起立性調節障害は、一般的に思春期のこどもにみられますが、大人でも同じような症状に悩まされることもあります。
「朝起きれない」「立ち眩みやめまいが頻繁」「動悸や息切れがある」など仕事に差し支える症状もみられます。
起立性調節障害は、専門的な知識をもつ病院も少なく確立された治療法がないことが現状です。
カイロプラクテイック心では、こどもの起立性調節障害をみる機会が多く、自律神経の機能的な問題および栄養サポートを行い、早く学校に通えるようにサポートしています。
大人の方でも「早く仕事に集中できる体に戻りたい」「家事を無理なく行えるようにしたい」など体調を回復させたい方は、一度ご相談ください。
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起立性調節障害とは?
起立性調節障害は、起立時に症状が悪化する病態の総称であり、以下の病気に分類されます。
- 起立直後性低血圧
- 血管迷走性失神
- 体位性頻脈症候群
- 遅延性起立性低血圧
- 起立性脳循環不全
- 高反応型
それぞれの病態によって、薬や対処法も異なるため、自己判断で市販薬を飲んでも解決しない可能性があります。
また、服薬の種類によっては併存症状(頭痛、めまいなど)が悪化するケースもあるため、注意が必要です。
最近では、ネットでセルフチェックが出来ることもあるようですが、起立性調節障害のような症状であっても心疾患、脳疾患など重篤な病気が隠れている可能性もあり、必ず病院を受診しましょう。
症状
- 朝に起きられない
- 立ち眩み
- 息切れ、動悸を起こしやすい
- 全身倦怠感(疲れやすい・だるい)
- 食欲不振
- 立っていると気分が悪くなる
- 頭痛(吐き気、前兆発作などを伴うこともある)
- 腹痛
- 夜になかなか寝付けない
- 記憶・注意力の低下
- イライラ感や集中力の低下
このように症状は多様であり、人によってみられる症状も違います。
起立性調節障害の症状や原因について詳しくはこちらもご参考ください。
一般的な病院治療
起立性調整障害は自律神経の影響と考えられているため、確立された治療方法はありません。
そのため、対処療法(血圧を上げる薬、漢方、症状対応する服薬など)が中心です。
なかには、起立性調整障害の専門性が少ないことから精神科を紹介されることもあります。
このようなことから、起立性調整障害で悩む方は多いと考えられます。
大人の起立性調節障害の原因
起立性調節障害の原因は多くありますが、改善傾向のみられる「ストレス」「食生活」「自律神経機能」の面から考えた原因を解説します。
ストレス
仕事や家庭で「ストレスを感じる」という方も多いようです。
過剰なストレスは、脳のコントロール中枢である前頭前野の機能低下を引き起こすことが研究で報告されています。
前頭前野は自律神経コントロールなども含まれるため、過度なストレスによって起立性調節障害でみられる症状が現れても不思議ではありません。
そのため、ストレスコントロールは重要となる可能性があります。
食生活
栄養は、精神と体を調整します。
なぜなら、栄養によって体のあらゆる組織が作られ、精神をコントロールするために必要な神経伝達物質も栄養素から作られています。
こどもの起立性調節障害でも栄養の問題は、ほとんどのケースでみられることが多いです。
自律神経機能
ストレス、栄養の問題で自律神経機能に悪影響を与えます。
しかし、自律神経の調整は多くの脳領域(前頭前野、視床下部、脳幹、小脳など)が関わるため、それだけでは解決しないこともあります。
また、寝た状態から極端に脈拍が上がったり、血圧が下がったりすることもあるため、これらの問題を考慮した対処法も必要となります。
カイロプラクテイック心での評価法は?
