産後うつ

産後うつは、医学的な定義はありませんが、出産後1年以内に発症するうつをのことを言います。

最近では、 女性自身におよぼす影響だけではなく夫のうつ病発症や母子関係への影響(愛着の遅れ、拒絶、虐待、こどもに知的障害など)が報告されています。

カイロプラクティック心は、発達障害のサポートをしていることから、母親の精神状態が健全であることが子育てには大切であると考えています。

また、うつのような精神障害も紐解くと脳機能の問題もあり、脳機能の改善に対応できるカイロプラクティック心が役立てる可能性があります。

ここでは、産後うつについて詳しく解説させていただきます。

産後うつとは

日本の産後うつの発症率は10~20%程度とされ、ほとんどが出産後1~2ヶ月で発症しています。

このような背景には、出産後にうつを自覚しにくかったり、自分の怠けおよび努力不足と考えてしまったりすることです。

また、周囲に打ち明けにくく、専門機関を受診することが遅れがちになります。

原因

色々な要因が、複雑に絡んでいると考えられています。

出産後のホルモンバランス

産後は甲状腺機能低下が認められることがあります。

そのため、抗うつ剤で症状が回復せず、甲状腺ホルモンのホルモン療法が効果的であった症例が報告されています。

高知大学の研究では、婦人科系疾患を有する女性が産後うつを誘発しやすいというデーターを報告しています。

社会的要因

出産を契機に今までと違う生活環境、役割の変化が影響します。

  • 出産を境に家族の役割に変化(妻から母親:娘から母親)に直面
  • 離職による経済的な損失による不安
  • 活動の制限(こどもの時間に割かれ、自分の時間がもてなくなる)
  • 支援の欠如(家族の協力が得られない環境、行政の支援など)
精神的要因

産後にうつを発症しますが、精神疾患の既往歴、両親からの自立および幼少期からの人間関係などその人がもつ人格やメンタル面が強く影響していることがあります。

栄養不良

育児の忙しさから、自身の食生活が不規則および栄養バランスの崩れが生じやすいです。

タンパク質、鉄、ビタミンB群などの不足は、神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン)を十分に生成できないため、精神症状を引き起こす可能性があります。

また、腸内環境とも関連していることが研究で示唆されています。

なかには不定愁訴と呼ばれる病院では原因のわからない症状がみられると、精神科を紹介されることも少なくありません。

不定愁訴と栄養について詳しくはこちら

睡眠不足

授乳によって、どうしても睡眠が不足がちになります。

睡眠不足は、精神面に大きな影響を及ぼします。

また、栄養不良によっても睡眠に悪影響がみられるケースもあります。

診断・検査

診断は病院しかできないため、心療内科・精神科を受診する必要があります。

診断方法は、以下の質問票が使われることが多いです。

  • エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)
  • DSM-5:精神障害の診断と統計マニュアルにあるうつ診断基準

エジンバラ産後うつ病自己評価票 (Edinburgh Postnatal Depression Scale: EPDS) は、国際的にも広く普及しており、産後う. つ病のスクリーニングを目的として1987 年に Cox らが開発した自己記入式質問紙です。

治療

カウンセリング、投薬治療が基本となります。また、発病予防の取り組み方などが研究されています。

初期段階であれば、服用もなく回復することも多いため、初期の段階で相談することが望ましいです。

参考文献

妊娠期 お よ び産後 に お ける 産後 うつ 病発症予 防 の た め の 看護介入に 関する 実態調査

産 後 うつ 病 の 現 状 と治療 一 生 物学 的要 因 と社 会心 理 学 的要 因 の 関連 か ら

うつとうつ病は違う

ネットや情報誌などに掲載されているような「うつチェック表」などは、誰でも当てはまりそうなものあるようです。

それで「私うつかも!!」と思ってしまう方もいるようです。

また、うつとうつ病は違い、産後うつが酷くなるとうつ病に進展する可能性があります。

うつとうつ病の違い

うつは「意欲がわかない、興味、関心がわかない、やる気が出ないなど」の状態を一般的に言います。

うつ病は症状の度合いが強く、しかも明確な原因がなく「憂うつ」になってしまい、さらに肉体的な不調を伴うことが特徴です。

アメリカでの羅漢率は男性が約3% 女性が9%

一生のうち一度以上うつ病を患う確率は男性12%女性26%統合失調症に次いで精神病院への入院率が高いです。

うつ病の症状
  • 食欲不振
  • 睡眠障害
  • 性欲減退
  • 悲壮感、悲しい気持ち、罪悪感
  • 集中力散漫
  • 死や自殺について繰り返し考える
うつ病の分類
  • 乳児期型うつ(睡眠過多から周囲への無関心、食物への無興味)
  • 小児期型うつ(慣れた環境や親などから離れる不安、関連した無気力や非活動性)
  • 思春期型うつ(診断が困難で思春期の行動と区別がつきにくい)
  • 老年期型うつ(無感動、集中や思考が困難、記憶障害、見当識障害など)

脳機能から考えるうつ

まず、心(感情)とはなんでしょうか?

