ADHD(注意欠陥多動性障害)

ADHDの原因は脳の機能異常?

ADHDの振る舞いは、脳の問題が大きい

ADHDは、発達障害の1つです。発達障害全般に言われている原因は、先天的な脳の機能異常ですが、詳しいこはわかっていないことが現状です。

ただ、後天的に大人がADHDを発症することを示唆する研究報告があると共に、療育によってADHDの症状改善がみられることから、生まれつきの異常ばかりではないと考えられるのではないでしょうか。

アメリカでは、発達障害とされるこどもを脳機能異常の観点から脳の不均衡がみられる「Functional Disconnection Syndrome(FDS):機能的離断症候群」として対応し、成果をあげています。英語版しか現在出版されておりませんが、ご興味があれば「Dixconnected Kids」をお読みください。

Disconnected Kids: The Groundbreaking Brain Balance Program for Children with Autism, ADHD, Dyslexia, and Other Neurological Disorders (英語)

ADHDの原因は、科学的には証明されていません。しかし、脳機能へのアプローチによって好転しているこどもたちも多く存在することから、改善可能な脳の機能異常がADHDの原因の1つと言えます。

ADHDの原因

医科学的に有力視されている原因および療育やFDSからみたADHDの原因を解説していきます。

前頭前野部の機能異常

現在、医学的に有力視されているのは前頭前野の機能異常です。

前頭前野は前頭葉とも呼ばれ、進化した哺乳類ほど大きく人では脳全体の29%を占めます。このように発達した前頭前野は意思決定し、実行に移す過程で重要な役割を果たします。

簡単な説明だけではADHDと前頭前野の機能異常の関係性が伝わりにくいため、前頭前野欠損の有名な事例を紹介します。

仕事を極めて精力的かつ粘り強くこなし、敏腕で頭が切れると尊敬されていた人が事故により前頭前野を損傷しました。健康状態は良好でしたが以前の性格とは一変し「発作的」「無礼」「ときおりひどくばちあたりな行為に走る」「自分の欲求に相反する束縛や忠告にがまんがならない」「どうしようもないほど頑固になったかと思うと移り気に戻る」「優柔不断」「将来の行動をあれこれ考えはするが計画を立ててはすぐにやめてしまう」などの振る舞いがみられました。

このように前頭前野欠損とADHDの振る舞いはよく似ているため、前頭前野の機能が上手く働いていないと推測されています。

遺伝的

親がADHDだと子もADHDになりやすいと言われ、片親がADHDのときでは約25%、両親がADHDのときは50%以上がADHDのこどもが生まれているというデーターがあります。

遺伝子の研究も進んでおり、ゲノム解析によりADHDに関連する以下の遺伝子がみつかっています。

  • ドーパミンD4受容体
  • ドーパミンD5受容体
  • ドーパミントランスポーター
  • ドーパミンβ水酸化酵素
  • カテコール-O-メチル基転移酵素(ノルアドレナリン)
  • セロトニントランスポーター
  • セロトニン受容体
  • シナプトソーム関連タンパク

参考文献:http://www2.lib.yamagata-u.ac.jp/kiyou/kiyoued/kiyoued-14-2/image/kiyoued-14-2-055to064.pdf

このような遺伝子研究は世界各国で行われており、他にも遺伝的要因が発見されたという研究報告もあります。

脳内神経伝達物質の活動低下

脳内神経伝達物質は、数種類あり様々な刺激に対して神経回路を繋ぐ役割があります。また、「感情」「精神面」「記憶」「運動機能」など人体の重要な機能に深く影響をあたえるモノアミン神経系の三大神経伝達物質(セロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリン)の活動に問題があると推測されています。

ADHDで処方される薬は、ドーパミン、ノルアドレナリンに作用し、効果がみられるケースがあります。(2017年にはアドレナリン受容体に作用する薬も処方されるようになりました。)また、先に説明した遺伝子でもドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンの異常が確認されていることから、神経伝達物質の問題があると考えられます。

セロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリンの基礎知識

〇セロトニン

精神の安定、ノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑え、呼吸や歩行などの運動機能にも関わります。分泌不足は、うつやパニックを引き起こしやすくなり、過剰に分泌されるとセロトニン症候群(震え、発熱、精神の不安定など)を引き起こすことがあります。

〇ドーパミン

快楽を司る報酬系と言われ、向上心やモチベーション、学習能力、運動機能にも関わります。分泌が不足すると物事の関心が薄れ運動・学習・性などの機能低下につながることがあります。反対に過剰に分泌されると依存症(ギャンブル・アルコール・過食など)や統合失調症を引き起こす可能性があります。

〇ノルアドレナリン

ドーパミンが合成されノルアドレナリンとなります。生存本能を司り、ストレスに反応し「怒り」「恐怖」「不安」などの感情を起こし、交感神経を刺激して心身を覚醒させます。分泌が不足するとうつ状態(気力、意欲などの低下)となり、過剰に分泌されるとイライラしたり、キレやすくなったり躁うつ状態を引き起こします。

