五十肩を一瞬で治す方法はあるのでしょうか?
結論から言えば、五十肩を一瞬で治す方法はありません。
五十肩は医学的に原因が確立されておらず、ケースによっては1~2年の治癒期間がかかります。
しかし、対処法によっては早期に改善が見込まれます。
ここでは、病院治療も含めた対処法をご紹介します。
カイロプラクテイック心の五十肩/四十肩の対応はこちら
五十肩と思ったらまず病院へ
五十肩の急性期(発症直後~数週間)は、安静にしていても痛みがあり、夜間痛がみられることも多いです。
この期間は病院での治療が、早期に痛みを改善できる可能性があります。
また、五十肩のなかには棘上筋腱の断裂であったり、腫瘍などの関連痛であったり、病院での診断が必須であるケースもあります。
そのため、ネットで治療方法を探す人も多いですが、まず病院を受診しましょう。
そして、急性期では注射や痛み止めの服薬で症状を抑えることも可能です。
なかにはマッサージに通い慣れている人は、病院に行かない傾向もありますが、炎症がある状態で肩周辺のマッサージは痛みが悪化する可能性もあるため注意しましょう。
注射(ヒアルロン酸、ステロイド剤とキシロカインの混合液)
ステロイド剤とキシロカイン(局所麻酔薬)の混合液やヒアルロン酸を注射することで痛みが緩和します。(保険が適用されます)
ヒアルロン酸注射
肩関節の可動域の改善、痛みの軽減が軽減する研究報告はありますが、ヒアルロン酸の量、五十肩の重症度によって改善の程度が異なります(参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29202560)
また、理学療法や従来の治療法と効果は変わらないなど否定的な論文も複数あります。
ステロイド注射
ステロイド注射は、短期的な痛みの軽減はみられますが、長期的にみるとこの効果が持続しないとされています(参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29202560)
ステロイドは、副作用(高血圧、胃腸障害、免疫力の低下など)のリスクも高いため、頻繁に注射を打つことができません。
注射によって劇的に痛みが軽減するケースもありますが、まったく変わらないこともあります。(カイロプラクティック心に来られる方は注射を打っても変化がない、もしくは何度も再発している人が多いです)
鎮痛剤(NSAIDs:ロキソニン・ボルタレンなど)
炎症が痛みを発生させているため、抗炎症薬により痛みが緩和します。
初期の段階では、炎症をコントロールすることも大切で有効です。
しかし、1ヶ月以上たっても鎮痛剤に頼ると副作用もあり、おすすめはできません。
非ステロイド性消炎鎮痛剤は、ロキソニン、ボルダレンなど市販薬としても販売されています。
湿布
湿布が処方されるのは日本だけです。
そのため、根拠は乏しいうえ副作用もあり、毎日湿布を貼れば五十肩が治るというものではありません。
湿布について詳しくはこちらの記事もご参考ください
電気治療、温熱療法などの物理療法
血液循環を良くして身体の修復を早めたり、疼痛緩和の目的で行われます。
手術
酷い症状の場合は手術が行われますが、術後のリハビリをしっかりと行わないと症状が悪化することがあります。
手術には関節鏡視下授動術、麻酔下徒手的授動術などがあり、関節包を切り離し広げていきます。
ただ、合併症のリスクとして骨折、脱臼、感染症がみられることがあります。
基本的には手術以外の保存療法を中心に行っていきます。
急性期を過ぎた回復期はリハビリ(エクササイズ/ストレッチ)が大事
五十肩・四十肩は注射で良くなるケースもありますが、急性期を過ぎた回復期ではリハビリを行うことが痛みの改善および再発予防に重要です。
現にカイロプラクティック心には、何度も注射を打ち再発している人が多くこられることから、注射だけでは肩に対するリスクマネジメントはできないことが理解できます。
カイロプラクティック心も施術だけではなく、エクササイズやストレッチなど自宅でもできる方法を平行して行ってもらいます。
一般的なリハビリ方法および期間
◇疼痛痙縮期(10~36週)
- 電気治療
- 痛みを誘発しない生活に必要な動作の指導
- 痛みのない範囲でストレッチ、エクササイズ、マッサージなど
◇拘縮期(4~12ヶ月)
- 電気治療・温熱治療
- 回旋腱板のエクササイズ
- ストレッチ(他動的に行う)
