美容鍼は、フェイスラインの引き上げ、アンチエイジング(目元のシワ、ほうれい線、目の下のクマなどの改善)肌のコンディショニングなどの目的で用いられます。
しかし、誰もがこのような美容効果が得られるのでしょうか。
美容鍼に興味があるけど客観的に効果あるのか知りたい、美容に鍼灸を取り入れようか迷っている人向けに、美容鍼の効果について検証された論文をご紹介します。
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美容鍼を効果を検証した研究報告
40〜59歳の女性27名が5回の顔の美容鍼(最初の2週間は週に2回、最後の週は週に1回)を受けました。
※1名は美容鍼後の痛みのため初回で中止
客観的指標を測定するため、デジタルカメラIxus750(Canon、東京、日本)で写真を撮り、1人の評価者が印刷されたデジタル画像の頬と口周囲領域の近くの等高線を読み取り、モアレトポグラフィー基準に基づいて画像に等級を付けました。
皮膚の弾力性に関する患者自身の自己評価スケールも使用されています。
研究結果
12名は変化を示さず、15名は改善がみられました。
顔の弾力性の自己評価については、美容鍼の前後で統計学的な優位な差はみらませんでした。(顔の弾力性が改善したと評価はされています)
有事事象
鍼をさした部位に軽いあざはみられましたが、瘢痕化、神経損傷はなく、回復に長期間要する有事事象はみられませんでした。
この研究でわかること
研究に参加した人数は少ないですが、55%は客観的な画像評価で改善がみられました。
ある程度の安全性も確認できたため、美容鍼を行うメリットはありそうです。
批判的な考察
この研究報告には、問題点もあります。
画像評価は検出できないものもあり、評価者の判断に大きく依存するとされています。そのため、患者自身の評価スケールでは統計的な有意差も現れなかった可能性もあります。
評価方法についても美容鍼前後の基準がわからないため、画像撮影前の「表情」「顔に触れて一時的に凹む」「浮腫み」など鍼以外の影響である可能性もあります。
そして、一番気になる部分としては、効果の持続時間については全く解っていません。
批判も含めた研究報告のまとめ
短期的には顔の変化はみられますが、皮膚の弾力性について変化した自覚はほとんどありません。
そして、長期的な美容鍼の効果があるかは不明
番外編(医師の美容鍼の評価)
美容診療を行っている医師が、ブログで美容鍼について書いております。
美容鍼による小顔効果は全くないわけではないけど、持続時間に問題あり、という結論になります。そのために当院のような美容クリニックではウルトラVリフトやネオVリフトという持続性がある治療方法を取り入れているのです。あるいは輪郭注射という方法も鍼とは全く関係ない治療法を小顔を実現するために行っています。
五本木クリニック:美容鍼で小顔に!!効果と理論が全く意味不明?!真面目な鍼灸師さんもいるのに残念。ニセ医学はここまで来ている。
タイトルにあるように西洋医学の考えでは、美容鍼の効果と理論は説明ができないとしています。
そもそも、顔の形は頭蓋骨によって形成されており、大きな変化は望めません。そのため、美容鍼ではありませんが、小顔矯正が根拠のない誇大広告であるとし、消費者庁より注意勧告を受けたお店が複数あります。
肌のアンチエイジングとしては、美容鍼が線維芽細胞を刺激することによって肌のターンオーバーを促進させて若返らせるという理論もあるようです。
ただ、線維芽細胞を刺激する方法として電気やサプリメントなどの論文はありますが、鍼での有効性は現在のところ見当たりません。
まとめ
美容鍼に興味があり、頻繁に通うことが可能であれば、1つのアンチエイジングの方法として有効と言えます。
頻繁に通うことができず、効果の持続性を重要視するようであれば、美容鍼はおすすめしません。
美容鍼に限ったことではありませんが、日頃の食生活、十分な睡眠、運動といった基本的なことを蔑ろにすれば、いかなる美容方法も効果的ではなくなります。
個人的には、まず生活基盤を整えることが美容の第一歩と考えます。
投稿者プロフィール
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伊勢市小俣町でカイロプラクターをしています。
病院では異常が見当たらず、どこに行っても良くならなかった方が体調を回復できるようサポートします。
機能神経学をベースに中枢神経の可塑性を利用したアプローチで発達障害、自律神経症状、不定愁訴にも対応しています。
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