国立病院機構栃木医療センター内科の駒ヶ嶺順平氏は「内科入院の約10%は薬物有害事象が原因で、そのうち3分の2は回避可能性があることが分かった」と日本薬理学会で報告しました。
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研究内容
〇入院1,545例(患者1,358人)が解析対象
・患者の年齢の中央値は79歳(女性の割合が47.9%)
・薬の服用数の中央値は5錠
結果
〇薬物有害事象(ADR)について
急性内科疾患による1,545の入院のうち153がADRによるものと判断されました。
したがって、急性疾患によるすべての入院のうち、ADRによる入院の割合は9.9%(95%CI 8.4%〜11.4%)
ADRにより入院した153人の患者のうち、11人(7.2%)が退院前に死亡した。
〇薬物有害事象となった薬物
有害事象の原因であると判断された205の薬物のうち、200の薬物がADRによる153の入院に寄与すると判断されました。
入院につながる薬剤の最も一般的なカテゴリは、心血管薬(46人:23.0%)抗血栓薬(n33人:16.5%)、向精神薬(29人:14.5%)、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)(24人:12.0%)の順です。
これら4つのカテゴリーの薬剤は、入院につながるすべてのADRの約3分の2を占めています。
〇予防可能と考えられる薬物有害事象
ADRによる153人の入院のうち、102人(66.7%)は予防可能と判断されました。
入院につながるADRに関係する200の薬物のうち、137(68.5%)が予防可能と判断されました。
これらの薬物のうち心血管系( 28人:20.4%)向精神薬(28人:20.4%)でNSAID(21人:15.3%)は、入院につながる予防可能なADRの半分以上を占めています。
考察
急性疾患による入院の約10%がADRに起因することを示す過去の研究と一致しています。
海外の研究と異なる点は、抗神経薬のベンゾジアゼピンと漢方薬(ハーブ薬)の使用料が多いことです。
日本におけるベンゾジアゼピンの消費は、他の国よりも高いと報告され、この研究ではベンゾジアゼピンの摂取量が多いほど、抗精神薬による入院率が高くなる可能性があります。
これは日本におけるベンゾジアゼピン使用のパターンと適切性の調査が必要であることを示唆しています。
3人(7.9%)が漢方薬のADRと報告しています。
これは医師によってハーブ薬が処方されることが多い日本特有のものである可能性があります。
カイロプラクティック心の所感
薬物療法は必要ですが、適切に服用しないと10人に1人は入院する可能性があるということです。
そして、入院するだけではなく1%弱の患者は亡くなられています。(ADRと死亡原因との関連性は不明)
非ステロイド性抗炎症薬(NASID)は、ロキソニン、ボルダレン、アスピリンなど市販薬としても販売されているため、安易に服用するのは止めましょう。
とくに服薬中の人は医師に必ず相談してください。
日本は海外に比べ安易に、抗神経薬を処方する傾向があり、その結果がADRにもつながったと考えられます。
医師側の対応も大切ですが、患者側も薬には副作用もあることを認識して、医師としっかりとコミュニケーションをとって適切な服薬を心掛けていくことが重要と考えられます。
投稿者プロフィール
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伊勢市小俣町でカイロプラクターをしています。
病院では異常が見当たらず、どこに行っても良くならなかった方が体調を回復できるようサポートします。
機能神経学をベースに中枢神経の可塑性を利用したアプローチで発達障害、自律神経症状、不定愁訴にも対応しています。
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