ADHDのケースでみられる脳内神経伝達物質の問題

正常な状態ではセロトニンとドーパミン・ノルアドレナリンが拮抗し、精神を安定させつつ、モチベーションを維持しながら意欲的に物事に取り組めます。

ADHDでは、ドーパミンとノルアドレナリンが不足しているとされています。また、ドーパミンはノルアドレナリンを生成するために必要な物質のため、ドーパミン不足が結果としてノルアドレナリン不足を招いているとも考えられます。

ADHDの振る舞いを脳神経伝達物質の作用に当てはめると以下のことが言えます。

ドーパミン不足により報酬系の処理が上手くできないため、我慢すれば良い結果が得られる状態でも我慢できず衝動的に行動してしまいます。そして、ノルアドレナリンが不足することで失敗したことや不安に思ったことの記憶が定着しないため、計画的に物事が進められなかったり同じ失敗を繰り返すことが考えられます。

ADHDではセロトニン不足も指摘されており、2次障害のうつを発症しやすくなります。また、セロトニンは幼少期の虐待や親からの愛情不足とも関りがあると言われ、反抗性挑戦障害、行為障害でみられる行動に影響してしまうことが考えられます。

母親の喫煙

妊娠中に母親が喫煙をしたときのADHD発症リスクの研究報告があります。

西オーストラリア大学テレソン小児保健研究所のDesiree Silva教授らは、ADHDと診断されて治療中の子供(症例群、1万2,991人)とADHDではない子供(対照群、3万71人)を調査した結果、妊娠中に母親が喫煙した群のADHC8注意欠陥・多動性障害)リスクは男児で1.9倍、女児1で.7倍だったと報告しました。

参考文献⇒https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24298003

日本でも母親の喫煙とADHDの関係を調査した結果があります。

 ADHDは、生まれつきの脳の機能異常による発達障害とされ、集中力がない、衝動的な行動をするなどが特徴。治療経験の豊富な大阪府寝屋川市の小児科医院の安原昭博院長が、小児患者の母親167人に喫煙歴などをアンケートした。  その結果、喫煙経験は47%にあり、妊娠時にも35%が喫煙していた。特に出産時の年齢が20~24歳の母親では、喫煙率が88%にのぼった。 一般の出生児を対象にした厚生労働省調査では、母親の喫煙率は17%、うち20~24歳は35%で、ADHD児の母親は2倍程度高い。

出典:http://www.asunet.ne.jp/~eee/88-42.html

これらの研究では、妊娠中の喫煙がADHDと大きく関連すると報告されていますが、968,665人もの大規模な人数が対象となったデンマークの研究では喫煙との関連性は低く、母親の遺伝的要素および家族環境のほうが強い関連性があると報告しています。

参考文献⇒https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26511313

ただ、喫煙自体はADHD以外のリスクもあるため、辞めるべきとしています。

個人的な意見としては、妊娠中の喫煙は控えるように産婦人科医からも指導されていると思います。それでも、リスクを承知で喫煙をがまんできないのであれば、遺伝的に考えてもADHDとは関係なく我慢ができなず注意しても行動が変えられないこどもが生まれても不思議ではないのではないでしょうか。

大脳機能低下

右脳の主な機能は、感性・感覚を司る機能で集中力、記憶力、決断力、空間認知(音楽、絵、想像力)などに影響します。右脳の機能低下によって、相手の立場を理解することが難しくなり、衝動的な発言、突発的な乱暴などコミュニケーションの問題がおきやすいです。また、空間認知能力も低下しているため、工作や音楽、絵などが苦手であることも特徴的です。

左脳の主な機能は、言語能力、論理的思考です。左脳の機能低下は、言語の発達が遅れがみられ、結果としてコミュニケーションが難しくなります。

脳は、絶え間なく左右脳がコミュニケーションを取り合っています。しかし、何らかの原因でどちらかが活動しすぎ、もしくは活動しなさすぎることで左右のバランスを崩すことがあります。

Dixconnected Kidsには脳バランスを崩す3つの徴候が以下のように書かれています。

  • 左右半球どちらかの領域の活動が減少(低下)している
  • 機能が高い側の半球領域の活動レベルが正常の活動レベルに比べて高い
  • 機能が弱い半球の活動減少と、機能が高い側の活動増加の組み合わせ

引用元:Disconnected Kids: The Groundbreaking Brain Balance Program for Children with Autism, ADHD, Dyslexia, and Other Neurological Disorders (英語)

左右の脳の不均衡がみられることで過敏性(音やにおい)免疫や消化器の弱さ(病気になりやすい)偏食、不器用さ、触られることの苦手などがみられるようになります。それらが落ち着きのなさ(音が過敏であれば普通の人が平気な音量でも大音量で一日過ごすことになり結果として落ち着きが無くなる)暴力をふるいやすい(触られることが苦手なためコミュニケーションの取れない幼少期は叩くことで苦手であることを伝えている)などの振る舞いにつながります。

