原始反射と発達障害の関係

発達障害

原始反射は大人(乳児以降)でもみられる?/発達障害との関係性

原始反射は、生後6~12ヶ月程度で消失すると言われていますが、大人になっても原始反射が残存しているケースも少なくありません。

また、発達障害でみられる症状は、原始反射と関りがあるとされています。

しかし、原始反射の残存は発達障害がみられない大人でもみられることがあり、「発達障害=原始反射の残存」ではありません。

ここでは、原始反射について詳しく解説しています。

発達障害と原始反射の関りを知りたい、原始反射が大人でもあるのか知りたい人などは、ぜひ続きをお読みください。

この記事は発達障害のアプローチに有効なBBITの認定療法士が書いています。

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原始反射(primitive reflexes)とは?

原始反射(primitive reflexes)は、生まれた直後からみられる反射的な行動です。

原始反射を話していく前に、反射がどういうものかを簡単に説明します。

反射とは中枢神経(脊髄ー脳幹)が刺激に対して、自分の意思とは関係なく引き起こされる行動です。

原始反射以外でも人には以下のような反射があります。

  • 熱い物を触ったとき手を引っ込める(屈曲反射)
  • 膝下を叩くと足が動く(膝蓋腱反射)
  • 頭部が動いても一定の方向に視線を向ける(前庭動眼反射)

ここで紹介した反射は、一部ですがこのような反射機能が備わっていることで、致命的な体へのダメージを防ぎ、無意識化でも支障なく生活できます。

脳幹(脳)が反射に関与

原始反射は、主に脳幹の働きによって起こります。

発育の段階で原始反射が起こることで、脳への刺激となり脳の発育も促される中枢神経発達にも重要です。

脳の発育は、下層にある脳幹から徐々に上層へ移行し最終的に大脳皮質が発達し脳が成熟します(20歳ころ)

そして、その過程で大脳皮質(前頭葉)が育ちながら原始反射をコントロールできるようになります。

原始反射は消失するのではなく、前頭葉がコントロール(統合)してきます。

そのため、原始反射が何らかの原因で残存していると、脳の発育にも何らかの問題が生じている可能性が考えられます。

原始反射の種類

主な原始反射は以下のとおりです。

  • モロー反射
  • 緊張性迷路反射
  • 探索反射
  • 吸啜反射
  • 把握反射
  • ガラント反射
  • ペレーズ反射
  • バビンスキー反射
  • 非対称性緊張性頸反射
  • 対称性緊張性頸反射

恐怖麻痺反射も原始反射の1つと考えられていますが、別記事でまとめてあるため、こちらをご参考ください。

原始反射の必要性

原始反射は胎児のころから行われ、ガラント反射が引き起こされることで産道を通りやすくしています。

そして、産道から出たこどもは、外界の環境に適応して生きていく必要があり、以下のように原始反射を利用しています。

  • モロー反射⇒突然の姿勢変化、音などに驚いて手を広げ身体を丸めて抱き着くことで危険な状況から身を守ろうとします(出産時もモロー反射によって泣くとされています)
  • 吸啜反射⇒口に触れたものを吸う反射で母乳を反射で吸うことができます
  • 探索反射⇒口付近に触れた方向に頭を向ける反射で母乳を吸うのに役立ちます
  • 緊張性迷路反射⇒うつ伏せでも頭を反射的に起こすことができます。
  • 非対称性緊張性頸反射⇒首の動きによって反射的に手足を動かすことで寝返りがうてます。
  • 対称性緊張性頸反射⇒腹ばいからハイハイに移行できます

このように原始反射はコミュニケーションとれない子供にとっては必要不可欠な反射です。

原始反射は発達の土台

原始反射は、生き抜くために環境に適応させるだけではなく、発達の土台として重要な役割を果たします。

  • モロー反射⇒自律神経の基礎発達
  • 緊張性迷路反射⇒2本足で立つ姿勢の基礎発達
  • 探索・吸啜反射⇒発声の基礎発達
  • 把握反射⇒手を使う基礎発達
  • 非対称性緊張性頸反射⇒目と手の協調の基礎発達

原始反射が必要な期間活動することで、生きていくための土台を築き上げていきます。

原始反射と脳性まひ

原始反射は、脳が成長すると共に前頭葉が発達し統合されコントロールできるようになります。

そのため、脳に損傷があった場合でも原始反射がみられることがあり、乳幼児では脳に問題がないかの指標になっていました。

しかし、Amiel-Tisonの神経学的評価法が作られてからは、原始反射の残存は重要視されなくなりました(参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23435797)

とくに大人であれば、脳に損傷があれば脳疾患でみられる症状が現れるため、原始反射の残存だけで脳損傷とは考えられません。

原始反射がなぜ残存する?

