチが必要であり、立ち仕事、デスクワークなど仕事内容も違うため、その人に必要な能力を考えることも大事になります。
限定的な神経ネットワークへのアプローチ
ADHDでは、眼球運動に問題が生じていることで集中できない、片付けが苦手などの困りごとがみられることがあります。
幼児期から年齢を重ねることで眼球運動が日常生活で訓練されていることもありますが、スマホやデスクワーカーなど眼球運動に支障をきたす生活をしているケースも少なくありません。
そのため、まず眼球運動を正常に戻していくことが大切になる可能性もあります。
そして、目の動きと体の協調性、目を使った認知トレーニング(眼球運動を使って文字や図形を認識して覚えるなど)などを行うこともあります。
このように大人のADHDは、その人の悩みを軽減するために必要な脳機能を評価し、問題があればその領域を中心に活性化を目指してアプローチしていきます。
そして、実際の生活にリンクするようエクササイズ内容をカスタマイズしていきます。
例えば、立ち仕事では立位での眼球運動や認知トレーニングが必要となり、マルチタスクが重要となる仕事ではダブルタスク、トリプルタスクを行えるようなエクササイズを構築していきます。
長期的な計画
研究のほとんどが8~12週/週3~5日の日数をかけて、プログラムされたリハビリを実施し、効果の判定を行います。
そのため、少なからず12週(約3ヶ月)の計画で対応していくことが重要となります。
ただ、長期的な計画を実施していくことが苦手なADHDにはネックとなる部分ではあります。
このようなことから、身体症状を軽減していく、小さな目標をクリアしていくなど自分にとって良かったと思えることを合わせながら、ADHDならではの悩みも解消していくことが1つの手法となります。
アプローチ方法
脳の可塑性を利用したアプローチとなります。
カイロプラクティック
関節や筋肉へのアプローチは、体性感覚への刺激となり、それが大脳皮質への刺激となります。
また、呼吸機能を回復させ神経系にも十分な酸素を供給するためにも、筋骨格系へのアプローチは有効です。
頭蓋骨療法を含めた迷走神経アプローチは、副交感神経を優位に活動させやすく呼吸と合わせて行うとストレス軽減につながります。
感覚エクササイズ
脳機能への刺激は、運動、ビジョントレーニングなどが有効であり、神経可塑性を促すために重要です。
研究でも身体活動の有効性は示されており、脳機能の向上を目指した感覚エクササイズは有効と考えられます。
カイロプラクテイック心では評価に基づき、活性化させた脳領域の機能に合わせてエクササイズをプログラムいたします。
感覚エクササイズについてはこちら
感覚を受取る視床も含めて脳は振動しており、神経ネットワークに重要と考えられています。
その振動を正常とするために、体幹部の安定は重要である可能性があます。
この理由として個人的な見解ではありますが、体幹のコントロールは脳機能を介しているため、脳機能を健全に保つめやすとして体幹の安定は必要と思われます。
実際ASDの感覚過敏は、サポート期間(3~6ヶ月)で軽減することも少なくありません。
食事サポート
ADHDはアレルギー体質であったり、腹痛を引き起こしやすかったりします。
その原因のひとつに、腸内環境の問題や食生活の乱れがみられることも少なくありません。
また、脳の可塑性を活発化させるためにも栄養状況は重要です。
そのため、カイロプラクテイック心では食事サポートも行っています。
大人のADHDを脳の機能面、身体面からサポート
カイロプラクテイック心は、ADHDの特徴も理解して身体症状もサポートさせていただきます。
ストレスの溜め込みすぎは、2次障害にも繋がる可能性があり、身体面のストレスだけでも軽減させてみてはいかがでしょうか。
また、ご希望に応じて脳機能面の評価をさせていただき、仕事や生活の困難が少しでも減らせるようサポートいたします。
大人のADHDで悩まずに、一度ご相談ください。
投稿者プロフィール
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伊勢市小俣町でカイロプラクターをしています。
病院では異常が見当たらず、どこに行っても良くならなかった方が体調を回復できるようサポートします。
機能神経学をベースに中枢神経の可塑性を利用したアプローチで発達障害、自律神経症状、不定愁訴にも対応しています。
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