変形性膝関節症

変形性膝関節症の原因

変形性膝関節症の原因を見極めることが改善への第一歩

変形性膝関節症は、軟骨がすり減ることでその下にある骨に刺激が伝わり痛みが生じ、進行すると関節の変形や破壊を引き起こします。

中高年に多くみられる疾患ですが、潜在的には20歳前後でも軟骨の損傷はみられます。

ただ、軟骨には痛みを感じる神経受容器が存在しないため、軟骨が少し減るだけでは痛みを感じません。

そのため、初期は「組織修復に伴う炎症」「炎症に伴う滑液の増加(水が溜まる)による関節包にある痛みを感じる神経の刺激」が主な痛みの原因と考えられます。

そして、進行すると骨に刺激が伝わる痛みとなり、筋肉や関節の問題によりさらに過剰な刺激が加わりやすく痛みを増長させます。

このことから変形性膝関節症は、関節の変形だけが痛みを起こしているワケではなくいくつかの原因がみられます。

言い換えれば、変形していたとしても痛みの原因を解消できれば、膝の痛みは改善できます。

ここからは変形性膝関節症の原因を色々な視点から解説していきます。

変形性膝関節症の原因

変形性膝関節症は、先天的な要因と後天的な要因(事故、膝に負担をかける習慣など)によって、関節軟骨の組織自体に変性がみられます。

変性の機序は以下のとおりです。

軟骨の減少⇒軟骨内のプロテオグリカンの変性⇒さらに軟骨が減少⇒軟骨下の骨硬化⇒広範囲の骨棘形成⇒関節破壊

一般的には後天的な要因が多く、何らかの原因により関節軟骨内のプロテオグリカンの変性が生じると共に、関節軟骨の変性が進行します。

軟骨変性メカニズム

関節軟骨の変性メカニズムは、以下のように進みます。

何らかの原因でコラーゲンが破壊⇒プロテオグリカン集合体がコラーゲンの中から漏出⇒プロテオグリカン集合体が水分を吸収⇒軟骨の強度が減少⇒関節軟骨がさらに破壊されやすい

関節軟骨はコラーゲンと粘質多糖体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸)で構成されています。

プロテオグリカン集合体はヒアルロン酸にプロテオグリカンに枝がついた大きな分子であり、コラーゲン分子に結合しています。

これが関節軟骨の主成分となるため、前述したプロテオグリカン集合体が漏出(破壊および減少)により、変性が進みます。

このような軟骨変性メカニズムから変形性膝関節症の原因は、軟骨を生成する過程の異常も原因の一つと言えます。

また、軟骨に過剰な刺激が繰り返し加わることで、軟骨の変性が進行しやすくなると共に膝周辺の組織もダメージをうけることで痛みが生じます。

遺伝性

2008年の研究では、変形性膝関節症の原因遺伝子がみつかりました。

疫学調査などから、この OA が、遺伝的な因子と環境因子の相互作用で発病することが明らかとなっています。理研ゲノム医科学研究センター骨関節疾患研究チームでは、OA の原因遺伝子を見つけ、その働きを解明する研究を精力的に展開しています。既に「アスポリン」、「GDF5」を世界に先駆けて発見してきました。しかし、まだ関連する遺伝子は多く、原因遺伝子を見つけだすための新たな方法の開発が課題となっていました。 今回研究チームは、日本人特有の一塩基多型(SNP)を体系的に調べたデータベースを利用して相関解析を行い、OA の原因遺伝子をゲノム全体でスクリーニングして、新たな遺伝子「DVWA」を発見しました。

出典:膝の変形性関節症の原因遺伝子「DVWA」を同定/理化学研究所

遺伝子は見つかっていますが、特別な治療法まで確立されてません。

身内に変形性膝関節症の方がいる場合は、予防や進行を緩やかにさせる習慣を身につけることが大切ではないでしょうか。

外傷、病気

膝周辺の外傷(骨折、半月板損傷など)炎症性:代謝性疾患(関節リウマチ、糖尿病など)に伴って、関節の変形が生じやすくなります。

肥満やBMIの増加は、変形性膝関節症にリスクを高めるという研究報告もあります。

ホルモンのアンバランス

変形性膝関節症は、女性の羅漢率が多いとされています。

その一因として閉経後にエストロゲンが減少することが挙げられます。(エストロゲンは、カルシウムの吸収を助け骨を丈夫に維持する働きがあります。)

女性は加齢と共にエストロゲンの減少は避けられないため、日々の食生活が(骨を健康に保つためのカルシウム、ビタミンDなど)大切になります。

滑液の異常

滑液は、関節の潤滑油の役割を果たすと共に関節軟骨への栄養補給を行います。

そのため、膝関節だけではなく各関節に存在します。

この滑液にヒドロシキアパタイト(塩基性リン酸カルシウム)カルシウム塩(ショウ酸カルシウム)の結晶が変形性膝関症でみられます。

ヒドロシキアパタイト結晶は、五十肩(石灰沈着性腱炎、肩周囲炎)皮膚筋炎、リウマチ性疾患などでも生じ、急性炎症を引き起こします。

このケースでは、ステロイド注射で楽になることがあります。

ショウ酸カルシウム結晶は、血液透析や腹膜透析の治療を受けている患者に多く、とくにアスコルビン酸(ビタミンC)の治療を受けた患者に多くみられます。

これも女性に多くみられる原因とされています。

関節軟骨への過剰な刺激

膝関節へ部分的な過剰な刺激がくわわることで関節軟骨の変性が進行しやすくなります。

変形性膝関節症は病変部位によって「膝蓋大腿型」「大腿脛骨型(さらに内側型と外側型に分類)」「全型」に分けられ、日本は内側型(大腿脛骨型)が多いです。

このことから、膝関節の内側に負担をかけている人が多いと言えます。

このように関節軟骨に過剰な刺激が加わる原因は、以下のことが考えられます。

姿勢(骨格のアライメント不良)