原始反射は消失するのではなく、統合(前頭葉でコントロール)されるものです。

そのため、原始反射が残存がみられるということは、神経系の統合が不完全であったり、成長が未熟であったりする可能性があります。

原始反射が消失ではなく統合が必要な理由

極度の緊張状態、危機的状況では回避するために原始反射を利用しています。

  • 転倒しそうになり近くの物をとっさに掴む⇒把握反射
  • 転倒時頭を打たないように手で支える⇒対称性緊張性頸反射
  • スポーツのパワーポジション(一番力を発揮しやすい姿勢と言われています)⇒対称性緊張性頸反射
  • スポーツの先行動作(首から動かすことでスムーズに身体を使えます)⇒非対称性緊張性頸反射
  • 投てき種目で声を出す(強い力をだす:交感神経を活性化)⇒モロー反射

極度のストレス(疲労だけではなく重要なスポーツの試合、仕事など)無意識化では前頭葉の働きは弱く反射が現れやすいです。

スポーツで大きな声を出すと身体のコントロールは難しくなりますが、大きな力を発揮できたりします。

また、危険な状況を回避するために咄嗟の行動がとれるのは反射があるおかげです。

しかし、前頭葉を介して意識的な動きをするときに反射が起こってしまうと不便であるため、原始反射を含めた反射は統合される必要があります。

原始反射が残存する原因

成長過程で、何らかの原因で原始反射が起きていな可能性があります。

例えば、「顔を掻かないように手袋をはめていた」「ケガや病気によって動きが制限されていた」「座りっぱなしのおもちゃで遊んでいた」など幼児の成長過程で必要な動きが制限されていると、原始反射が統合されにくいです。

また、成長過程以外にも外傷、妊娠・出産、老化によって原始反射が出現しやすくなります。

外傷において脳の活性領域が変化することは、いくつかの研究で報告されています。

老化は、脳の退行でもあるため出現する可能性があります。

妊娠・出産も出産後の安静(2日程度)、運動量の低下(とくに体幹機能の低下)、ストレスなどによって、脳の神経バランスが崩れやすいです。

安静・座り続けることは良くない

宇宙飛行士が地球に帰還後、ディスレクシアに似た精神障害が現れることがあるそうです。

その原因と考えられるのは、無重力空間です。

地球では重力があり、人の身体にある固有受容器が絶えず働いて自分がどのような姿勢でいるかを脳に伝え、最適な姿勢および行動が脳からフィードバックされます。

無重力空間では、固有受容器の働きがほとんどいらず、結果として脳機能も低下してしまいディスクレシアが発症すると考えられます。

出産後に原始反射が再現されやすいのは、宇宙飛行士と同じ理由です。

出産直後は、ベッドに寝て安静にしている状態が数日続きます。

それが結果として固有受容器を働かせなくなってしまいます。(NASA式健康法の著書によるとに寝続けることで宇宙飛行士におこる身体変化が再現できると記され、座り続けることも良くないとされています)

原始反射残存でみられる徴候

原始反射の残存している種類によって、現れる振る舞いや苦手に違いがみられます。

モロー反射

  • 攻撃的 衝動コントロールができない
  • 感覚過敏(光、音、匂いなど)
  • 触られることに対する過敏性
  • 癇癪を引き起こしやすい(感情の爆発、落ち着くまで時間がかかるなど)
  • 多動
  • 注意散漫
  • 人を受け入れることや共感を表すことが苦手になり社交が難しくなる
  • 社会行動、感情未発達(友達との遊びに参加できない、年齢に適した交流が難しくみえる、不安や心配を抱えやすいなど)
  • ゲームや結果をコントロールしたがる(状況を無理やり操作して自分の思い通りにしたい)
  • 原因不明の不安感
  • 筋肉の過緊張
  • 引っ込み思案、臆病、変化をきらう傾向がある
  • 日常生活に対して過剰な反応(大げさにみえる反応、攻撃的な反応など)
  • 乗り物酔いがみられるときがある
  • 足が地面から離れる活動(ブランコ、チャイルドシートに乗るなど)を嫌がる傾向がある
  • バランスを要する運動の苦手(スポーツ、球技、登る遊具を嫌がる傾向)
  • ADHD、ASDと関連

