成長期のこども食事

栄養

こどもの成長期に必要な栄養の摂り方

近年では、こどものロコモティブシンドローム、肥満および痩せ傾向などがみられます。

その要因は運動や生活習慣など色々とありますが、1つは食生活と考えられています。

肥満は病気のリスクとなり、反対に痩せすぎも免疫力の低下や精神面への悪影響などのリスクが高まると言われています。

ロコモーティブシンドロームは運動が重要ですが、成長期の栄養不良は体つくりに悪影響を及ぼし結果として運動機能が低下します。

このようなことから、成長期のこどもは食事による適切な栄養摂取が重要です。

ここでは、栄養コンシェルジュ®2つ星の岡がこどもの成長期に必要な栄養の摂り方について解説していきます。

3食に分けて食べることが大事

1日活動するためには、食事からエネルギー(主食となる炭水化物)を取り込む必要があります。

大人では1日2食もしくは1食でも健康的に過ごされている方もいますが、成長期のこどもは体を大きくする必要がありエネルギー不足は成長の妨げとなります。

また、脳(中枢神経)は炭水化物から分解されたグルコースが主なエネルギー源となり、脳の健全な成長という意味でも適切なエネルギー源を食事から摂取する必要があります。

脳(中枢神経)を活性化させるためには、「酸素」「糖(グルコース)」「刺激」が必要とされることからもエネルギー源となる炭水化物は重要です。

もちろん、神経系を作るためにタンパク質、脂質、ビタミンなども必要となります。

1~2食にするデメリット

1日に必要なエネルギー源となる炭水化物だけではなく、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルが十分に摂取できない可能性があります。

その結果として「痩せすぎ」「ロコモティブシンドローム」「疲れやすい」「風邪をひきやすい」など色々な問題が生じます。

なかには1~2食でも必要な栄養を摂取できるかもしれません。

しかし、体内で栄養をエネルギーや体の組織の変換する能力(代謝)は限りがあるため、余剰となった栄養素は脂肪として蓄積されたり、分解されて排泄されます。

このようなことから、朝食を抜いて昼食、夕食をたくさん食べても個人の能力を超えた食事摂取量であると脂肪として蓄積され肥満となる可能性があります。

朝食を食べよう

朝食を食べないことがある小学校6年生の割合は5.1%、中学校3年生の割合は7.1%((出典:文部科学省「全国学力・学習状況調査」(2021年度))

朝食を必ず食べるこどもは、朝食を食べないもしくは食べないことがあるこどもを比較すると学力調査および体力調査が高い傾向があると報告されています(出典:農林水産省令和3年度食育白書)

なぜこのような結果になるのでしょうか?

人には体内時計が備わっており、朝の明るさによりエネルギーを消費するモードに切り替わります。

しかし、睡眠によりエネルギーが枯渇している状態で朝食をとらないと絶食状態と体が判断し、蓄積モードとなり余分なエネルギー消費を行わずエネルギーを脂肪として蓄積しようとします。

それでも生活するためにエネルギーは必要であり、エネルギーが枯渇していると筋肉を分解してエネルギー源を捻出しようとします。

このような状態が続けば、筋肉量が減り脂肪は燃焼されにくくなり、運動に悪影響を及ぼします。

当然、脳にも十分にエネルギーが供給されないため、勉強に必要な認知機能も低下することが考えられます。

朝食に炭水化物(糖質)が必要な理由

朝は基本的にエネルギー源が枯渇している状態であるため、炭水化物(糖質)を摂取することが大切です。

また、糖質の1つであるグルコースは体の代謝(糖質を細胞に取り込む、筋肉の合成を促すなど)に重要なインスリンを分泌させる栄養素であるため、とても重要となります。

このようなことから、成長期のこども、筋肉を増強したいアスリートにとって、糖質の摂取は必要不可欠です。

朝からしっかりとインスリンを分泌させることで、全身の細胞が活性化しやすく日中活動するには適した状態となります。

健康を気にしている家庭のなかには、朝食に果物を多くとるケースもみられますが、果物に含まれる果糖は脂肪として蓄積されやすく肝臓にグルコーゲンとしてエネルギーを貯蔵できません。

そのため、朝食はごはん、パン、麺類、イモ類などの炭水化物を摂取することが望ましいです。

糖質の役割についてこちらの記事もご参考ください。

成長期のこどもの栄養バランス

1食分の栄養バランスは、主食(炭水化物)主菜(タンパク質+脂質)副菜(ビタミン+ミネラル)をそれぞれ1品以上をベースに考えます。

栄養バランスを考えた食品選択は、以下の図をご参考ください。

画像引用元:日本栄養コンシェルジュ協会

  • 主食⇒ごはん、パン、麺類、イモ類、豆類(大豆以外)
  • 主菜⇒大豆製品(納豆、豆腐など)魚介類、牛肉、豚肉、鶏肉、卵
  • 副菜⇒野菜類、海藻類、キノコ類

