女性特有の不調

栄養

女性特有の体調不良 解決を目指す【食事編】

女性は月経にくわえて、出産、更年期など生涯をとおして女性ホルモンのバランスが大きく変動します。

また、最近では若い女性の「痩せたい願望」やダイエット志向により、栄養不良に陥っているケースも少なくありません。

栄養不良は、体調不調に直結するだけではなく出産、生まれてきたお子さんにまで悪影響を及ぼす可能性があります。

栄養不良はもちろんですが、女性ホルモンのバランスを安定させるためにも食事は重要です。

ここでは、女性特有の体調不良を食事の影響から考え、対策するための食事方法をお伝えしていきます。

女性特有の健康問題は?

女性特有の健康問題として以下のことが言われています。

女性は毎月の月経周期に加え、妊娠・出産期、更年期、老年期と生涯を通じホルモンバ ランスが大きく変動し、女性ホルモンの影響により月経不順や月経痛、PMS(月経前症候群)などの婦人科疾患のみならず、生活習慣病・がん・メンタルヘルス・ 骨粗しょう症などの発症の仕方や頻度にも男性と比較して性差が認められる。

引用元:「働く女性の健康推進」に関する実態調査 /経済産業省

痩せ願望については以下の問題があります。

やせの者(BMI<18.5 以下)の割合は男性で 4.4%、女性で 11.6%であり、この 10 年間 でみると女性では有意に増加している。20 歳代の女性のやせの者の割合は 20.7%である。 (20 歳代の女性は朝食欠食率は 23.1%、30 代の女性は 19.5%であるなど、エネルギー・ 栄養素不足になっている。)女性の痩せすぎ、貧血は心身の不調、妊娠出産への悪影響、 骨粗しょう症とも関連する。

引用元:「働く女性の健康推進」に関する実態調査 /経済産業省

女性ホルモンのアンバランス

月経、出産、更年期など各ステージでは、女性ホルモンのアンバランスを引き起こしやすいです。

出産、更年期ではホルモンを分泌する卵巣の機能が影響することが考えられます。

また、体脂肪が15~17%以下は月経不順を引き起こしやすいことが科学的に解っており、痩せすぎは女性にとって健康を害するリスクとなります。

体重制限のある女性アスリートは、体脂肪が減り過ぎないよう食事管理が行われています。(ホルモンのアンバランスは健康を害するだけではなくパフォーマンスを落とす一因でもあります)

エストロゲンとプロゲステロン

女性ホルモンはエストロゲンとプロゲステロンの2つがあり、月経周期によって変動します。

月経メカニズムの詳細はこちら

閉経によってエストロゲンが減少することによって、不調が誘発されると考えられています。

反対にエストロゲンが過剰になると乳がん、子宮がんのリスクを高め、月経痛が悪化しやすいです。

女性ホルモンの分泌調整は中枢神経系も関わるため、ホルモンのアンバランスは栄養問題だけではありません。

しかし、ホルモンの材料となる栄養素が不足すると女性ホルモンのアンバランスを招く一因となるため、食生活を見直すことは重要です。

痩せすぎることの問題

痩せすぎは、シンプルに栄養不良に陥るリスクが高いことです。

体格は個人差もあり、痩せすぎにみえても健康な人がいたり、肥満体型でも生活習慣病のかからない人がいたりしますが、体調不良が伴う場合は栄養欠乏および栄養の過剰摂取を考える必要はあるでしょう。

女性はとくに月経により出血が多くなるため、血液の成分となる栄養素を十分に食事から補う必要があります。

また、他の栄養素が不足することによって母乳から栄養を摂取する赤ちゃんまで栄養不良を引き起こすリスクも高まります。

ミルクでも十分という方もいるかもしれませんが、母乳育児はこどもの歯並び、虫歯予防、口腔機能の向上など科学的にもメリットもあり、個人的には母乳育児は有益と考えています。

3大栄養素不足

3大栄養素は「炭水化物」「タンパク質」「脂質」であり、主な役割は以下のとおりです。

  • 炭水化物⇒体のエネルギー
  • タンパク質⇒体のあらゆる組織の生成するための材料
  • 脂質⇒細胞膜やホルモンの材料

朝食を抜いて1食分の食事量が増えたり、お菓子やジュースなどを摂取し過ぎたりすると血糖値が安定せず、結果として交感神経が過剰に働き、色々な症状を引き起こします。

タンパク質、脂質の不足は、ホルモンバランスに大きく影響を及ぼすことが考えられます。

貧血

食事量の少なさから、鉄が十分に摂取されなければ貧血になることは一般的にも知られています。

しかし、貧血は鉄不足だけで引き起こされるワケではありません。

貧血は酸素を運ぶ血中のヘモグロビンが、少なくなった状態です。

ヘモグロビンの構成成分は、鉄とタンパク質でありタンパク質不足も貧血要因となります。(タンパク質は他の組織の成分にも重要です)