初期の発達の基礎ができていないため、感覚を上手く受容できていない状態と言えます。

外の刺激に過敏に反応するため、過敏症や不注意(他の刺激にすぐ注意が向く)筋肉の過緊張(身を守る)などがみられると考えられます。

大人(思春期以降)のモロー反射

大人でモロー反射の残存が継続している場合、交感神経の過活動により副腎疲労がみられる可能性もあり、以下の症状を訴えることがあります。

  • 朝起きるのが辛い
  • 疲れが取れない
  • 塩辛い食べ物が無性にほしくなる
  • 消化不良
  • 倦怠感(エネルギー不足)
  • 易疲労
  • ストレスに対処できない
  • 回復力の低下
  • 軽度の鬱
  • 意思決定が困難
  • 食物過敏性

他にも起立性調整障害(大人では起立性頻脈症候群)不安障害とも関わります。

モロー反射の統合も必要と考えられますが、栄養のサポートも必要です。

モロー反射は出生後の初期にみられることもあり、モロー反射が残存している場合は、他の原始反射もいくつか残っていることが多くみられます。

そのため、原始反射統合エクササイズを行う場合は、他の原始反射も統合する必要性があると考えられます。

モロー反射について詳しくはこちらもご参考ください

緊張性迷路反射

  • 前庭機能の発育がおくれる( バランス機能が悪くなる 空間的な認知に問題など)
  • 姿勢が悪い
  • 動きがぎこちなくなる
  • 視覚、眼球運動の問題(とくに垂直の動き)
  • 相手との距離感がつかめない(人や物にぶつかりやすい)
  • 腕を挙げる作業、運動を行うと疲れやすい
  • 聴覚処理が困難(指示がとおらない、言語学習がむずかしくなるなど)
  • 頭を下げていると注意が続かない(机で物を書く姿勢)
  • 整理整頓ができず物忘れも多い

姿勢の基礎発達となるため、姿勢や動きに問題がみられやすいです。

また、前庭系と固有受容器(バランスと自分に位置感覚)が未熟となるため、それらに関連する視覚、聴覚、バランス感覚などにも影響を及ぼします。

大人(思春期以降)の緊張性迷路反射

前庭系を含む感覚(視覚、聴覚、固有受容器など)が未熟であり、めまいや運動の苦手を要する人が多いです。

モロー反射と相対的に関与することが考えられるため、モロー反射の残存でみられるような症状も呈します。

他には以下の特徴がみられます。

  • 肩を痛めやすい(体幹部の伸展機能の低下)
  • 高所恐怖症(前に倒れやすい感覚のため)
  • 階段の昇り降りが怖い(後ろもしくは前に倒れやすい感覚のため)
  • 順序立てて行動するスキルが乏しく、伝え方や文章に問題が生じやすい
  • 同じ間違えを繰り返しやすい(因果関係を理解することが困難)

頭部の前方、後方への動きがあるため、前方の反射が強い場合は前方、後方の反射が強い場合は後方に引っ張られる感覚をもつことがあります。

原始反射をコントロールする小脳および大脳皮質の機能低下がみられることで、認知活動(計画性、スピーチ、作業記憶など)にも影響がみられやすいです。

探索・吸啜反射

  • 言葉・発声の問題(発語の遅れ、特定の音の発音の苦手、など)
  • 口周りが過敏
  • 固形食の咀嚼や嚥下が困難
  • 柔らかい食べ物を好む傾向がある
  • 乳児期をすぎてもよだれが多い
  • 話すときに下を前方へ突き出す傾向(出っ歯になりやすい)
  • 唇と口のコントロールの弱さ(口笛がふけない、舌を動かすことが苦手など)
  • スプーン、フォーク、コップなどでも摂食が困難
  • 話をしていないときでも口を開けていることが多い
  • 服や物を噛んでいることが多くなる傾向
  • 歯磨きや顔を洗うことを嫌う傾向
  • 話すことと手作業を同時に行うことが困難

