S&Cコーチである河森氏が書かれた
「試合の終盤で足が止まってしまうから、さらに走り込もう」という考え方が単純すぎる理由
というブログ記事を読ませていただきました。
ちなみにS&Cコーチの河森氏は、アスリート専門にケガのしづらい身体づくりとパフォーマンス向上を高めるトレーニング指導をされている専門家です。
この記事は、ぜひスポーツ選手だけではなく指導者、親御さんにも読んでいただきたいと思い、まずご紹介させていただきます。
この記事では、私の臨床経験と考えを元に試合終盤で足が動かなくなる原因について書いています。
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試合終盤で足が動かなくなる原因をしっかり考えよう
河森氏がブログで言及しているように、試合終盤に脚が動かなくなるからといって、走り込みを開始したり、走り込み量を増やしたりしても多くのケースで問題解決になりません。
また、走り込むだけではなくウエイトをつけて日常生活を送ったり、ウエイトベストを着て練習をしたりしても同様のことが言えます。
では、なぜこのような走り込むことに問題解決の糸口がないか考えていきましょう。
走り込みで得られるものは?
走り込みと言っても「1時間超を一定のペース走る」「50~100mダッシュをインターバル走で行う」など目的によって色々な方法がありますが、基本的には心肺機能を上げることが一番の目的にしていることが多いです。
他の効果としては、筋肉の持久力アップ、長時間動き続けたり瞬発的な動きを繰り返すことに対する慣れなどが考えられます。
このように走り込みも色々なメリットはありますが、「試合終盤で足が動かなくなる」と考える選手のほとんどは、このような練習を十分に行ってきていることが多いです。
そして、心肺機能を上げる練習は、走り込み以外でも可能であり、筋持久力や瞬発力も他のトレーニングを組み合わせたほうが効果的です。
それにも関わらず、限られた貴重な時間を走り込みだけに使うことは非効率ではないでしょうか。
試合終盤で脚が動かなくなる原因は
河森氏は「筋力」「技術」「戦略」の3つの要素について詳しく解説しており、この要素についてはブログの方をお読みください。
ここでは治療家の目線で、考えられる足が動かなくなる原因について書いてきます。
バランス機能の低下
サブスリーのランナーの方で30㎞付近で、右足だけでが重くなるというご相談をいただいたことがあります。
結論から言えば、このランナーの問題は、極端に右側の片足立ちのバランスが悪かったことです。
チェック内容をもう少し詳しく説明すると左側で片足立ちをした場合は、ほとんどバランスを崩すことがなく、右側で立つと直ぐに身体がグラグラし始め、片足立ちが維持できません。
片足で立てないということは、右側の着地から蹴るまでの地面との接地時に余分な力を使ってバランスをとっている可能性が考えられます。
そのため、片足でも立てるように施術、エクササイズを指導したことで右足が重くなる現象が解消されました。
このような問題は、ランナーに限ったことではありません。
あらゆるスポーツでは、ストップ動作、切り返し動作、ジャンプ動作などを片足で行うことが多いです。
このとき、しっかりと身体を安定させることができずバランスを崩しやすければ、無駄な力を入れて次の動作に移ることになります。
これが積み重なると足は疲労しやすくなり、試合終盤で足が動かなくなります。
バランス機能を改善するには?
アスリートが、バランスボールやムービングディスクに乗って、トレーニングを行う姿を目にすることがあります。
しかし、不安定な場所でトレーニングを行うことで、バランス機能が改善するとは言えません。
人のバランス機能を構成する要素として、主に以下の機能があります。
- 感覚器(体性感覚、前庭系、視覚など)
- 筋骨格系(関節の可動域、筋機能など)
- 小脳
このようにバランス機能は、色々な器官や脳が相互作用しています。
そのため、バランス機能を向上させるためには色々な要素を考慮する必要があり、その人の問題点に沿った手法が必要です。
詳しくはこちらもご参考ください。
呼吸が浅い
スポーツ選手に限らず、呼吸が浅くなっていることで疲れやすかったり、息が上がりやすくなったりすることがあります。
呼吸は当然ですが、心肺機能に影響します。
理想的な呼吸は「腹部の広がり」「肋骨下部の横への広がり」「肋骨上部の前後の広がり」がみられることです。
呼吸が上手くできなくなる原因は色々ありますが、姿勢が起因していることが多くみられます。
なぜなら、日本の姿勢教育が「背筋を伸ばせば良い姿勢」と勘違いしているため、日常生活から意識しすぎるほど悪循環に陥ります。
背筋を伸ばした姿勢は、すでに呼吸を吸い切った位置に肋骨部あり、そこから息を吸うと呼吸が浅くなります。
また、その位置からさらに酸素を取り込もうとすると気道を広げようとして顎を上げ頭部が前方に移動します。
この姿勢が猫背に見えるため、さらに背筋を伸ばすことを強要されると悪循環に陥り、呼吸が浅くなります。
姿勢については2本足で立つ以上、先に書いたバランス機能も関わり、中枢神経系(脳)のコントロールが必要不可欠です。
呼吸は日常的に口呼吸であると、デメリットしかありません。
呼吸について詳しくはこちらをご参考ください。
身体を部分的に使っている
試合終盤になると太ももの前側、後側、ふくらはぎが、試合のたびに重くなる選手もいます。
ケースによっては、筋力が足りないことや試合のペース配分の悪さなどに問題がみられることもありますが、なかには身体の一部分に負担をかけてしまっていることがあります。
そのため、部分的に疲労が始まり、最終的に脚全体が重くなってしまいます。
下肢においては、大殿筋が上手く使えていないことが多いです。
それが結果として大腿四頭筋(太ももの前側)ハムストリング(太ももの後ろ側)フクラハギに過剰な負荷がかかってしまいます。
この問題は、ウエイトトレーニングをしっかりと指導してもらうことで解消できますが、カイロプラクティックを含めた徒手療法を介したほうが早く問題が解決することもあります。
なぜなら、筋肉が協調して動いていなかったり、神経系の影響がみられたりするなど、それらの原因を解消したほうがよいケースもみられるためです。
走り込み以外にも必要なことがないか考えよう
時間は有限であり、スポーツ競技で勝つためには、自分にとって何が必要かを考えて取り組む必要があります。
もちろん、走り込みが必要な選手もいるため、絶対に走り込みが無駄ということではありません。
しかし、走り込みよりも必要な課題があれば、そちらを優先したほうが自身のレベルアップにつながると思いませんか。
ここでは「試合終盤に脚が重くなる」を例にいくつかの原因を上げてありますが、他の課題に対しても同じです。
例えば、Aという課題が見つかったとしたら、BではなくCが必要かもしれませんし、BとCを平行したほうが良いかもしれません。
課題に対して的確な答えがみつけられるよう、思考を働かせる訓練もしてみてください。
ちなみに、カイロプラクティック心は身体面からの問題(呼吸やバランスの悪さなど)から課題解決をサポートすることができます。
色々と考えて練習しているけど、「思うように身体が使えない」「なかなか技術が習得できない」などがみられれば、身体面の問題を先に解決したほうが良いケースがあるかもしれません。
スポーツのパフォーマンスを上げたい方は、ぜひご相談ください。
投稿者プロフィール

- カイロプラクター
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伊勢市小俣町でカイロプラクターをしています。
病院では異常が見当たらず、どこに行っても良くならなかった方が体調を回復できるようサポートします。
機能神経学をベースに中枢神経の可塑性を利用したアプローチで発達障害、自律神経症状、不定愁訴にも対応しています。
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