腰痛・脚の痛みしびれ

腰痛の対策にストレッチ

ストレッチは、手軽に行え一般的に知られています。

しかし、ストレッチを何のために行うのかまでは解らず、「腰痛いからストレッチしてみよう」「身体が柔らかいほうがケガしなさそうだからストレッチしよう」など何となく行っている人のほうが多いのではないでしょうか。

ストレッチについて知らずに何となく行ってしまうことで効果を感じられないことも少なくありません。

ここでは科学的根拠(文献)をベースにストレッチについて解説したうえで、腰痛対策のストレッチ方法をご紹介します。

ストレッチでは何を伸ばす?

ストレッチでは、筋肉を伸ばしているだけではなく筋肉内に存在する筋紡錘(固有受容器)も伸ばされています。そのため、筋肉と筋紡錘の性質を理解することでストレッチの効果をあげることができます。

筋肉の性質

筋肉は粘弾性(元に戻ろうとする弾性とゆっくり変形する粘性を併せ持つ特性)の組織です。

粘弾性の性質は以下のとおりです。

一般に粘性は液体の、弾性は固体の性質と考えられる。どちらもそれぞれにおける変形のしやすさ(しにくさ)を表すものであるが、その様相には大きな差がある。固体は加えられた力に応じて変形するが、加えた力がなくなれば元の形に戻る。液体の場合にはやはり変形するが、力がなくなっても元には戻らない。

出典:Wikipedia

この性質から筋肉をゆっくりと伸ばしていくことで筋肉の形状が変形し柔軟(身体の可動域が広がる)になります。

筋紡錘の性質

筋紡錘は、筋肉の長さを脳に伝えるセンサーの役割を果たす固有受容器です。この筋紡錘によって伸筋肉が過剰に伸ばされると伸張反射がおこり、筋肉の収縮が促されます。この伸張反射によって、様々な体位、地形で姿勢を保持できたり、伸ばされすぎることによる筋肉の損傷を防いだりすることができます。

これをストレッチに当てはめると急激に伸ばす(反動をつけて伸ばす)と筋肉は収縮しようとするため、伸張されずに縮んでしまうことになります。

筋肉と筋紡錘の性質からストレッチはゆっくりと伸ばすことが大切です。

ストレッチの効果的な回数と時間

ゆっくりと筋肉を伸ばすことがストレッチでは大切になりますが、何秒くらい伸ばすと有効でしょうか。

複数の研究では、15~60秒×3~6セットで優位的に可動範囲が広がったと報告されています。この秒数に違いは筋肉の部位によって違いがみられます。

少し視点を変えて運動パフォーマンスの低下を防ぐことを考えて行う場合、文献をベースにストレッチの有効性を述べられている庵野氏のブログには以下のようにまとめられています。

紹介した3つのレビューからパフォーマンスを低下させないストレッチングの注意点についてまとめてみましょう。

・ストレッチングの時間は30秒以下で行う。決して60秒以上では行わない。

(以下は省略)

出典:リハビリmemo

※レビューは複数の論文をまとめた文献であり科学的根拠の高いものです

ストレッチは30秒を目安(時間がないときは最低15秒)に3セット行うことで柔軟性を獲得したうえでスポーツおよび身体活動(仕事、家事など)も行いやすいと考えられます。

ただ、注意したいのはスポーツ前のウォーミングアップは身体を温めることが大切なため、ストレッチだけでは不十分です。ここではウォーミングアップの方法は割愛致しますが、ランニング、ダイナミックストレッチなど心拍を上げる運動も取り入れてください。

ストレッチは温めた後が効果的

ストレッチはいつでも手軽にできますが、とくに温まった後のほうが効果的に柔軟性が獲得できます。

352名の健常者を対象にした12のランダム化比較試験(RCT)を分析しました報告では、筋肉を温める温熱療法の後にストレッチを行った場合とストレッチのみを行った場合の即時的な効果、効果の持続性について比較検討を行い、ストレッチだけを行うよりも温めた後にストレッチを行ったほうが効果が増大し、持続性も高いことがわかりました。

出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22814453

身体が温まったあとでは筋肉を含めた身体の組織の粘弾性が低下するため、筋肉および靭帯組織も伸ばされやすい状態であることが考えられます。

ストレッチの持続性

ストレッチは、複数の研究で柔軟性の向上が認められていますが、30~120分程度(筋肉の部位で異なります)で元の状態に戻るとされています。(粘弾性の性質である筋肉は元に戻る性質もあります)

ただ、習慣的にストレッチを行うことで(30秒2回、1日2セットを週3日間行い、4週間継続した後の効果の持続性の研究報告)ストレッチを止めたとしても1ヶ月持続する可能性が示唆されています。

参考文献

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22027850

このように継続していくことで、ある程度長期的に柔軟性が維持できることが考えられます。

ストレッチは、30秒×3セットを週3回、お風呂上り(体温が高い状態)で行うことが柔軟性獲得には大切です。

継続しなければストレッチに効果はみられない

ここまでは、柔軟性を獲得するためのストレッチ方法を解説してきましたが、2135名を対象とし文献レビューでは7か月未満のストレッチ継続では、可動域の向上は認められないと報告されています。

参考文献

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6464268/

継続しないと可動域の向上がみられない要因としては筋肉の粘弾性が関与し、以下のような報告があります。

Mizunoらは下腿三頭筋のストレッチングの即時効果について調査しました。5分間の静的ストレッチが30分間の柔軟性増加が認められましたが、筋の粘弾性の指標となる受動トルクはストレッチ後10分で元に戻ることが示唆されました。

出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23143704

このように組織を見ていくと、筋肉は粘弾性の性質から元に戻っています。

しかし、習慣的なストレッチによって1ヶ月程度は柔軟性が維持できるという研究報告もあるのはなぜでしょうか。

その理由としては、機械的特性の変化(繰り返しストレッチされることで元の状態に復元されていない状態)、ストレストレランス(不快と感じる許容範囲が広がる:痛みに慣れて伸ばせる状態になると考えられます)が還啓しているのではと推測されています。

ただ、柔軟性が高まったからといって痛みが治まったり、腰痛予防になるとは言えません。複数の研究でストレッチがケガ予防になるという有効性は証明されていません。

柔軟性を維持するのであれば、ストレッチを継続する必要があります。しかし、柔軟性が向上したとしてもケガ予防(腰痛改善、腰痛予防)になるとは言えません

腰痛改善・予防のストレッチは、柔軟性の向上ではない?