探索・吸啜反射は口、舌などの発達に関係します。

そのため、摂食や発語に影響を及ぼし、口腔内の問題(歯並びの悪さ、嚙み合わせ、虫歯が多いなど)も引き起こされやすいです。

また、口周りの運動や感覚は多くの脳領域(一次運動野、一次感覚野)の活動が必要となり、反射の残存によって脳への刺激が不十分となり得ます。

さらに顔の動きは喜怒哀楽を現わすために重要であり、コミュニケーションに必須であることから、コミュニケーションに支障をきたすことも考えられます。

大人(思春期以降)の探索、吸啜

タバコをやめられない、クチャクチャと音をたてて食べる特徴がみられます。

また、言葉の出し入れが難しい(話始めたら止まらない、意見を言えない、言葉につまるなど)傾向もあります。

これらが結果として、対人関係に影響を及ぼすことがあります。

大人まで吸啜、探索反射が残ることで歯並びの悪さ、慢性的な口呼吸がみられることで、ホルモンのアンバランス、免疫力の低下(ドライマウス、歯周病の影響など)などによる不定愁訴に悩まされる可能性があります。

※口呼吸にメリットはなく、多くのデメリットが研究で報告されています。

口と手を同時に動かすことが困難であり、しゃべりながら作業を行うことが苦手な傾向がみられます。

把握反射

  • 微細運動が苦手(指先を動かすことが困難、つまみ動作の発達の遅れなど)
  • 日常的な作業の困難(鉛筆をもつ、箸をもつ、ボタンをとめるなど発達性協調運動障害でもみられる)
  • 手を使うと必要以上に力を込めてしまう
  • 手のひらの過敏性(触れられると握ってしまう)
  • 利き手の確立が困難
  • 物をキャッチしたり、投げたりすることが困難
  • 不器用さが目立ち、物をよく落とす
  • 手の筋緊張が低いもしくは過剰に緊張している
  • 手を使う作業を嫌がる傾向
  • 適切な運動発達ができず、全身の協調運動に影響を及ぼす
  • ハイハイが行われなかった(手を握ってしまうため)

把握反射は、手の反射であり、手の発達の土台となります。

そのため、把握反射の残存は手先の不器用さに直結することが多いです。

また、把握反射が強く残存すると乳児期の発達に重要なハイハイにも悪影響を及ぼすため、日常生活に直結する運動(物を書く、ボタンをする、ハサミを使うなど)も苦手となり、日常生活に支障がみられます。

探索、吸啜反射と同様に多くの脳領域を活動させるため、把握反射の残存は脳への刺激不足になり得ます。

大人(思春期以降)の把握反射

把握反射では手の不器用さ、筆圧が強すぎる、パソコンのキーボードを叩く音が大きいなどがみられることがあります。

また、それらが起因して手根管症候群などの手首の問題がみられることも多いです。

一般的に指を使うことは脳を活性化させる(思考力、記憶力の向上など)と言われているように、指先を使うことを苦手とすることで記憶力の低下、数学や読書の苦手がみられる傾向があります。

ガラント反射

  • 姿勢の問題(とくに側弯症)
  • おねしょが直らない(本来は6歳で9割以上、おねしょがみられなくなる)
  • 貧乏ゆすり・じっと座っていられない
  • 読字の困難(ディスレクシア)との関連
  • 短期記憶の問題
  • 注意力と集中力の問題
  • 腰回りのきつい衣服、タグを嫌がる
  • そわそわと落ち着きがない