原始反射の残存

発達支援コーチ、リズミックムーブメントなど発達障害を支援する団体は、原始反射の残存に注目してアプローチを行い、効果を上げているケースがあります。

原始反射は、生まれつき備わった反射であり、その働きを大きく分けると「生き残るため」「将来の学習や生活の土台をつくるため」の2つがあります。

胎児および赤ちゃんは脳が発達していないため、考えて行動することができません。そのため、原始反射を利用して危険を察知すれば泣いて親に知らせ親にしがみついて身を守ろうとします。また、おっぱいを吸って動作も原始反射によって行わています。そして、その反射を利用して目と手の連動性を高めたり、姿勢や歩行機能を高めたりしながら成長していきます。

本来なら脳の成長と共に原始反射を脳(大脳)がコントロールできるようになりますが、何らかの原因で原始反射をコントロールできないまま成長し、原始反射が残存してしまいます。

こうなると原始反射は意思とは関係なく起こるため、場にそぐわない行動や振る舞いとして現れてしまいます。

原始反射:恐怖麻痺反射

恐怖麻痺反射は、胎児のときに母体のストレスを感じると身を固める反射です。

恐怖麻痺反射の残存がみられると以下の特徴がみられます。

  • ストレス耐性が低い
  • 肌、音、視覚的な変化などへの感覚過敏
  • 状況が変わったり、驚くような出来事が嫌い
  • 柔軟に対応できない
  • 疲れやすい
  • すぐに息をつめる(止める)
  • 人前で恥をかくような状況が怖い
  • 自己信頼、肯定感が低い
  • 愛情を受け取るのも表現するのも苦手 (本当は好きなのに、「嫌い!」というなど)
  • 自己否定が強い
  • 極度な恐れ
  • 被害的な妄想
  • 新しい活動を嫌う、特に誰かと比較されたり、優劣が出るような活動
  • かんしゃくをおこす
  • ストレス状況で固まる(考えることと動くことが同時にできない

引用元:一般社団法人ここからだ

大人では後天的に活性化する反射とも言われ、事故や強い心理ストレスなどが要因となります。このようなことから、後天的に大人がADHDを発症する可能性が考えられます。

原始反射:モロー反射

赤ちゃんは自分の危険が迫ったとしても上手く判断できないため、外からの刺激(大きな音、何かにぶつかる、怖いと感じるものを見るなど)に対して強く反応し(大きく身体を反らし手足を広げる)その後身体を丸める一連の反射をモロー反射と言います。

モロー反射が残存すると以下の特徴がみられます。

    • 突然の音、光、刺激による感覚過敏反応
    • 新しい状況や活動への参加対応が難しい
    • 衝動的な振る舞い
    • 被転導性(思考や注意がそれやすい)
    • 不安、特に予期不安(未来への不安)
    • 感情的、社会的な未熟さ
    • 偏食、食品添加物への過敏
    • 活動過多(ハイパーアクティビティ)
  • ADHD
  • 副腎疲労症候群、アレルギー、喘息、慢性的な病気

引用元:一般社団法人ここからだ

ADHDでは、モロー反射の残存傾向が強くみられます。ただ、モロー反射のみ対応するだけではなく恐怖麻痺反射、緊張性迷路反射(ここでは説明しません)と相互作用が考えられるため、それらの反射も含めて対応する必要があります。

困っていることに耳を傾けよう

ADHDは脳の機能異常が原因の一因とされていますが、まだまだ解っていなことが沢山あります。また、他の完治可能な病気のように薬を服用したり、手術したりすることで完全に症状が良くなるワケではありません。

そのため、ADHDを治すのではなく困りごとに耳を傾けてあげることが大切です。

落ち着きがなかったり、暴力的になったりするのは椅子の感覚イヤであったり、触られることが苦手であったりすることを表現しているだけかもしれません。

周りと仲良くしようとしてもできないのは、音や匂いに敏感なため一緒にいることが苦痛になっているのかもしれません。

ADHDでみられる振る舞いの裏には、その人にしかわからない悩みが隠されている可能性が大きいです。そこで怒ったり注意したりしてもその困りごとが解決されない限り、ADHDでみられる振る舞いは続いてしまいます。

とくに親御さんはこどもの一番の理解者のハズです。小さな変化も観察し、困っていることに耳を傾けてください。もちろん、解決できない困りごともでてくることもあると思いますが、そのときは専門家に早めに相談しましょう。

カイロプラクティック心でもADHDは対応可能です

カイロプラクティック心では、原始反射の残存、カイロプラクティック機能神経学による脳機能の偏りなども評価し、脳機能の問題に対してアプローチを行っています。

また、ADHDでもみられる自律神経のアンバランスによる症状(起立性調整障害、頭痛、疲れやすさなど)も対応可能です。

ADHDであっても特性を活かせれば、誰よりも社会で活躍できる力を秘めています。ただ、人より苦手なことが多くそれが結果として怒られたり、注意されたりする振る舞いに繋がってしまいます。

そのため、カイロプラクティック心ではできない理由をしっかり考え、少しでも快適に過ごせるようサポートさせていただきます。

「病院や療育の治療以外でももっと良くなるのなら受けてみたい」「ADHDと診断されたけどどうしたらよいか解らない」「苦手を克服していきたい」というような想いのある人はぜひ、ご相談ください。

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