◇寛解期(5~26ヶ月)
- ストレッチ(他動・自動ともに可動範囲を拡大するように)
- 回旋腱板の筋力トレーニング
- 肩甲骨エクササイズ
重症度やダメージを受けている組織の違い(関節包、筋肉)によって、リハビリ期間が異なります。
ここで簡単に書いた理由として、肩を動かすエクササイズ方法、安静期間などは肩の状態、重症度、損傷部位によって異なるため、専門家に相談することが望ましいからです。
例えば、五十肩はインナーマッスルの低下が原因としてインナーマッスルの外旋筋群のエクササイズが紹介されることもありますが、上腕骨頭が前方へ移動するタイプでは逆効果となります。
リハビリが効果ないケース
病院に電気治療を中心に通う人もいますが、腱を痛めているケースにおいては効果がないと研究で結論付けられています。
参考文献:①https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25824429/ ②https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26619821/
少なからず、運動療法を取り入れることが大切になりますが、 身体の評価(検査、問診)もせず、マッサージや物理療法(電気、温熱などの治療器具を使う治療)を行っても効果がみられることは少ないです。
一般的なリハビリ方法は簡単に書きましたが、どこの筋肉をエクササイズするのか、ストレッチするのかを評価しないと効果的なリハビリは行えません。
少なくともリハビリ前後で身体の評価を行わない場合は、病院自体を変えたほうが良いでしょう。
「通う時間があるけど、保険適用で安く五十肩/四十肩治療をしたい」という人は、リハビリ施設(できれば身体評価のできる有能な理学療法士がいる病院)のある病院を探してください。
整骨院では、五十肩・四十肩の保険診療は基本的にはできません。
保険の提示を求められる場合は、不正な保険請求を行っている可能性もあるため注意してください。
五十肩 体操
セルフケアに、五十肩体操の方法を書いた紙を渡されることがあります。
少なくとも五十肩体操は、激痛に耐えて行う必要がなく、原則として痛みのない範囲で動かしましょう。
また、やり方を間違えると効果が半減するため、しっかりと体操を理解して行えるよう専門家に指導してもらうことが重要です。
参考動画→NHK五十肩(凍結肩)を治す体操・ストレッチ 症状をやわらげるセルフケア
痛みのない範囲で動かすことが大事
個人的な体験ですが、こどもに肩に乗られて肩よりも上に腕を挙げることが出来なくなりました。
また、こどもが飛び出ないように静止させるために腕を伸ばすと肩に電気が走るような痛みもありました。
そこでセルフケアとして、バドミントンの素振りを痛みのない範囲(初めはかなり小さい動き)で行っていくと徐々に大きな範囲で出来るようになり、日常生活に差し支えない状態に戻りました。
臨床的には、その人の原因を評価してセルフケアを指導しますが、しっかりとセルフケアのエクササイズを出来る人は早く痛みも無くなり、肩の可動範囲も戻りやすいです。
まれに「動かして良いですか?」と言われますが、圧倒的にエクササイズを実行している人の早く症状に変化がみられます。
五十肩・四十肩でやってはいけないこと
初期の頃は、炎症を伴っていることが多く、無理に動かすことは止めましょう。
また、お酒を飲むことで、むくみや炎症を増悪させ痛みを強めるため、注意が必要です。
しかし、肩の動きを制限した生活を続けると、その周辺の筋肉や靱帯に伸張性が低下するため、痛みが軽減しても肩の可動域が低下し生活の質を落とします。
そのため、肩を痛みのない範囲で動かすことも重要となり、安静時の痛みが減った段階からは徐々に肩を動かしていくことが大事になります。
「五十肩を一瞬で治す方法はある?」のまとめ
誰もが一瞬で五十肩を直す方法は、残念ながら存在しません。
しかし、段階的に(急性期→回復期)適切な治療やリハビリを行うことで、早期に症状を改善させることは可能です。
五十肩でやってはいけないことは、長期的な安静です。
とくに専門家にも相談せずに放置した場合は、より回復が遅れる可能性もあるため注意しましょう。
カイロプラクテイック心では、五十肩の施術およびエクササイズ指導を行っています。
頻繁に通えない方でも原因に合ったエクササイズや対処法をアドバイスいたしますので、ぜひご相談ください。