ガラント反射は、背部の刺激に対して反射的に体幹部を横に曲げるため、服や椅子の背もたれの刺激によってじっと座っていることが苦手です。

また、ガラント反射は脊髄反射に分類され、排尿中枢(仙髄にある)に影響するため、おねしょに関連します。

体幹部が安定せず、頭位にも影響を及ぼし結果として眼球運動によるスムーズな文章の読みができず、ディスレクシアにも関連することが考えられます。

さらには前庭系と関りのある側頭葉にも影響を及ぼし、短期記憶に問題がみられることがあります。

大人(思春期以降)のガラント反射

背骨の反射であるため、姿勢の悪さや脊柱側弯症との関りがみられます。

その影響によって、腰痛や肩こりがみられることが多いです。

また、読み書きの苦手および短期記憶の欠如から、作業効率に支障をきたし仕事に悪影響を及ぼします。

さらに同じ姿勢を継続することが困難であるため、デスクワークが困難となります。

運動面では、歩行動作にエラーが生じやすく、それに伴いスポーツ動作をスムーズに行えない傾向がみられます。

バビンスキー反射・足底反射

  • つま先歩き
  • 歩き方がぎこちない(歩行習慣の遅れ:14ヶ月を超えても歩かなかった)
  • 走り方がぎこちない
  • バランスが悪い
  • 暗い場所でも歩行困難(視覚による補助がないため)
  • 足の問題からみられるスポーツ障害(シンスプリント、アキレス腱炎、腰痛、ハムストリング障害など)
  • 足指が動きづらく幼少期に靴を履くことを嫌がる

バビンスキー反射は足裏の反射であり、歩行の発達を促しますが、反射が残るとバランスの悪さやスポーツ障害などに関連します。

大人(思春期以降)のバビンスキー、足底反射

同じ場所に靴下の穴があきやすく、足関節の痛みや疲れがみられやすいです。

また、歩行や立位でのバランスが悪いため、腰、膝、脚などを痛めやすいくなります。

スポーツでは、何度も繰り返す捻挫、アキレス腱の障害、ふくらはぎのケガなどを誘発しやすいと考えられます。

非対称性緊張性頸反射

  • 書字能力低下(字が汚い、模写が苦手、黒板からの書き写しが苦手など)
  • 両側の手足のスムーズに動かせない
  • 左と右を混乱する、両利き
  • 焦点を合わせられない
  • ボールをキャッチすることが難しい
  • 幼少期にハイハイをしていない、または期間が少なかった
  • 複数ステップの口答の支持に従うことが困難
  • 手と目の協調運動が苦手
  • 走り方がぎこちない(ロボットのような走り方)
  • 読書や書字で文字をスムーズに追跡できない(ディスレクシア)
  • 両目を使った視覚スキルがなく、物を目で追うことが苦手
  • 不器用にみえる
  • 目と手の協調性および不器用による日常生活の困難(服を着る、歯を磨く、靴を履くなど)
  • 気がちりやすい

目で物を追うことから始まり、手を動かす能力が身に着くと共に自分の手を見てそれを追うようになります。それによって、目と手の協調運動を促します。

そのため、手を使う動作および眼球運動、遠近感などに影響がみられます。

大人(思春期以降)の非対称性緊張性頸反射

手足のスポーツ障害(野球肩、野球肘、オスグッドなど)との関りがみられることがあります。

なかには球技の苦手や利き手(両側使える)がないなどの特徴もあります。

スポーツだけではなく目と手の協調運動の苦手から、書き写したり、手作業が苦手になりやすく、仕事に時間がかかるケースがあります。

さらには音を特定することも困難(視覚と聴覚の神経回路は近くをとおり、処理する機能も似ているため)となり、口答指示の混乱やスピーチ、言語スキルの苦手がみられます。

また、慢性的な肩こり、首の痛みに悩んでいるケースも少なくありません。

対称性緊張性頸反射

  • 距離感がつかめない(遠近調整が苦手)
  • 姿勢が悪い
  • 水泳に影響
  • 読み書きの苦手(遠近の切り替えが困難:例として黒板とノートの視線を切り替えて焦点を合わすことが難しい)
  • 机に突っ伏して座る
  • 猿のような歩き方
  • 食べ方が汚い、遅い
  • 読書や画面をみることで目が疲れやすい
  • 整理整頓や計画スキルが低い
  • 他の話し声、音があるなかで指示を聞き取ることが困難

ハイハイに移行する反射となり、寝ているときよりも遠くをみることができるようになります。

そのため、目の遠近調整の発達に関わります。

また、姿勢反射の1つでもあるため、姿勢にも影響を及ぼします。

大人(思春期以降)の対称性緊張性頸反射

遠くと近くを交互に見ることが苦手であり、食べ物をよくこぼす、書き写すことが苦手がであったりします。

また、背部の筋肉のコントロールが難しく、肩こりや腰痛を訴える人にも多く見られます。

デスクワーカーでは、目の疲れに加えて肩こりや腰痛を訴えやすいです。

聴覚や視覚を上手く活用できないため、音や風景などをヒントに目的地に向かったりすることが苦手であったり、作業の遅れがみられることもあります。

原始反射の科学的根拠

毎晩10分程度、モロー反射・緊張性迷路反射・ATNR・対称性緊張性頚反射(STNR)の動きを真似た体操を1年間行った結果、介入していないグループに比べATNR残存の程度が大幅に軽くなり、2種類の読み力テストと書くスピードの検査などで有意な改善がみられました。

