慢性的な不調(疲労感、頭痛、肩や背中のコリ感など)の原因は多岐に渡りますが、機能性低血糖が関わっていることもあります。
機能性低血糖は、慢性的な不調で病院を受診しても見逃されているケースも少なくありません。
それによって原因不明の不調に悩み、色々な病院や治療院に通っても改善されず、悪循環に陥ります。
カイロプラクティック心では、機能性低血糖が疑われる場合において食事の見直しを提案させていただき、適切な栄養サポートによって慢性的な不調が改善されているケースもあります。
ここでは機能性低血糖の原因や食事による対処法などを解説していきます。
パッと読みたい人は見出しをクリック
機能性低血糖とは
機能性低血糖は、血糖値変動が正常範囲内を保つことができない状態であり、それに伴い様々な不調がみられます。
血糖は血液中を流れるブドウ糖のことを指し、脳や体を働かせるための重要なエネルギー源です。
また、血液中の血糖は多すぎても少なすぎても体調に悪影響を及ぼすため、「インスリン」「グルカゴン」などのホルモンによって血糖値の変動を必要最小限に抑えて、一定の範囲内でコントロールされています。
しかし、何らかの原因によって血糖のコントロールが損なわれると血糖値スパイクと呼ばれる血糖値の乱高下がみられるようになります。
そして、血糖値の急降下により約70mg/dL以下になると交感神経症状(不安感、脈が速くなるなど)がみられ、さらに約50mg/dL以下になると中枢神経系症状(集中力低下、生あくびなど)がみられます。
このような反応は糖尿病でもみられるため、食後の眠気や倦怠感などがみられる場合は、病院を受診することは大切です。
ただ、糖尿病と診断されない場合は「異常なし」と判断されることも多く、原因のわからない不調に悩ませることも少なくありません。
機能性低血糖の症状
機能性低血糖の症状は先にも解説したように交感神経症状および中枢神経系症状を引き起こすため、いろいろな症状がみられます。
臨床的には「自律神経失調症」「起立性調節障害」「パニック障害」などと診断されているクライアントでみられる症状とよく似ています。
- 食直後または数時間後の眠気(耐えられない程度)
- 眼の不調や頭痛
- 感情の不安定(不安感、イライラ、爆発的な怒りなど)
- 動悸や冷や汗
- 息苦しさ
- 睡眠障害(寝つきわるい、夜中に何度も起きる・朝起きられない)
- 倦怠感
- 起床時の身体症状(頭痛、肩こり、背中の張り感、腰痛など)
- ブレインフォグ(集中力、記憶力の低下など)
診断
一般的に「2時間糖負荷試験」が行われますが、糖尿病の検査であるため、機能性低血糖では異常がみられないようです。
機能性低血糖の知見がある病院では「5時間糖負荷試験」で判断されます。
機能性低血糖がみられる場合は、糖質を摂取することで一気に血糖値が上昇し、数時間後に急激に血糖が下降し低血糖状態が観察されます。
最近では一般の方でも手に入る24時間グルコースモニタリング検査キットもあり、2週間程度の生活をモニタリングしていくことで日常的な低血糖の有無を観察することも可能です。
治療方法
機能性低血糖に効果のある薬はなく、食事療法が主となります。
ただ、低血糖の原因や期間などによって行うべき食事療法は異なり、栄養においては個人差も大きく一人ひとりの体調や食事の反応によって調整することが重要です。
機能性低血糖を引き起こす原因
機能性低血糖がみられる大きな原因としては、食生活および生活習慣の2つです。
食生活の乱れは疾患のリスクを高め、病的な状態(病院で疾患の診断をうける状態)でなくとも内臓の機能には悪影響を及ぼしているため、糖質をエネルギーに変換したり、食べた食材を上手く消化できないなどの問題が生じた結果が機能性低血糖となります。
また、生活習慣も消化吸収、エネルギー変換などに関わり、運動不足は内臓機能にも悪影響を及ぼします。
これらの原因をさらに細かくみていくと糖質や脂質の過剰摂取、欠食が多い、腸内環境の悪化などがみられます。
糖質や脂質の過剰摂取
糖質や脂質は3大栄養素でもあるため、必要不可欠な栄養素です。