タンパク質不足以外にもビタミンB12、葉酸、亜鉛など赤血球(赤血球内にヘモグロビンがあります)の生成に関わる栄養不良も貧血の原因となります。

※ビタミンB12は胃炎、胃酸分泌が少ないことが体内への吸収を妨げ不足することがあります。

また、赤血球のエネルギー源になるのはブドウ糖のみであることから、極端な糖質制限は貧血の要因となります。

鉄不足以外では貧血と診断されることはほとんどありませんが、色々な要因によって貧血は引き起こされ貧血に似た症状がみられれば栄養状況を見直すことは重要です。

女性特有の不調を栄養サポート

女性特有の不調をホルモンのアンバランスという言葉で片付けてしまうことは簡単ですが、生活習慣を深く掘り下げるとここまで書いてきたような栄養の問題が浮かび上がることも少なくありません。

とくに病院では原因のわからない不定愁訴、メンタルヘルスの問題と考えられる症状などは栄養の過不足が見逃されていることもあります。

糖質は適切に

過度な糖質制限は、急激に痩せることはできるかもしれませんが健康を害するリスクが大きいです。

極端な糖質制限と高脂質食が特徴のケトジェニックダイエットでは、1年間継続した患者120名のうち20名が甲状腺機能低下症と診断された報告があります(参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28076316/

ケトジェニックダイエットはてんかん患者に有効とされる食事療法であり、ダイエット行うにしても数ヶ月で必要な糖質を摂取する食事に戻します。

糖質は体のエネルギー源となり、糖質不足がみられると筋肉を分解して糖質を生成(糖新生)するため、筋肉量が減り結果として代謝も落ち痩せにくい体になります。

また、貧血、低血糖などを引き起こすと色々な症状(頭痛、疲労感、めまいなど)に悩まされます。

糖質(炭水化物)は、全体の食事の60%程度の摂取が望ましく、1日3食(茶碗1杯分)が最低でも必要となります。

代りにお菓子、スイーツなどを控えることが大切です。

適切な糖質摂取についてはこちら

ミネラルを積極的に摂取

月経による出血がある女性は、血液の材料となるミネラル成分(鉄、ビタミンB6、12、葉酸、亜鉛)を十分に摂取する必要があります。

葉酸は野菜(ブロッコリー、ほうれん草など)など以外には魚貝類(海苔、わかめなどの海藻も含む)に多く含まれます。

ビタミンB6、12、鉄、亜鉛などは魚介類、牛や豚などのレバーに多く含まれます。

菜食主義の方は、とくにこれらの栄養素が不足するため、サプリメントで補っていく必要があります。

1日3食がベース

1日3食(主食:炭水化物1品、主菜:タンパク質1品、副菜:野菜類を出来るだけ多く)にすることが大事です。

朝食を抜くことで飢餓状態と体が判断し、脂肪を貯めこむ生理機能にシフトするため、結果として痩せにくい体となります。

また、1日1~2食にすることで1食の食事量が多くなると血糖も乱れやすく体調不良につながりやすいです。

脂質は肉類と一緒に摂取するため特別に意識する必要はありませんが、調理油、調味料(ドレッシング、バター、マヨネーズなど)の使い過ぎ、乳製品、嗜好品(お菓子、スイーツなど)の食べ過ぎは脂質過多となります。

すでに低血糖の症状がみられる場合は、補食(3食の間に炭水化物を少量摂取)および血糖値の乱高下を防ぐためのMCTオイルもしくは水溶性食物繊維を食事前後に摂取していきます。

また、血糖値の乱高下を防ぐ工夫の1つとして、野菜を先に食べてから炭水化物を摂取していく方法もあります。

生活習慣が大事

ここまで書いてきたように食事は大事です。

また、健康を維持向上させるために睡眠や運動も重要となります。

症状が軽度で「少し不調の日があるかな?」という人は、まずは食生活をはじめとした生活習慣を整えていきましょう。

毎日が不調という方は、自分自身の生活自体を変えていくことが大変なため、まずは専門医で診てもらい少しでも症状を和らげていくことを目指してください。

専門医でも変わらないといった方は、一度カイロプラクテイック心にご相談ください。

専門医でも解らない不調は、栄養以外にも呼吸機能の低下、迷走神経の不活性、中枢神経系の機能低下なども絡んでいることも多く、食事サポートも合わせて機能を回復させていくことが大切です。

 

投稿者プロフィール

カイロプラクティック心
カイロプラクティック心カイロプラクター
伊勢市小俣町でカイロプラクターをしています。

病院では異常が見当たらず、どこに行っても良くならなかった方が体調を回復できるようサポートします。

機能神経学をベースに中枢神経の可塑性を利用したアプローチで発達障害、自律神経症状、不定愁訴にも対応しています。

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