参考文献:Effects of replicating primary-reflex movements on specific reading difficulties in children: a randomised, double-blind, controlled trial

原始反射の残存がみられるほど、運動レベルは低かった。

参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29379547

ASDにおける原始反射の保持と認知機能および運動機能との密接な関係を支持し、RPRの阻害がASDに前向きな変化をもたらす可能性がある

参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35873782/

ADHDと診断された年齢3.2歳から22.04歳までの2,175人を対象に原始反射(RPR)を軽減する半球ベースのトレーニングプログラムの有効性を判定し、認知タスクによる運動機能との関係を調べることでした。

12 週間のプログラムの後、RPR は大幅に減少し、すべての運動機能および認知機能のパフォーマンスが大幅に向上しました。

参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33282806/

小児における ADHD の症状は、非対称性緊張性頸反射の原始反射が統合されていないことに密接に関連しています。

参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37484683/

2020年ころから原始反射の研究論文も増えており、医学的にも注目され始めたトピックです。

発達障害ではない大人でも原始反射はみられる

原始反射は脳の前頭葉と言う部分でコントロール(統合)されているだけで、消失したワケではありません。

そのため、誰であっても原始反射が出現する可能性はあり、スポーツ外傷、事故、精神的なストレスで原始反射が再現されることもあります。

脳機能の疲労と言う意味では、睡眠不足、栄養不良などでも臨床的に現れるケースもありました。

また、原始反射が起因してスポーツ障害を発症していることもあります。

原始反射=発達障害ではない

原始反射が残存していると障害があるように思われがちですが、必ずしもそうではありません。

健康で障害のない方でも、そのときの状況(仕事で日々疲れている、ケガをしたなど)によっては原始反射が現れることもあります。

ただ、原始反射が現れていてるのは、脳機能のアンバランスがみられるサインでもあり、何らかの症状がみられる場合、1つの身体評価として検査する意義はあります。

もちろん、評価的には脳のアンバランスがみられるケースでも、何の症状もなく健康的に社会生活を送られている方は原始反射が残存していても問題はありません。

なぜ脳バランスが崩れていても問題ないのかと疑問に思う方もいるかと思いますが、自分の特性と上手く向き合うことで他人から見れば生きづらく感じても本人は偏った能力を上手く利用していることが考えられます。

そのため、ADHD、ASDと診断されている経営者やトップアスリート、アーティストなど社会的に成功を収めている人も少なくありません。

発達障害についてはこちらもご参考ください。

自閉症スペクトラム障害

アスペルガー症候群

ADHD

学習障害

原始反射の残存は体調に関わる

原始反射の残存は、先に解説したとおり脳機能のバランスが崩れているサインであるため、体調不調の原因になり得ます。

普段はコントロールできる大人でも疲労や緊張状態が高いと脳のバランスは崩れやすく、結果として腰痛や肩こりを引き起こしている人も少なくありません。

また、脳バランスが崩れると自律神経もコントロールできないため、様々な症状が現れます。

自律神経症状について詳しくはこちら

意外にも思われるかもしれませんが、スポーツ選手のケガにも原始反射の残存がみられるケースも少なくありません。

個人的な意見としては、ケガの多いスポーツ選手は外傷(捻挫、骨折、靭帯断裂、脳震盪など)が起因して原始反射が現れていることもあると考えています。

先に解説したようにトップアスリートでも原始反射はみられることもあり、ケガの原因と考えられるのであれば原始反射統合を行ったほうが良いです。

発達障害は原始反射統合で良くなる?

