首痛、腕・手のしびれ、痛み

胸郭出口症候群/正しい姿勢を身につけよう

胸郭出口症候群は、症状が強く現れますが、画像での異常がみつけにくいです。そのため、頸部に少し異常がみられると「頸椎椎間板ヘルニア」「頚椎症」と間違われ、症状が改善されません。

また、肩こり、手の力の入りにくさ、腕の痛み、手の痺れなど症状も色々みられるため、他の疾患とも間違われやすいです。

ここでは胸郭出口症候群の原因、症状、カイロプラクティックでの改善方法などを詳しく解説していきます。慢性的な肩こり、手の痺れや痛みがなかなか改善されない人はぜひ、続きをお読みください。

胸郭出口症候群の基礎知識

胸郭出口症候群(thoracic outlet syndrome:TOS)は胸郭出口付近で腕神経叢、鎖骨下動脈、鎖骨下静脈が圧迫されたり、牽引されることにより引き起こされる症状の総称であり、以下のように分類することができます。

  • 斜角筋症候群(scalenus syndrome)
  • 肋鎖症候群(Costoclavicular syndrome)
  • 過外転症候群(Kasototen syndrome)※小胸筋症候群とも呼ばれます

頸肋症候群という先天的な異常によって発症するケースもみられます。

胸郭出口とは

胸郭出口は、下の図の赤丸の範囲になります。

出典:ネッター解剖学アトラス

胸郭出口周辺には動脈(赤色)静脈(水色)神経(黄色)が通過し、これらが筋肉、鎖骨下で圧迫されたることで症状が現れます。病的な血管障害は全体の数%(静脈性胸郭出口症候群は全体の3~5%、動脈性胸郭出口症候群は全体の1~2%)とされ、ほとんどが神経の障害による症状とされています。また、圧迫だけではなく、なで肩によって神経が下方に牽引されるタイプの胸郭出口症候群もみられます。

障害される部分は、下の図をご参考ください。

出典:ネッター解剖学アトラス

斜角筋症候群は、前斜角筋・中斜角筋・後斜角筋の間をとおる神経を圧迫します。

肋鎖症候群は、鎖骨下筋および鎖骨と第一肋骨の間をとおる神経、血管を圧迫します。

過外転症候群(小胸筋症候群)は、小胸筋の下をとおる神経、血管を圧迫します。

先天的な要因として頸肋があり、本来は頸椎に肋骨はありませんが頸椎7番にみられます。 そのため、その周辺の神経、血管を圧迫、損傷、牽引などおこす原因となります。

症状

血管障害ほどではなくとも、血管の圧迫によって循環不良がおこると発痛物質が生成されるため、痛み(鈍痛、重い感じ)を感じるようになります。

筋緊張や鎖骨下を通る神経のすべり(滑走性)が悪くなったり、神経が絞扼(神経の締め付け)されると神経過敏となって、しびれや痛みを感じるようになります。

これらのことから血管、神経の分布する首、腕、手など広い範囲で症状を引き起こし、以下の症状がみられます。

  • 肩こり
  • 腕の重だるさ
  • 腕や手のしびれ、痛み
  • 首の痛み
  • 手が冷える
  • 手に力が入りにくい

診断(何科で診断してもらえる?)

胸郭出口症候群は、整形外科で診断してもらえます。ただ、血管の障害が認められる場合は、血管外科が専門となります。

レントゲンやMRIでは、頸肋や第一肋骨の形態異常が確認されるケースはありますが、神経の圧迫、牽引の確定診断はできません。しかし、他の疾患(頸椎椎間板ヘルニア、頚椎症など)と鑑別するためには、重要です。

〇胸郭出口症候群と類似する主な疾患

  • 頸椎椎間板ヘルニア
  • 頚椎症
  • 回旋腱板損傷
  • 多発性硬化症
  • 凝固亢進性疾患
  • 遠位塞栓を伴う心房細動
  • 上肢深部静脈血栓症

胸郭出口症候群は、整形学検査という徒手行われることが一般的であり、正確な検査法とされています(下の図をご参考ください)

