発達障害について
発達障害は、DSM-5(米国精神医学会の「精神疾患の診断・統計マニュアル第5版」)から、「神経発達症」という名称に変更されました。
そのときに、以前はあった診断名(アスペルガー症候群、レット症候群など)が、統合されたり除外されたりしています。
ここでは、発達障害で統一して解説しています。
発達障害の特徴は多様で、診断が難しいことが現状です。
その理由の1つとして客観的に発達障害を診断する方法がなく、質問票に沿って当てはまる項目をチェックする医師の主観的な診断方法しかないからです。
脳の画像診断をしてもらう子供もいますが、発達障害と他の脳疾患との鑑別診断の検査であり、客観的に脳の機能異常を判断しているワケではありません。
そのため、診てもらった医師によって診断名が違うこともあります。
今でこそ発達障害は一般的に認知され始めましたが、幼少期には気づかれず大人になって初めて発達障害と診断されることもあり、「少し変わった子」と思われるだけで見た目ではわかりずらいのも発達障害の特徴ではないでしょうか。
ただ、発達障害とわからずに成長するケースもあることから、必ずしも発達障害の特徴により社会生活に適応できないということはありません。
発達障害の主な種類
発達障害にみられる振る舞い(行為)は、発達の「遅れ」「偏り」「歪み」の大きな3つの因子にくわえ個人要因、養育環境が影響し合い、発達障害といわれる機能障害が現れた特徴によって各発達障害に分類されます。
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- 発達の遅れ⇒知的障害に代表され、同年齢の子どもができる知的活動が出来ない
- 発達の偏り⇒行動や認知において量や質において同年齢の子どもの程度を越えている
- 発達の歪み⇒定型発達児に比べ出来ること出来ない事の差が大きい(凹凸)
自閉症スぺクトラム障害
スペクトラムの意味は「現象、症状などあいまいな境界をもちながら連続していること」
現象で例えると、虹のように色が変わっているのは解りますが色と色の間の境界線があいまいという感じです。
広汎性発達障害のグループに属していた自閉症、アスペルガー症候群、小児崩壊症、特定不能の広汎性発達障害、レット症候群が、DSM-5に改訂されたときに自閉症スペクトラム障害(ASD)グループに自閉症、アスペルガー症候群、小児崩壊症、特定不能の広汎性発達障害が統合されました。
※レット症候群は、X染色体異常ということでDSM-5からは自閉症スペクトラム障害から除外され、社会的コミュニケーション障害が自閉症スペクトラム障害に統合されました。
DSMは、米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルでDSM-5は、2013年に公開された第5版です。発達障害はDSM-5の診断基準を基に診断されています。
診断名は違うものの、それぞれの特徴があっても同じような性質を持っていることもあり連続した(スペクトラム:境界線があいまい)同じ障害という概念により統合されました。
以前は広汎性発達障害、アスペルガー症候群と診断されていた場合も、DSM-5では自閉症スペクトラム障害に統一されたため、これらの診断名が使われなくなることが考えられます。
自閉症スペクトラム障害については、こちらもご参考ください。
関連カテゴリー:自閉症スペクトラム障害カテゴリー一覧
関連カテゴリー一覧:アスペルガー症候群カテゴリー一覧/カイロプラクティック心
注意欠陥多動性障害(ADHD)
注意欠陥、他動、衝動性の3つが絡み合うため、多様な振る舞いがみられます。
親や先生などから怒られ続けることで自己肯定感の低下が強くみられのも特徴的なADHDは、反対挑戦性障害、行為障害などの併存障害がみられることが多いです。
アメリカのデーターでは、ADHDの40~67%に反対挑戦性障害、20~56%に行為障害がみられるという結果もあるようです。他にもチック障害、気分障害なども併存すると言われています。
ADHDについて詳しくはこちらもご参考ください。
関連カテゴリー:ADHDカテゴリー一覧/カイロプラクティック心
学習障害
知的発達に遅れがないものの「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のいずれか、もしくは複数の習得、使用が困難を示す発達障害です。
ただ、学習障害が困難な状態を広く扱っているため、発達障害を基盤としたものと弱視、難聴など機能障害も学習障害に取り扱われます。
また、興味のないものはまったくしない(自閉症の特徴)話を聞かない(ADHDの特徴)などにより、学習に支障がでることで学習障害と診断されるケースもあります。
そのため、学習障害だけが単独で起こることは、ほとんどないです。
また、知的な遅れがみられないため、ただの苦手分野(書くことが苦手、数字が苦手など)と判断され気づかれずに大人になることも多いと言われています。
関連カテゴリー:学習障害一覧
発達障害は何科で診てもらうの?
「小児科」「小児精神科」「小児発達神経科」などになりますが、発達障害の専門医自体が少なく、地域によっては半年以上の診断待ちの状態です。
どこの病院に行けば良いかわからない場合、初めは地域の相談機関(保健所、発達障害支援センター)で相談するとそれぞれの発達障害の専門医も紹介してくれます。
病院での治療法は?
発達障害の原因が特定されておらず先天的な脳の機能障害とされているため、手術や薬物療法といった西洋医学的な治療法は確立していません。
ただ、発達障害で併発する不安やパニックを抑える薬などを処方されることがあります。
発達障害の治療は、療育が行われます。
薬物療法の問題点
薬も上手く利用できれば、改善を見込めます。
ただ、薬は副作用もあり、脳機能を抑制させて症状を抑えるため、使い方を間違った時のリスクも伴います。
主にADHDの感情コントロールに薬物療法は行われますが、ネガティブな研究報告もあります。
また、幼少期の癇癪、パニックでは効果は不明です。
感情のコントロールも脳のアンバランスであるケースもあり、薬に頼らず脳機能の観点から見直すことも大事ではないでしょうか。
療育とは?
療育は、治療しながら教育をすることで将来を見据えた考え方をします。
劇的に変わることを求めず、少しずつ出来ることを増やし成長に関わっていくアプローチ法です。
療育によって、徐々に社会に適応できるケースもありますが、変化がみられずに将来的に不安を感じる親御さんも少なからずいます。
療育では視覚優位、聴覚優位の違いで指導方法を変えますが、視覚優位であっても視覚が特別発達しているわけではないため、理解が進まないこどももいます。
視覚優位の問題についてはこちらをご参考ください。
発達障害の西洋学的治療(病院)の限界と現状
日本の問題としては、発達障害をみれる専門医が少なく、受診できたとしても「治らない」と宣告されるケースも少なくありません。
また、地域によって対応できる施設も限られ当事者である家族は診断が受けれたとしても、その後はどうしたら良いかがわからないという状況です。
このような背景から発達障害は未解明な部分も多いため、医師以外の専門職「臨床心理士」「作業療法士」「言語聴覚士」海外の専門職「ブレインジム」「リズミックムーブメント」「小児カイロプラクター」が試行錯誤しながら発達障害の問題解決にあたっています。
○○すれば必ず発達障害が治るという療法は、現在ありません。
しかし、それぞれの専門家が発達障害へのアプローチを行っていることで、発達障害と診断されたこどもが社会に適応し、診断が外れることもあるのは事実です。
カイロプラクティック心も今まで学んできたことを発達でお悩みの方に対して少しでも役立ててもらいたいと考えています。
カイロプラクテイック心のこどもの発達障害アプローチ