「主観的な体験を感情といい、行動を伴っているものを情動(目と精神から抜粋)」

心身一如(肉体と精神は一体のもので、分けることができず一つのものの両面であるということ)という言葉があるように心と身体は繋がっており、人は感情に行動が伴う「情動=心」といえます。

情動の生物学的理論として、情動はシナプス接合部の化学的反応に過ぎないとされているそうです。

このような理論から精神疾患であっても視点を変えれば、脳の機能異常と考えられます。

精神障害と痛みの関係

慢性的疼痛症候群と気分障害は、よく似た脳領域が活動します。

ネガティブな行動/態度や感情⇒右脳の過剰活動⇒左脳の活動低下(脳派測定による)

この傾向が慢性疼痛症候群にもみられるそうです。

うつ症の場合は、左脳(前頭葉・頭頂部等)優位に相対的血流低下が示された研究報告があります(参考文献:脳血流 99mTc-ECD SPECT を用いたうつ病像の客観的評価

耳の機能とうつ

うつ症を伴った「慢性耳鳴り患者」もよく似たパターンがみられ、細かい説明は省略しますが、このことから耳の関連部と情動が関与することが解ります。

耳は聴覚だけではなく、平衡感覚の器官(三半規管)をコントロールする前庭神経もあります。

前庭神経(前庭ー小脳)は、頸部の筋の固有受容器と相互作用するため、以前うつ病に頸椎の矯正が効果的という情報が流れたのはこのような神経系の作用が考えられます。

また、別の研究では、うつ病、不安神経症などが前庭系リハビリの効果に悪影響を及ぼすという報告があります。

この研究も情動と耳の関連部位との相互作用を示すものであり、この研究を反対に考えれば、前庭系に関わる部分(筋紡錘、関節固有受容器など)に刺激を入れることで気分障害を良い方向にむけれるのでは?という仮説になります。

大脳とうつの関係性

左前頭葉に損傷がある患者は、右前頭葉損傷の患者に比べ憂うつ気分になる確率が高いと複数の研究報告があります。(参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2536546/

さらに傷害部が前方にあるほど患者がうつ病になりやすいと判明したそうです。(前方ほど情動に深く関わる領域であるため)

ポジティブな感情は、左脳の発現によるもので左脳に損傷を受けると行動、感じ方に影響がでるため、物事に取り組むことが困難になります。

そして、楽しみを失い人や物に興味を失い運動(情動)が困難になります。

ただし、左大脳の損傷がうつ病に原因ではなく、それなりの環境ストレス(子育ての支援がない、役割の変化など)にさらされないとうつ病は発症しないそうです。

脳機能を改善させるだけではなく、社会的な要因も絡んでくるため、その人に合った子育て支援が必要であると考えられます。

カイロプラクティック心が産後うつにできること

産後うつに限らず、抗うつ剤を処方されたクライアントは、比較的多いです。

そして、そのなかには抗うつ剤を飲まなくても体調が良い状態を保てるようになる人も少なくありません。

その理由の1つとして考えられるのは、うつは客観的な評価法がなく、質問票によって医師の主観によって診断されます。そのため、抗うつ剤ではなく他の問題が影響していることもあります。

これは先にも説明した甲状腺ホルモン療法が効果的であったことで示されています。

甲状腺ホルモンに限らず、出産後は身体機能が低下しており(生理不順、筋肉の機能低下、中枢神経系【脳】の機能低下)それが結果として憂鬱な状態を増長させている可能性があります。

このような身体の機能面を回復することで、精神面も向上し抗うつ剤が不要になることが考えられます。

カイロプラクティック心から断薬を勧めるわけではなく、うつを診てもらっている主治医と相談の上、抗うつ剤が不要となっています。医師に診てもらっている以上は、間違っても自己判断で服薬を止めないようにしましょう。

カイロプラクティック心は機能神経学(脳科学)で、身体機能を回復させることを目的に施術を行います。

脳機能と身体機能を合わせて評価

身体の調子が優れないと、気分も向上してこないのと同じで、身体面の過緊張や機能が低下していると疲労しやすく、体力に自信があるような人でも育児に疲れ切ってしまうこともあります。

※私のクライアントで日本一を経験したトップアスリートでも育児で疲れを感じると言われていました。

このように出産は、想像以上に身体に負担がかかっており、現在高齢出産も珍し無くなったのは周産期医療の進歩のお陰でもあります。

しかし、身体が進化しているわけではないです。

産後のクライアントの話を伺うと1人目、2人目は楽でも30前後になると想像以上に身体に応えるそうです。

このようなことから、動ける身体を目的に施術することも意義あることです。

脳機能は?

脳は可塑性があり、不活性な部分であっても適切な刺激を与えることで活性化し健全な状態に戻ります。

例えば、久しぶりの作業は「どうだったかな?」と考えながら行うため時間がかかりますが、その作業に必要な脳の部分は常に刺激され活性化されていくとスムーズに作業が進むようになります。

大脳は色々な役割があるため、運動や眼球運動、音楽を聴くなどが活性化させる一つの刺激にもなります。

また、カイロプラクティックのアジャストメントも関節や筋肉の固有受容器(身体のセンサーのようなもので、身体の状態を脳に伝える役割があります)に刺激が加わるため、大脳への刺激にもなり脳の機能回復の1つとなります。

カイロプラクティック心は子育て世代を応援します

カイロプラクティック心は、動ける身体作りはお手伝いできます。

産後の骨盤がどうのこうのとかは、とくに関係ありません。

産後は、ホルモンバランスの崩れ、産後の安静による筋肉、関節、神経の機能低下など自覚出来ていないほど、身体のダメージが大きいです。

身体には自然治癒能力が備わっているため、時間が解決してくれることもありますがカイロプラクティックで加速度的に自然治癒能力を働かせることができます。

身体が辛い時は、ぜひ頼ってください!

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