出典:整形学検査

一般的な病院(整形外科)治療

基本的には保存療法(手術以外)が選択され、手術が必要なケースは全体の5~6%と言われています。

薬物療法

抗炎症剤(痛み止め薬)は、ほとんど効果がみられません。

心理的要因が原因ともされているため、抗うつ薬、抗不安症薬、自律神経調整剤などで効果がみられるケースがあります。

装具療法

肩甲帯が下がる場合(なで肩)姿勢矯正バンドを用いられることがあります。

神経ブロック注射

斜角筋、腕神経叢に神経ブロックの注射を打って痛みを軽減させます。 また、星状神経節という交感神経の集まるポイントにブロック注射を打って、交感神経を抑止し、痛みを軽減させる方法もあります。

リハビリ(ストレッチ、筋トレなど)

不良姿勢、なで肩、筋肉の過緊張させる生活習慣(重いものを持つ、腕を挙げていることが多いなど)が起因していることも多く、リハビリによって改善させます。

また、ストレッチや筋力トレーニングだけではなく、生活および姿勢指導も行われます。

手術

保存療法が全く効果がみられないケースにおいて以下の手術が選択されることもあります。

  • 頚肋の切除手術
  • 腋窩第一肋骨切除術
  • 前斜角筋部分切除術
  • 神経剥離術

胸郭出口症候群の原因

胸郭出口症候群は、先天的要因と後天的要因に分類できます。先天的要因は、頸肋・筋肉や動脈の異常など生まれつきの問題であるため、手術が有効となるケースが多いです。

ここでは後天的要因について解説していきます。

外傷

スポーツや事故などによって、胸郭出口に影響をお予防部位に骨折、筋損傷などが胸郭出口症候群の原因となります。

  • 鎖骨・肋骨骨折
  • むち打ち、スポーツ外傷による斜角筋損傷
  • 上肢、脊椎への外傷

生活習慣

腕を頭の上まで挙上する姿勢が多い、または重量物を挙上する職業に多くみられます。また、胸部に負荷をかけるスポーツ(投手、ベンチプレスなど)にも多くみられ、小胸筋および鎖骨下筋の過緊張などによって胸郭出口症候群を発症します。

不良姿勢

胸郭出口症候群では不良姿勢が発症原因になることが多く、なで肩タイプと頭部の前方移動タイプに分類されます。

なで肩タイプは女性に多いとされ、上部僧帽筋の筋力不足が主な原因とされています。しかし、単純に上部僧帽筋の筋力トレーニングをすれば良いワケでもありません。

筋力が低下する原因は、モーターコントロール異常、原始反射、アライメント異常、他の筋肉の過緊張など多岐に渡るため、それらを解消したうえで筋力トレーニングを行うことが望ましいです。そのため、単純な上部僧帽筋のトレーニングでは効果がみられないケースもあります。

頭部前方移動姿勢

頭部前方移動した姿勢は、下の図のように肩よりも頭部が前方に位置する状態です。

出典:図解姿勢検査法

頭部が前方へ移動した姿勢では、下の図のような骨格アライメントとなり、グレー部分の筋肉の過緊張(短縮位)が日常化してしまいます。

出典:図解姿勢検査法

斜角筋、小胸筋が短縮位となるため、斜角筋症候群、小胸筋症候群を発症しやすくなります。また、大胸筋の短縮位は鎖骨を水平化する方向に力が加わるため、肋鎖症候群を発症しやすくなります。

このように不良姿勢によって、胸郭出口症候群が発症しやすくなります。

心理的要因

胸郭出口症候群は、ストレスが促進する誘因になるとも言われています。そのため、抗うつ薬、抗不安薬、自律神経調整剤が処方され効果を示すことがあります。

研究では、働きがいが低いこと、ストレスによって起こりうる身体愁訴が多いことなどの社会心理要因に関与することが示唆されています。

胸郭出口症候群は、名前のとおり胸郭が影響する病態です。胸郭は呼吸に関与する部分であり、呼吸は自律神経に影響されます。そのため、交感神経が優位に働き努力呼吸(呼吸補助筋を多く働かせる)が過度に行われると斜角筋、小胸筋などが過剰に働きます。それが、結果として胸郭出口症候群となることが考えられます。

このような理由から胸郭出口症候群では、「息苦しい」「血圧が上がる」「めまい」などの自律神経症状がみらる人もいます。

胸郭出口症候群は治りにくい?