発達障害の介入は早ければ早い方が良いとされており、その理由の1つとして低年齢ほど神経可塑性が活発であることが考えられています。

このような理由から小児ほど、しっかりと考えられた原始反射統合エクササイズであれば、2週間(毎日)行うことで変化がみられるようになり、それをさらに3~4ヶ月継続(段階的に難易度は変更)することであらゆる状況でも原始反射が現れにくくなります。

また、小児は脳の発達段階であるため、原始反射が統合されることで今まで停滞していた脳発達が促されるため、どんどんと出来ることが増えていき、それが結果としてさらに脳発達が加速され、人によっては発達障害が治ったかのようなみえると考えられます。

その反面、原始反射統合エクササイズをしても効果があまりみられないといった声も聞くことも少なくありません。

その理由として考えられるのは以下のことが考えられます。

  • 栄養の問題
  • 生活環境
  • 原始反射統合エクササイズの手法に問題がある
  • 原始反射統合以外の問題を解決する手法が取り入れられていない

脳も活動するためには栄養が必要であり、発達障害では腸内環境の問題がみられることも多く、栄養の問題がクリアされていないと原始反射統合は困難です。

また、生活環境も同様であり、脳に悪影響を与える可能性のある長時間のスマホ視聴、ストレス過多な環境、視覚の問題(乱視、遠視などが矯正されていない)などによって神経可塑性が阻害されます。

原始反射統合エクササイズも個人に合わせた工夫が必要であり、最近では原始反射統合エクササイズがYouTubeで視聴できますが、全ての人に適応するわけではありません。

そして、「少しの時間行うだけで」というような過大広告に近い表現がされることもありますが、脳の神経可塑性を考えるとそのようなことはありません。

原始反射統合は、一部の神経ネットワークの活性化に過ぎず、その人の悩みによって前頭葉や小脳への活性化も必要であり、さらにはその人の生活背景を考慮した神経ネットワークを構築する介入が必要です。

これらの理由から、原始反射統合エクササイズは、発達障害の困りごとを解決する重要なピースであることは間違いありません。

しかし、他にも脳発達や脳機能の改善には行うべきこともあるため、一人ひとりの現状に合わせて原始反射統合エクササイズを考え、必要に応じて他のサポートも必要となります。

大人と小児の違いは?

大人と小児の違いは、以下のことが考えられます。

  • 脳の発達段階の違い
  • 継続性の困難
  • 生活背景や現状に合わせたアプローチの必要性

大人は脳が成熟している段階であるため、小児のように原始反射が統合されることでドミノのように次々と神経ネットワークが構築されて大きな変化がみられにくいです。

ただ、神経可塑性は高齢になってもみられることが研究で報告されており、原始反射統合や脳の可塑性を促すアプローチが全く効果がないワケではありません。

そのため、脳疾患、脳震盪など脳へのダメージを負った場合でも、神経可塑性を利用したリハビリによって回復します。

思春期以降にもみられますが、反抗期や継続性および集中力の欠如などによって、原始反射統合エクササイズをはじめ必要な脳の可塑性を促したアプローチを継続できないケースも多くみられます。

そのため、継続していくための工夫は小児よりも重要となります。

とくに大人になると仕事内容や過去のトラウマ、生活環境などによって、一人ひとりに合わせたプログラム構築が重要となります。

また、原始反射統合は初期段階で重要ですが、生活自体に大きな変化を感じることができない可能性もあり、結果としてモチベーションが低下してしまうことで行うべきアプローチが継続できないケースも少なくありません。

先にも解説しましたが小児では集中的に行うことで効果も現れやすいですが、大人も変化を短期間で感じてもらうためにも集中的に原始反射統合エクササイズと他のプログラムを実行していく環境を作ることでモチベーションを維持したまま、変化を感じられやすいです。

カイロプラクティック心の大人の原始反射統合

カイロプラクティック心は、脳機能を評価、アプローチする機能神経学を10年以上前から学んでいます。

その知識を活かして、原始反射を脳機能から紐解き、その人に合った原始反射統合エクササイズをプログラムすることができます。

もう少し具体的に説明するとYouTubeで紹介されている単純な原始反射統合エクササイズではなく、身体評価をもとに眼球運動や小脳などの機能低下がみられれば、それらの活性化も考慮してエクササイズを行うことが重要となります。

原始反射統合エクササイズについて詳しくはこちら

例えば、モロー反射がみられる場合は眼球運動の1つである注視が難しいこともあり、注視とヒトデエクササイズを組み合わせたほうがその人にとっては効果的な可能性があります。