O脚、X脚などは膝関節のアライメント不良であり、立っているだけでも膝関節に部分的に過剰な刺激が加わります。

他にもお腹を突き出した姿勢が多くみられ、これは大腿四頭筋が過剰に活動することで膝蓋大腿関節(膝のお皿)に過剰な刺激が加わります。

このような膝への負担が大きくなる姿勢は、膝関節自体の問題だけではなく足関節、股関節の影響が大きいです。

また、それらの起因として過去の外傷(足首の捻挫、骨折など)胸部の可動制限など全身性の問題がみられます。

関節の異常運動

正常な関節運動から逸脱すると、部分的に過剰な刺激が加わります。

異常な関節運動がみられる原因は、主に以下のとおりです。

  • 姿勢(O脚、X脚など)
  • バイオメカニクス(運動連鎖)異常
  • 筋肉の協調運動機能の低下
バイオメカニクス異常

身体は全身が連動することで、一部分に負担がかかることなく動くことができます。

そのため、どこかの関節が動きにくくなると代わりに過剰に動く関節が必要となり、結果として過剰に動く関節に負担が大きくなります。

また、身体の使い方によっては階段の昇り降り、しゃがむ動作で膝への負担が大きい動きをしていることも多いです。

これらが日常的に繰り返されることで、関節軟骨へ過剰な刺激が伝わります。

このケースは、膝に負担の少ない動きを指導することで、深くしゃがめるようになったり、階段の昇り降りが楽になることが多いです。

筋肉の協調運動の低下

膝を曲げる動作だけでも複数の筋肉が協調して動いています(太もも裏の筋肉が収縮しながら太もも前の筋肉が伸ばされる)

この筋肉の協調運動が低下し、1つの筋肉が過剰に働きすぎたり、働かなさすぎたりすれば関節運動にまで影響し、膝への負担が大きくなります。

例えば、太もも裏の外側だけが過剰に働くと膝が内側に入るようなしゃがみ方になりやすく、結果として膝内側の関節軟骨に過剰な刺激がくわわります。

変形性膝関節症は、運動療法が有効な治療ですが、筋肉の協調運動が低下していると正常な関節運動ができておらず、

真面目に運動療法に取り組んでいる人でも効果が現れにくいです。

解決可能な原因もあります

遺伝性や病気(糖尿病、関節リウマチ)は、変形性膝関節症の根本的な解決は難しいです。

しかし、遺伝性であっても食生活や生活習慣の見直し、予防対策(運動療法、身体のケアなど)によって、進行を遅らせて生活の質を落とさずに暮らせることは可能と考えられます。

変形性膝関節症以外の病気もある人は、主治医とも相談しながら対応していく必要があります。

関節の変形(関節軟骨の変性)が進行しているほど、栄養処方(関節軟骨の維持)生活習慣の見直しも重要となります。

解決可能の原因でもあり、多くに人にみられる変形性膝関節症の痛みの原因は、関節軟骨への過剰な刺激です。

初めは今までの生活(スポーツ歴、仕事歴、家庭の生活仕様など)で積み重ねられた膝への過剰な負荷が関節軟骨への過剰な刺激となってると考えられます。

そして、痛みによりかばうことで動きの質がさらに低下して、膝のダメージを回復できない悪循環に陥ります。

関節軟骨への過剰な刺激を解決するには、薬では難しく運動療法でも効果が現れにくいことがあり、全身を評価(筋肉、関節、神経など機能)し、適切な処置を行う必要があります。

言い換えれば、なかなか治らない変形性膝関節症でも適切な処置が行えれば、痛みの緩和は期待できます。

変形性膝関節症の原因に向き合って快適な生活を送ろう

変形性膝関節症の原因をいくつか解説させていただきました。

関節に変形がみられると「もう治らない」と医師から告げられたり、思い込んだりして、痛みを改善させることを諦めてしまう人もいます。

ただ、関節の変形にも段階があり、ここで解説した原因を解消していくことで変形があったとしても炎症が抑えられる可能性があります。

炎症が抑えられれば、膝周辺の過剰な刺激が減ることで、痛みなく快適な生活を送れることがあります。

変形が進行していたとしても50代での手術は、高齢になってからの再手術のリスクが高まるため、行われないことが多いです。

そのような場合でも痛みをこらえて生活の質を落とすのではなく、積極的に原因を解決していくことで生活の質を落とさず、手術のできる年齢を迎えることができる可能性もあります。

カイロプラクティック心では、関節軟骨にかかる過剰の刺激を取り除くことを中心に変形性膝関節症の人であっても快適な生活が送れるようサポートさせていただきます。

また、生活習慣(栄養サポート、動作指導など)で痛みを緩和させるアドバイスもさせていただきます。

変形性膝関節症でも「快適な生活を送りたい」「登山やウォーキングなど自分の足で歩き続けたい」「孫と一緒になって遊びたい」「手術は覚悟しているけど、それまで生活の質をおとさず仕事や家庭のことをがんばりたい」などの想いのある人は、ぜひカイロプラクティック心にご相談ください。

投稿者プロフィール

カイロプラクティック心
カイロプラクティック心カイロプラクター
伊勢市小俣町でカイロプラクターをしています。

病院では異常が見当たらず、どこに行っても良くならなかった方が体調を回復できるようサポートします。

機能神経学をベースに中枢神経の可塑性を利用したアプローチで発達障害、自律神経症状、不定愁訴にも対応しています。

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