胸郭出口症候群は、主に神経絞扼障害であるため、絞扼されている原因部位を治療する必要があります。抗炎症剤、ビタミン剤、ブロック注射などは一時的には症状を抑えることができても神経絞扼部位の治療ではないため、症状が改善されることが少ないです。

胸郭出口症候群の大きな原因とされる不良姿勢を解消するために姿勢矯正装具を身につけ一定の効果はみられます。しかし、姿勢は中枢神経がコントロールする側面もあるため、一時的な効果である可能性もあります。また、猫背が頭部前方位の原因とも言われていますが、実際は胸部は平背であること多いです。

スポーツメディスン「呼吸・重心・姿勢とスポーツ障害」では、以下のようなことが書かれています。

胸郭出口症候群16名に胸椎後弯角の足底と姿勢に関するアンケートを実施すると共に他の競技者で障害なし16人と比較しました。胸郭出口症候群の胸椎後弯角が26.0°に対して障害なしの16名は35.5°と9.5の差がみられました。

また、胸郭出口症候群の16名は「姿勢が悪いと思っているか?周りから言われるか?」「投球動作で片足立位時に背筋を伸ばしたほうが良いと思っているか?」の問いに対して15名が「はい」と回答しました。

胸椎後弯角の数値が低いということは背中が丸くはなっていないということが言えます。また、アンケートによって背筋を伸ばしていることを意識していることが示唆されています。

このように不良姿勢が胸郭出口症候群の原因と解ったとしても一般的に不自然な姿勢が良いと考えられているため、胸郭出口症候群が改善されません。また、背筋を伸ばした姿勢は、猫背とは反対のフラットバック(背中が平らになり、頭部が前方へ移動する)なり、筋肉への負担が強まるうえ交感神経が優位になってしまいます。

このような姿勢に対する認識は、医療者(医師、理学療法士、作業療法士など)も含めて誤解している人が多いです。それが結果として装具治療や効果のみられない姿勢指導に繋がってしまいます。また、単純に小胸筋、大胸筋、斜角筋のストレッチや僧帽筋の筋力トレーニングもこのような背筋を伸ばした姿勢を意識しすぎると効果がみられなくなります。

このようなことから胸郭出口症候群は、筋肉の負担を減らした楽な姿勢を目指すことが大切になります。

姿勢について詳しくはこちら

姿勢について/伊勢市カイロプラクテック心

カイロプラクティック心の胸郭出口症候群の改善方法

カイロプラクティック心の姿勢評価は、「骨盤が歪んでいる」「背骨が歪んでいる」といった単純なものではなく、筋骨格系の問題、神経系(姿勢反射、中枢神経の機能低下)の問題など病院や他の整体などでは評価されない部分も注目して行うため、姿勢が原因と考えられる胸郭出口症候群の改善に有効です。

病院でも行う整形学検査、可動域検査、筋力テストなどでも身体評価を行い、他の疾患が影響していないかも確認していきます。

そして、検査で考えられる原因に対してアプローチしていきます。

それぞれの原因にアプローチできるよう施術歴10年の施術者が責任をもって一人で担当させていただきます。また、安心して施術を受けていただけるよう現在も文献を読んだり、セミナー、勉強会にも出向いて知識と技術向上に努めております。

関節の運動障害⇒関節運動学的テクニック、カイロプラクティックアジャストメント

原始反射、中枢神経の機能低下⇒カイロプラクティックアジャストメント、エクササイズ指導

筋肉の問題⇒筋伸張テクニック、ストレイン・カウンターテクニック

腕神経叢の問題⇒神経マニュピレーション

ホームケア⇒エクササイズ指導(運動が早期改善につながるという研究報告があります)

その人の原因に応じたホームエクササイズ、姿勢なども指導もさせていただきます。

不快な症状を改善させたいあなたへ

胸郭出口症候群と診断される人が少なく、頚椎症や頸椎椎間板ヘルニアなど頸椎障害の治療を続けて効果が現れず、カイロプラクティック心にこられて胸郭出口症候群の症状がみられるケースがあります。

そのため、頸椎障害の診断されても不快なしびれや痛みが継続する場合でも、一度ご相談ください

不快な症状を改善させて「仕事に集中したい」「大好きな趣味を楽しみたい」「子供との時間を快適に過ごしたい」という方は、ぜひ一緒に頑張っていきましょう。

本記事の参考文献

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3526474/

 

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