心拍変動は、心拍一拍ごとの変動を測定することにより自律神経によって動いている心臓を指標とするため、自律神経の機能評価が客観的に行えます。
起立性調節障害で特徴的にみられるのは、立位時に交感神経が過剰に働く数値がみられます。
起立性調節障害では、運動が有効とされ病院でも歩行を勧められることもありますが、立位で急激に交感神経が上がる場合は、立位の運動は症状の悪化を招く可能性があります。
そのため、このような傾向がある場合は、寝た状態から姿勢制御のコントロールから始めたほうが良いです。
心拍評価
起立性調節障害の1つである体位性頻脈症候群の指標は、脈拍が立位時で過剰に上がることです。
カイロプラクテイック心でも臥位、座位、立位で脈拍を測定します。
また、この測定結果が改善傾向の目安にもなります。
体位性頻脈症候群についてはこちらもご参考ください。
呼吸機能
ストレスが過剰に感じている人は、呼吸が浅く止めることも難しいとされています。
そのため、呼吸を何秒くらいとめられるかも1つの指標となります。
呼吸機能の改善は、息切れ動悸が楽になるケースが多いです。
また、脳機能を健全に保つためにも呼吸によって適切に酸素を体に供給することが重要です。
神経機能評価
先述したように、自律神経は多くの脳領域が関わり、それぞれの役割が果たせていないと体に何らかの悪影響を及ぼす可能性があり、その一つが自律神経の乱れと考えられます。
また、めまいや頭痛は前庭系、視覚が関わることがあり、また立位での姿勢制御の問題では体性感覚、小脳の機能低下も考えられます。
記憶力、集中力の低下は、前頭前野、海馬などストレスの影響も大きいかもしれません。
食生活
1週間程度の食事内容を記録していただき、食生活の問題がないかを評価します。
起立性調節障害の方にみられる1つの特徴として、極端に痩せている傾向がみられます。
その場合は、まず栄養から見直した方が良いケースも少なくありません。
また、最近では腸と脳の相互作用が多くの研究で報告され、腹痛、下痢、便秘が併存してみられる場合は、食事の見直しが重要となる可能性があります。
その他
呼吸機能が関わっている場合は、過度な筋緊張、胸郭の可動域制限などもみられることも多く、カイロプラクティックで行う筋骨格系の検査も有効です。
また、徒手的に内臓マニュピレーション、頭蓋仙骨療法などを行ったほうが良いケースでは、それらの問題も評価していきます。
これらのように必要に応じて評価を行い、1日でも早く改善できるよう体の問題点を追及していきます。
大人の起立性調節障害のアプローチ
大人の起立性調節障害では移動が困難なケース、付き添いっていただく方のスケジュール調整も難しいケースなどがあります。
そのような方は、まず食生活の改善からスタートすることをお勧めします。
食生活に問題が生じていると体の機能を回復させるために材料(栄養素)が不足しているため、どのようなアプローチも十分な効果を得られない可能性があります。
例えば、体を活動するためのエネルギーを産生するためにグルコース、ビタミンB群、マグネシウムが必要であり、これらが不足していれば動くと疲労しやすいことは理解しやすいのではないでしょうか?
そのため、ご来院可能な方でも初期の段階では、栄養を中心に行うことが多いです。
栄養サポート(オンライン可)
栄養サポートはZOOMを利用し、オンラインでサポート致します。
1週間分の食事記録(写真をとってください)および事前にお送りするカウンセリングシートをご記入ください。
また、可能であれば血液検査の内容もあれば、より詳細な食事サポートができます。
急激に食事内容を変えることは難しく、継続できない内容では意味がないため、継続できる範囲で食事の質を高めていきます。
※高額なサプリメントを販売することはありませんのでご安心ください。
例)低血糖
低血糖がみられると「起床時がつらい」「起床時に頭痛や肩こり、腰痛がある」「倦怠感」などの症状がみられます。
低血糖になる原因として、「3食食べていない」「栄養の偏りがある」「極端なダイエットをしたことがある」などがあります。
まずは血糖を安定させるために可能な範囲で糖質、タンパク質を摂取し、血糖が安定するようMCTオイルなどを利用し、最終的にはPFCバランスのとれた食事を目指します。
低血糖について詳しくはこちらをご参考ください。
例)腹痛、下痢、便秘がみられる
腸内環境の改善を目的にプロバイオティクス、食物繊維の摂取などを段階的に行っていきます。
また、消化機能の低下も考えられるため、胃酸が分泌しやすい食事もしくは消化酵素などを利用します。
カイロプラクティックアプローチ
呼吸機能の改善、自律神経系へのアプローチなどカイロプラクティックが有効なケースもあります。
例としては以下のとおりです。
- 呼吸機能⇒胸郭の可動域回復
- 自律神経機能⇒迷走神経アプローチ、頭蓋療法
- 栄養の問題⇒内臓マニュピレーション、顎関節
- 前庭系、小脳系の賦活⇒頸椎を含めた脊椎へのアプローチ
神経機能向上のために感覚エクササイズ
機能低下がみられる脳領域(前頭葉、前庭系など)や感覚受容器(筋紡錘、振動覚など)を活性化させるエクササイズを行います。
また、起立性調節障害では立位での姿勢の問題(過度な緊張、フラフラするなど)もあるため、姿勢がコントロールできるようにします。
詳しくは感覚エクササイズのページをご参考ください。
起立性調節障害では、立位でのエクササイズが困難であるケースも考えられ、寝た状態から初めて徐々に立位、動的なエクササイズにカスタマイズしていきます。
大人の起立性調整障害の改善パターン例