しかし、機能性低血糖がみられるケースでは精製された糖質(お菓子、スイーツ、清涼飲料水などの嗜好品)を多く摂取し、食物繊維の含まれる炭水化物の摂取が少ないことがあります。
そうなると糖質の吸収は早まり急激に血糖値が上昇しやすく、このような食習慣が続くと血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌量にも異常が生じて急激に血糖値を下げてしまう現象が引き起こされます。
これが結果として低血糖を引き起こす原因となります。
また、揚げ物、炒め物など脂っこい食事が多くなるとブドウ糖の貯蔵、脂質や糖質の代謝などを行う肝機能に問題が生じやすく、機能性低血糖に起因していることがあります。
アルコール摂取時には肝機能は解毒作用を働かせるため、血糖が下がってもブドウ糖を生成する機能が下がります。
そのため、飲酒の翌日に頭痛やだるさなどがみられるのは低血糖が引き起こしているケースもあります。
欠食が多い
朝食を食べない、不規則な生活で3食を食べたり食べなかったりの生活などは、機能性低血糖を引き起こしやすくなります。
まず欠食することにより、エネルギーが枯渇した状態が続くと血糖値を維持するために血糖を上昇させるホルモンが分泌され、筋肉の分解や肝臓に貯蔵されているグリコーゲンを利用して血糖値を高めようとします。
その状態から食事を摂取すると血糖値も上昇しやすく、それを抑えようとするインスリンも過剰に分泌され今度は急激に血糖値が下がります。
このようなことが習慣的になると機能性低血糖の症状を引き起こしやすくなります。
腸内環境の悪化
日常的に便秘や下痢がみられる人は、腸内環境に問題が生じています。
腸内環境に問題があると炎症がみられることも多く、炎症によって腸管から分泌されるインクレチンが上手く働きません。
インクレチンは、血糖値を下げるホルモンを調整しますが、上手く働かなくなることで過剰なインスリン分泌を招き、低血糖を引き起こします。
消化機能の低下
腸内環境の悪化の要因になりますが、胃の消化機能が低下することで腸への負担が大きくなり、結果として腸の炎症を引き起こします。
下痢が多いケースでは、消化機能の低下も考える必要があります。
低血糖が慢性的な不調を起こす理由
低血糖状態はエネルギーが枯渇し、体は生命の危機を感じ始めます。
そのため、副腎皮質からコルチゾールが分泌されて糖新生や脂肪分解など引き起こして血糖値の上昇、エネルギーの供給が行われます。
コルチゾールの分泌は交感神経支配でもあるため、コルチゾールの分泌に伴い交感神経も活動的になります。
このようなことから、低血糖が日常的にであると交感神経も過活動となり、結果として自律神経のバランスも乱れて自律神経失調症と呼ばれる多様な症状がみられるようになります。
副腎疲労
低血糖状態が継続すると絶えずコルチゾールが分泌されるため、副腎皮質も正常に機能しなくなります。
そうなると副腎疲労を起点とした低血糖症状となり、特徴として低血圧、精神症状などもみられるケースがあります。
低血糖が長期化している場合は、副腎疲労も疑う必要もあります。
腸内環境の問題
腸と脳は相互作用していることが複数の論文で報告されており、精神疾患や神経症状など腸内環境の改善を目的とした介入が行われることも少なくありません。
腸と脳の関係性はこちら記事をご参考ください
そのため、低血糖の症状でもありますが、腸内環境の問題を起因とした症状である可能性もあります。
このようなケースでは血糖の安定だけではなく、腸内環境の改善も重要となります。
カイロプラクティック心の機能性低血糖 対処法
初期の機能性低血糖は、基本的な食生活の見直しが重要です。
カイロプラクティック心は栄養コンシェルジュ®2つ星を取得しており、食生活の見直しをサポートいたします。
もちろん、急激に食習慣を変えることは難しく、できる範囲から食生活の見直しを提案させていただきます。
また、血液検査の結果に基づき、食事アドバイスもさせていただくことも可能です。
ただ、腸内環境の悪化、消化機能の低下、副腎疲労などがみられる場合は、基本的な食生活の見直しだけではなく段階的に食生活をサポートしていく必要があります。
腸内環境の悪化の食事サポート