具体的な例としては以下のようなメニューを組み立てることができます。

  • 朝食⇒食パン(バター、ジャム可)ゆで卵、サラダ
  • 昼食⇒ごはん、焼き魚、豆腐と野菜の味噌汁、ひじき
  • 夕食⇒シーフードパスタ、野菜スープ、サラダ

食品の選択、調理方法に加え、年齢や活動量など個人差や家庭の状況により違うため、具体的な献立を知りたい方は栄養の専門家にご相談ください。

カルシウム不足に気をつけよう

成長期のこどもは、骨格も大きくするためにカルシウム、ビタミンDなども必要です。

一般的には給食の牛乳でカルシウム摂取する子供が多く、ビタミンDも太陽を浴びることで得られるため不足することは少ないです。

ただ、高校生になると給食が無くなることが多く、結果としてカルシウムが不足しやすくなります。

なかには牛乳が飲めないこども(乳糖不耐症)もいるため、カルシウムを摂取する工夫が必要になるケースもあるかもしれません。

牛乳以外でカルシウムを多く食材は、「小松菜」「モロヘイヤ」「干しエビ」などがあります。

貧血になるのは鉄不足だけではない

こどもでも思春期に貧血をおこしやすくなるケース(スポーツ、女性では月経が要因)があります。

なかには血液検査では鉄の欠乏がみられないケースでも貧血症状がみられることもあり、鉄以外の栄養不良が考えられます。

血液で酸素を運ぶ役割である赤血球は、グルコース(糖質)をエネルギー源として活動します。

そのため、糖質の不足は赤血球の成長を妨げ、結果として貧血症状を引き起こしやすいです。

また、赤血球を生成するには葉酸、ビタミンB12が必要です。(血液検査内容でも赤血球の数値で不足がわかります)

このように貧血は、一般的に考えれている鉄不足以外でも引き起こされる可能性がります。

ビタミンB12は魚介類、動物性食品に多くベジタリアンに不足しがちな栄養素です。

葉酸は野菜に多く含まれますが、熱に弱く生野菜として摂取していくほうが良いです。

色々な種類の野菜を食べよう

野菜は低カロリーであり、他の食品に比べ食過ぎで肥満になることはありません。

また、食物繊維、ミネラル、ビタミンが豊富であり、栄養のバランスを良くする意味でも多く食べることをお勧めします。

最近では腸脳相関と呼ばれる腸と脳は相互作用するという研究報告が多くあり、脳を健康に保つためにも腸内環境をよくすることが重要と考えられています。

腸脳相関について詳しくはこちらをご参考ください。

その腸内環境をよくするために腸内細菌叢は、果物と野菜の摂取量が多いほど、最適な細菌の豊富さを決定する多数の腸内微生物遺伝子と関連していることが研究で示されました。(引用文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7230850/

他にも野菜を多種多様に摂取することで、様々な健康上の利点があります。

とくに日本人は食物繊維が足りていないと言われているので、こどもの頃から心がけて摂取していく習慣を身に着けることも大切です。

スポーツ後はプロテイン?炭水化物?

筋肉をつけたり、回復させるためにプロテイン(タンパク質)は必要です。

ただ、プロテインだけ摂取すればよいワケではありません。

スポーツ中、スポーツ後は、消費したエネルギーを補給する必要があり、炭水化物の捕食が大切です。

消費エネルギー量は、以下の計算式で算出できます。

【体重(㎏)×METS(運動強度指数)×時間】

例えば40㎏のこどもが40分サッカーの試合をした場合は、240Kcal【40×10(サッカーの試合の運動強度)×0.6=240】の捕食が必要です。

※高校生にもなると体重も重く試合時間が長くなるため、1000Kcal以上の捕食となります。

速やかにエネルギーが補給できない場合、エネルギーが枯渇していると筋肉を分解してエネルギー源となるグルコースを生成するため、筋肉を回復させるどころか筋肉量が減少しパフォーマンスも低下するリスクがあります。

練習中、練習後もまずは、炭水化物を摂取しインスリンを分泌させることで、筋肉の合成も促されます。

そのため、スポーツをするこどもの体つくりは、プロテインだけではなく炭水化物も摂取することが大切です。

脂肪は適切に摂取することが大事

脂質の多い食事は、肥満の原因となります。

ただ、スポーツ(とくに持久力が必要な長距離系の競技、サッカー、バスケットボールなど)は、適度な脂肪を蓄積しておくことで持久力の源となります。

そのため、スポーツの試合中の捕食にもなります。

しかし、多量の摂取は胃の働きを抑えるため、1回につき100Kcal以下にします。

最近では、MCTオイル(中鎖脂肪酸)オメガ3系脂肪酸などを勧める情報も多くありますが、脂質に変わりなく多量摂取は肥満の原因となるため、食事内容も含めて考える必要があります。

脂質は調理油や肉類、乳製品、卵にも含まれているため、意識して追加していくよりも避けたほう望ましいです。

体重を気にするスポーツ(体重別のスポーツ、体操競技、陸上など)では、とくに女性の体脂肪率が低くなる傾向が多く、体脂肪率15%以下は生理不順になりやすいことは覚えておいた方が良いでしょう。

成長期のお子さんがいるご家庭の方へ

最近はSNSやネットによって簡単に情報が手に入りますが、誤情報も多く見られ、食生活に関する情報も例外ではありません。

現在も間違った情報によって先進国である日本においても、栄養不良がみられる人が多いようです。

なかには健康を気遣うあまり、こどもにビーガンやマクロビオティックなどを行っていることもあるかもしれません。

しかし、成長期の子供はまず、栄養のバランスを考え3食食べるところから始めてください。

栄養の欠乏は、成長を阻害し最悪のケースとして病気のリスクを負わせます。

もちろん、好き嫌いがあって食べないというケースも多いかと思いますが、工夫しつつじっくり時間をかけても良いので色々な食材を食べれるようにすることが最良ではないでしょうか。

こどもの体つくりの栄養サポートもさせていただきますので、お子様の食事内容でお悩みの人はご相談ください。

栄養コンシェルジュ®のコンセプトはこちらをご参考ください。

 

 

 

 

投稿者プロフィール

カイロプラクティック心
カイロプラクティック心カイロプラクター
伊勢市小俣町でカイロプラクターをしています。

病院では異常が見当たらず、どこに行っても良くならなかった方が体調を回復できるようサポートします。

機能神経学をベースに中枢神経の可塑性を利用したアプローチで発達障害、自律神経症状、不定愁訴にも対応しています。

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