糖尿病および肥満は、多くの疾患の危険因子にも挙げられています。
また、糖尿病は慢性的な痛み、組織修復の遅延など一般的に考えられているよりも厄介な疾患ではないでしょうか?
糖尿病にもいくつかの種類はありますが、生活習慣が原因と考えられる2型糖尿病は、食事の見直しや運動によって症状が改善される可能性があります。
実際、私の叔父も酒やタバコを辞め、カロリー計算した食事を作るなどした結果、糖尿病の診断が無くなりました。
個人的な見解として2型糖尿病の方のなかには危機感もなく生活習慣を見直さないことが多く、しびれや痛みの原因になっている可能性があることも知らないように感じます。
そのため、カイロプラクティック心でも糖尿病の方にはリスクをお伝えして、筋骨格系の症状であっても食事や運動の見直しも症状改善には有効であることをお伝えしています。
ここでは、糖尿病のリスクおよび食の見直し、運動の有効性などを解説していますので、糖尿病の方だけではなく肥満の方もぜひお読みください。
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糖尿病とは
糖尿病は、血液中の血糖を下げるインスリンホルモンの問題によって引き起こされる、不適切な血糖上昇がみられます。
糖尿病の種類は主に以下のとおりです。
- 1型糖尿病
- 2型糖尿病
- 妊娠糖尿病
- 特定の原因によるその他の糖尿病(他の疾患や薬の副作用、遺伝子異常など)
妊娠糖尿病は、胎盤から分泌されるホルモンの影響によって食後に血糖値が急上昇しやすくなり、出産後には血糖値の急上昇はみられなくなることが一般的です。
ただ、将来的に糖尿病を発症しやすいとされています。
1型糖尿病と2型糖尿病では、原因がが大きく異なるため、それぞれの症状や治療法があります。
1型糖尿病
1型糖尿病は、自己免疫性の膵臓にあるβ細胞破壊が原因で、インスリンの欠乏もしくは極端な生産性の低下がみられます。
自己免疫性のβ細胞破壊の原因は、完全には解明されていませんが、感受性遺伝子、自己抗原などが考えられています。
また、ウイルス感染や食事(ビタミンD不足、乳製品の摂取など)も関連づけられています。
一般的に小児または青年期に発症(年齢は4~6歳、10~14歳でピークを迎え、小児の約45%は10歳までに発症)することが多く、まれに成人になってから発症(ウイルスが関連することもあります)するケースもあります。
症状
1型糖尿病は急性発症型が多く、症状が突然現れることが特徴的であり、主な症状は以下のとおりです。
- 喉の浮腫
- 多飲
- 多尿
- 急激な体重減少
- 疲労感
- 意識障害
これらの症状以外にも糖尿病性ケトアシドーシスを引き起こすことがあり、悪心、嘔吐、脳浮腫、昏睡、および死亡に進展する恐れがあります。
治療方法
1型糖尿病はインスリンを生産する組織が破壊されているため、インスリンを体内に打ち込むインスリン療法が行われます。
インスリン注射の打ち方は、毎食30分前から食直前に速効型あるいは超速効型を1日3回、さらに1日1回どのタイミングでも作用が平坦な持効型溶解インスリンを1日1回注射する方法が一般的だそうです。
インスリン療法を継続しながら食事療法や運動療法を組み合わせていくことで、糖尿病患者ではない人と同じような生活が送れます。
2型糖尿病
2型糖尿病は、インスリン抵抗性(インスリンが十分な働きをしない状態)によって、血糖値が急上昇しています。
また、加齢に伴い糖尿病のリスクが高まり65歳以上の成人では最大3分の1に耐糖能異常がみられとされています。(最近では小児、高校生などの若年層でもみられることがあります)
インスリン抵抗性がみられる原因は完全に解明されていませんが、肥満および体重増加は決定因子とされています。
そのため、肥満であると小児および青年期でも発症リスクがあります。
症状
2型糖尿病はゆっくりと症状が進行し、初期段階では自覚症状がみられないことが多いです。
主な症状は以下のとおりです。
- 傷の治りが悪い
- 疲れ
- 肌の乾燥