症状、症状の期間、施術頻度、考えられる原因などによって、体調が回復するまでの期間は異なります。
栄養から改善するパターン
臨床的に低血糖がみられることも多く、少量でも食事の質を変えながら、体調を回復させていきます。
初期は週1~2回の栄養コンサルティングで食生活の質を変えていき、食事が摂れる(朝食が食べられる、3食の食事でも体調悪化がみられないなど)ようになれば、体格に合わせた食事量を摂れるよう進めていきます。
食生活を見直していくだけでも回復するケースもあるため、来院が困難、まずは食生活から変えてみたい方は食事から改善していくことをお勧めします。
栄養と施術を組み合わせていく改善パターン
呼吸機能の低下、交感神経が過剰に興奮している、腹部の緊張が強い(お腹を押すと痛い)などがみられる場合は、施術によって回復を早めることが可能です。
息苦しさや動悸を感じている人は、胸郭部の可動域回復、呼吸筋へのアプローチなどによって、楽に感じてもらえることが多いです。
また、腹部が固く感じることによって内臓の蠕動運動が上手く機能していないこともあり、内臓マニュピレーションが有効となります。
このように施術も組み合わせていくことで、症状が軽減しやすいケースもあります。
感覚エクササイズを組み合わせていく改善パターン
めまい、立ち眩み、記憶力の低下、集中力の低下、運動習慣がない(デスクワーク、歩くことも少ないなど)などは脳機能の何らかの機能低下がみられることがあります。
また、中枢神経を介した姿勢制御に問題が生じていることも少なくありません。
起立性調整障害は、研究報告でも運動の有効性が報告されています。
そのため、感覚エクササイズで動きやすい体を作り、運動習慣を取り入れていくことが健康を取り戻すために重要です。
1日でも早く体調を回復したい方は、栄養、施術、感覚エクササイズを組み合わせていくことをお勧めします。
よくある質問
起立性調節障害のような症状でよくある質問をまとめました。
病院で改善されない症状がなぜ改善されるのですか?
A.一人ひとりに合わせた栄養や脳機能へのアプローチを行うからです
一人ひとり時間をかけてカウンセリングや身体評価を行っていくと改善すべき点がみられることが多いですが、全ての人が同じ方法で回復するワケではありません。
その人の生活背景、現状の問題点、段階的なアプローチなど一人ひとりに合わせられることが強みです。
病院では多人数を相手にするため、一人にかけられる時間は少なく、さらには治療方法が確立されていな起立性調節障害では保険適用の治療が限られており効果がみられない人も少なくありません。
ただ、病院の検査は命に関わる問題を除外するためには重要です。
また、病院の治療院で行われていない食事の見直しや運動は論文でも効果が示唆されているため、行っていくことは有効だと考えています。
通うことが難しいです
A.食事サポートはオンラインでも可能です。また、伊勢市内であれば、出張も可能です。
運動ができるか不安です
A.可能なレベルから行います。
初期は寝た状態からのリラクゼーション的な運動や呼吸を行っていきます。
体調の回復具合をみながら、徐々に頭位を上げてて最終的には立位で行えるよう段階的にサポートしていきます。
どれくらいで良くなりますか
A.個人差はありますが3~6ヶ月くらいが目安となります。
臨床的に10代であれば、3ヶ月くらいである程度の回復はみられますが、加齢とともに時間はかかる傾向があります。
また、自律神経の評価ツールをみても10代とそれ以降の年代は明らかに違うケースも多く、回復に時間のかかる傾向がみられます。
研究による介入でも効果がみられる期間は12週であることも多いです。
このようなことから、3ヶ月以上はかかると考えてください。
頻繁に通うことが難しい人もいるかと思いますが、その場合は宿題という形でセルフケア方法なども指導させていただきます。
大人の起立性調節障害を克服しよう
大人の起立性調整障害は、食欲不振、運動不足などが長引くことで回復を遅らせてしまう可能性があります。
なぜなら、栄養と運動は健康を維持するうえで必須だからです。
そのため、無理をする必要はありませんが、出来る範囲からコツコツと食事や運動習慣を取り戻していくことが大切と考えています。
カイロプラクテイック心では、症状のレベルに合わせて食生活や運動の提案をさせていただき、必要に応じて施術をさせていただきます。
少しでも早い社会復帰を願うあなたをカイロプラクテイック心は、全力でサポートいたします。
オンライン相談
病院でも改善がみられない起立性調整障害が、保険適用のない療法で回復するのか不安という方は多いかと思います。
不安がある方は、まずご相談ください。
オンライン(ZOOMを利用)相談は、WEB予約も可能です。
※約30分程度です。
電話については、施術中、施術の合間は思うように時間がとれない可能性もあるため、ご遠慮ください。
遠方の方で通えない方は、オンラインでも可能な栄養コンサルティングご利用ください(ZOOM相談を受けられた方は1,000円割引となります)
投稿者プロフィール
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伊勢市小俣町でカイロプラクターをしています。
病院では異常が見当たらず、どこに行っても良くならなかった方が体調を回復できるようサポートします。
機能神経学をベースに中枢神経の可塑性を利用したアプローチで発達障害、自律神経症状、不定愁訴にも対応しています。
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