腸内環境を見直す場合、一般的に善玉菌の摂取(ヨーグルト、納豆など)を増やしたり、食物繊維(きのこ、海藻類など)を摂取したりすることが認知されています。
しかし、食物繊維にも水溶性と不溶性があり、便秘症状で不溶性食物繊維を摂取すると悪化してしまいます。
また、下痢を引き起こしている状態で水溶性食物線の摂取も症状が悪化します。
腸内環境を改善させるためには、現状を把握して段階的に腸内環境を改善させる食材を摂取していく必要があります。
基本的にはまず余分な精製された糖質と脂っこい食品を減らして、腸内の悪玉菌が過剰に増えないようすることが重要です。
その後に善玉菌の豊富な食品と食物繊維を摂取し、必要に応じて抗菌作用のある食品(ハーブ、ブロススープなど)を一人ひとりの状態や個人差に合わせていきます。
腸内環境の改善とカイロプラクティック
カイロプラクティック心では、内臓マニュピレーションというテクニックを行います。
また、回盲弁症候群と呼ばれる腸の問題と考えられるアプローチ方法もあり、腸の問題と考えられる症状において有効性がみられます。
内臓系に問題があると、腹部の緊張も強く軽く押すだけでも痛みを感じることが多いです。
そのため、圧痛を確認し痛みの軽減する方向、体勢で押圧していくことで緊張が緩み腹部に痛みも消失もしくは軽減します。
このような状態を維持していくことで、腸も正常に活動しやすいと考えられ、食事サポートを効果的に行えます。
副腎疲労の食事サポート
副腎疲労がみられる場合は、ビタミンC、ミネラル(マグネシウム、亜鉛など)が不足しているケースがあります。
また、オメガ3脂肪酸も積極的に摂取したほうが良いです。
これらは食事で摂取することが望ましいですが、副腎疲労がみられる場合は食事量自体が多く摂取できないことも多く、サプリメントを利用するほうが効果的です。
※サプリメントは販売しておりませんので、高額な商品を勧めることもありません。
副腎疲労とカイロプラクティック
副腎から分泌されるホルモンは、中枢神経系(HPA軸:視床下部ー下垂体ー副腎皮質)がコントロールしています。
カイロプラクティック心では、頭蓋療法によってアプローチすることがあります。
ソフトなタッチの頭蓋療法は、何度か行うことで寝てしまうクライアントもおり、交感神経が過活動している副腎疲労では副交感神経を優位に働かせる効果も考えられます。
また、反射点を利用したアプローチにより、副腎機能の問題にも対処していきます。
感覚エクササイズ&運動サポート
腸内環境の改善は食事だけではなく、運動(1回30分を週3回:有酸素運動)の有効性も研究で報告されています。
また、低血糖でみられる糖代謝の問題も運動が重要です。
そのため、運動ができるクライアントには有酸素運動も進めています。
個人的な見解でもありますが、有酸素運動は中枢神経系(脳)の好影響を与えストレス耐性も向上するため、ストレスに左右されやすい低血糖でみられる症状には有効と考えています。
ただ、低血糖症状が慢性化しているケースにおいて中枢神経系の問題も生じていることがほとんどであり、運動が困難なケースもあります。
このようなケースでは、自律神経系のコントロールもできるよう中枢神経系の活性化を目的とした感覚エクササイズを行います。
感覚エクササイズは激しいものではなく、呼吸、寝た状態での簡単なエクササイズなどから行い、立位の運動に移行できるよう段階的にサポートしていきます。
感覚エクササイズについて詳しくはこちら
カイロプラクティック心では、栄養のみのご相談も受付けております。
投稿者プロフィール
-
伊勢市小俣町でカイロプラクターをしています。
病院では異常が見当たらず、どこに行っても良くならなかった方が体調を回復できるようサポートします。
機能神経学をベースに中枢神経の可塑性を利用したアプローチで発達障害、自律神経症状、不定愁訴にも対応しています。
最新の投稿
- 栄養2024年12月3日過敏性腸症候群
- 発達障害2024年11月1日発達障害の個性を活かすための早期介入の重要性
- 発達障害2024年10月2日ADHDの苦手を解決する運動効果
- 栄養2024年9月23日糖尿病に対する食事と運動の重要性
この記事へのコメントはありません。