また、交感神経を過活動もモロー反射の反応の1つであるため、自律神経症状があるケースではその人が落ち着く音楽を流す、すこし暗めの部屋で行うなども1つのアイデアとなります。

原始反射統合エクササイズだけでは、大人の発達障害での困りごとは解決されにくい側面もあり、その人の生活背景や困りごとに合わせたアプローチが必要となります。

例えば、複数のタスクをこなすとパニックになる場合は、考えるために必要な前頭葉の容量を不必要に使わないことが大切となり、そのために簡単なダブルタスク(バランスをとりながら簡単な認知活動(足し算、しりとりなど)を行えるようにしていきます。

また、数字をあつかう仕事であれば数字を活用した認知活動、コミュニケーションが必要であれば言葉遊びを活用するといった生活背景も考慮するようにします。

もちろん、ダブルタスクが初期の頃は苦手なケースも多く、姿勢制御に重要な原始反射統合、ビジョントレーニング、前庭系エクササイズなどを段階的に初期のころは行うことが大切です。

「大人でも原始反射統合ができるのか不安」「今まで色々試したけど挫折した」などの方でも機能神経学をもとに考えた原始反射統合エクササイズおよび感覚エクササイズ、カイロプラクティック施術を組み合わせることで効果が期待できます。

大人の方はこちらのLINEからご相談ください。

 

原始反射は統合する必要がある?

結論から言えば、原始反射は統合できたほうが良いです。

反射をコントロールできないことは、無駄な力も入りやすく大人ではとくに身体症状(腰痛、肩こり、手首の痛みなど)と関りがみられます。

また、自律神経症状(疲労感、めまいなど)は前庭系の影響も受けるため、原始反射が残存しているケースも多いです。

こどもの発達障害では、まず原始反射の統合から優先的に取組みます。(原始反射統合エクササイズ以外も行っていく方が困りごとが早く解決はします)

ただ、気を付けたいのは原始反射が統合されれば、全ての悩みが解決するとは言えません。

こどもの発達障害では、原始反射の統合だけでも大きな変化がみられることもありますが、ほとんどのケースで栄養、生活環境の見直し、感覚エクササイズ、認知課題を含めたダブルタスク課題などを合わせて行います。

カイロプラクテイック心では、こどもだけではなく大人も原始反射の統合を行いますが、それ以外にもその人の悩みに合わせたアプローチを行います。

原始反射のまとめ

ここまでポイントをまとめると

  • 原始反射は出生前後からみられ、成長と共に前頭葉によって統合され、消失するワケではない
  • 原始反射は発達障害だけにみられるものではなく、外傷、老化、出産などによって再現されることもある
  • 大人でも原始反射はみられる
  • 原始反射は全て障害に直結するワケではないが、脳機能の偏りがみられる1つのサイン
  • 原始反射の残存は、肩こりや腰痛などの身体症状と関与する可能性がある
  • 「原始反射=発達障害」ではないが、原始反射統合は取組むことが望ましい

原始反射を統合することは、こどもや大人にとって身体症状の緩和、日常生活の困りごとが減るなどのメリットがあります。

ただ、「原始反射が残存している=発達障害」ではないということは理解してください。

こどもの発達障害についてはこちらをご参考ください。

投稿者プロフィール

カイロプラクティック心 岡真靖
カイロプラクティック心 岡真靖施術歴18年 第一種認定カイロプラクター BBIT認定療法士 栄養コンシェルジュ®2つ星の資格
伊勢市小俣町にあるカイロプラクティック心の代表です。
施術歴15年以上、1万人以上の施術経験と第一種認定カイロプラクターの資格を保持し、日本カイロプラクティック師協会の副会長を務めています。
慢性的な痛みやしびれ(腰、手足、頸部など)の症状改善の専門家
ほかにも栄養コンシェルジュ®2ツ星、BBIT認定療法士(脳機能ベースに神経可塑性を利用したアプローチを行う)に資格も保有して、筋骨格系、栄養、中枢神経系を介した独自のアプローチを行っています。
自律神経失調症、めまい、頭痛など栄養や中枢神経系が関与する原因に対しても、根本的な改善を行います。
BBIT療法は原始反射統合、感覚統合、脳の側性化、多感覚アプローチなどを用いて発達障害に有効であり、日本に数十人しかいないBBIT認定療法士の一人です。

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