腰痛改善のストレッチ、予防には柔軟性の向上ではなく交感神経の過剰な活動の抑制とストレッチトレランスが関わっているとカイロプラクティック心は考えます。

交感神経の活動を抑える

ストレッチには、交感神経を抑制して副交感神経を活性させる効果があります。

参考文献

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21386722

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15045595/

交感神経は、血管を収縮させ筋緊張を促し、身体が活動しやすい状態を促す自律神経です。ただ、この状態が継続すると結果として血行不良が生じ発痛物質を産生します。(慢性的な痛みの要因は、過剰な交感神経の活動がみられます)

このようなことから、痛みを和らげる1つの方法として副交感神経を優位に働かせ、自律神経のバランスを調整していくことが必要になります。

また、胸腰筋膜(下図の青丸部分)に交感神経が高密度で分布されているため、交感神経の過剰な働きは腰痛の原因と考えられます。

出典:プロメテウス解剖学

交感神経を抑制する目的でストレッチを行うのであれば、腰痛には○○というようなストレッチを行う必要ありません。

ストレッチトレランス

ストレッチの柔軟性向上の効果にはストレッチトレランス関わっていることが研究で考察されています。詳しいメカニズムは解明されていないようですが、ストレッチを科学的に説明している庵野氏は以下のように述べています。

ストレッチトレランスは、不快感の許容度を意味しますが、生理学的に言えば「慣れ(habituation)」ということになります。感覚における慣れについては、嗅覚がイメージしやすいです。少し臭いところにいても、しばらくすると慣れちゃうことは誰しも経験がありますよね。このように感覚は慣れるものですが、痛覚においては慣れないものとされてきました。しかし、近年の疼痛研究において、痛みも慣れるという疼痛適応(pain adaptaiton)が注目されています。

引用元:リハビリmemo

疼痛が適応するメカニズムは割愛させていただきますが、以前だと痛みを感じる範囲でもストレッチを継続することで痛みに慣れ可動域が向上すると推測されています。

この疼痛適応の研究では、少し痛い程度(10段階で評価すれば4前後)で疼痛適応(痛みが弱まったと感じる)がみられ、強すぎる刺激は反対に痛みを強めると報告されています。

これを腰痛の痛み緩和に応用すると、痛みを感じる部分に対して少し痛みを感じる程度のストレッチが有効と言えます。

ただし、急性の場合(ぎっくり腰のように痛めて数日)は組織損傷がみられる可能性もあるため、痛い部分をストレッチさせることは止めましょう。

腰痛改善のためにストレッチ

カイロプラクティック心では、身体のバランス(骨盤の後傾、腰椎の過前弯、回内足など)に合わせてその人にあったバランス改善を目的としたストレッチを指導していますが、ここでは先に解説した「副交感神経の活性化」「疼痛変化」を目的にしたストレッチです。

そのため、ストレッチのフォームには拘らず、筋肉が伸びていることを感じていただき、ストレッチ後の爽快感を実感していただければ十分です。

太もも裏ストレッチ

腰を曲げることが痛ければ、上の写真のようにつま先をスネにつける方向に動かすと太もも裏がストレッチされやすくなります。腰を曲げられるようであれば、下の写真のように腰のストレッチも合わせて行います。

太もも前ストレッチ

手を着く位置を変えたり、背中を床につけたりすることでストレッチの強度を調整できます。

太もも内側ストレッチ

あぐらをかくように座り、両側の足裏を合わせて膝を左右に開きます。

お尻(ふともも付け根)ストレッチ

膝の上に足首を置いて、胸元に足首を近づけていきます。

腰横辺りストレッチ

腹部横より少し後面がストレッチされるように、真横ではなく斜め前方に身体を倒していきます。

腰全体のストレッチ

正座をした状態から身体を前に倒して腰を丸めます。踵からお尻を浮かしたり、足の甲を床につけた状態で踵にお尻をつけたりすることでストレッチの強度を調整できます。

副交感神経が促進されるよう座ってリラックスした状態で行えるものをご紹介しました。ストレッチ後に腰の痛みが悪化していないか確認しながら行いましょう。 腰の痛みが悪化するストレッチは中止してください。

目的に合わせたストレッチで腰痛改善

ストレッチは、目的によってフォーム、行う時間、回数、頻度などが変ります。

ここで紹介した腰痛改善のストレッチにおいては回数や頻度などにこだわらず、リラックス目的で行うことが大切です。また、少し痛みを感じる程度のストレッチを習慣化することで、慢性的な腰痛にも効果が期待できます。

しかし、根本的な問題を解決しているワケではないため、痛みに変化がなかったり、再発を繰り返したりする人は専門機関の相談して、もう一歩踏み込んだ腰痛改善を行いましょう。

カイロプラクティック心でも腰痛改善に対応しておりますので、ストレッチで解消されない腰痛はご相談ください。

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