- 目かすみ
- 手足の感覚が鈍る
- 尿量が多い
- 多飲
- のどが重い
治療方法
1型糖尿病との違いは、インスリン療法や経口薬ではなく食事療法と運動療法が基本となります。
これらが上手くいかないケースにおいて、経口薬や注射で血糖コントロールを行っていきます。
合併症
糖尿病は、高血糖による血管障害により、複数の合併症を引き起こすことがあります。
主な合併症は以下のとおりです。
- 糖尿病性網膜症(失明のリスク)
- 糖尿病性腎症(慢性腎臓病の主要な原因となる)
- 糖尿病性神経障害
- 糖尿病性心筋症(心不全の原因となる)
- 感染症(免疫系細胞に悪影響を及ぼすため、感染しやすくなる)
- 非アルコール性脂肪性肝疾患(2型糖尿病の併存疾患)
- 足の合併症(皮膚変化、潰瘍形成、壊疽など)
- 筋骨格系疾患(手根管症候群、デュピュイトラン拘縮、癒着性関節炎など一般に人より多くみられる傾向がある)
- 抑うつ
- 認知症
神経障害においては障害される領域によっては、しびれや痛みだけではなく眼瞼下垂、複視、起立性低血圧、運動耐容能低下、安静時頻脈、嚥下困難など多様な症状がみられます。
このようなことから、糖尿病では合併症を引き起こす兆候がないか、スクリーニング検査を行っていくことも大切です。
糖尿病と慢性疼痛の関連性
1003名を調査した研究では、糖尿病/糖尿病前症患者は慢性疼痛の有病率が有意に高かったことが示されました。
また、糖尿病前症および非糖尿病患者と比較すると、糖尿病患者では下肢痛 (11.1%)、背部痛 (8.9%)、腹痛 (6.7%)、および頸部痛 (4.4%) の有病率がより高かったです 。
糖尿病患者が慢性疼痛を訴えやすい理由として、異常なコラーゲン沈着による関節周囲結合組織の構造マトリックスと機械的特性の変化に関連付けられています。
また、血液循環も変化していることも結合組織に影響を及ぼしていると考えられています。
もう少し分かりやすく説明すると、結合組織は日本で筋膜として馴染みのある組織です。
その組織の変化により伸張性がなくなった状態といえ、血液循環も変化が生じることでみずみずしさのない固い組織をイメージしてもらうとわかりやすいのではないでしょうか?
このように結合組織が固くなると、関節を動かす複数の筋肉が協調して動かず、結果として関節運動に異常がみられることで、関節周辺の組織にもダメージが蓄積されます。
また、結合組織には侵害受容器(痛みを脳に伝える神経)も含まれており、このような状態になると痛みを感じる閾値も低下するため、痛みを感じやすくなります。
糖尿病ではこれらの組織変化が起きやすく、足や腰、首などに痛みを訴えやすいと考えられます。
カイロプラクティックで痛みが改善される?
結合組織の問題だけに焦点を絞ると、カイロプラクティックのような徒手療法でも痛みの改善は可能です。
しかし、根底に糖尿病による組織変化が起因しているため時間を要するケースも多く、短期間で効果を感じずにドクターショッピングのように色々なところを巡ってしまうと悪循環に陥り、症状が改善されない可能性があります。
根本的には糖尿病による結合組織への悪影響でもあるため、食習慣の改善や運動習慣を取り入れることが大切となります。
また、肥満体型であると骨格的にも部分的な負荷がかかりやすくなります。
例えば、お腹周りが大きくなると立位ではのけ反るような姿勢となるため、腰椎に過伸展(反り腰)のストレスが日常化します。
また、脂肪の多さによる関節の可動域制限がみられれば、隣接する関節に負担がかかります。(股関節に十分な可動域がなければ腰痛や膝痛をおこしやすくなります)
脂肪に起因した関節可動域を改善させることは不可能であり、結果として症状が繰り返される可能性があります。
肥満と自律神経との関連性
体重の調整に自律神経は重要な役割(内臓の状態をモニタリングして脳に伝え、その情報をもとに体を適切に機能させるため)を果たし、肥満になると慢性的に交感神経活動が増加傾向となります。
それが結果として臓器の障害や高血圧を促し、明らかな心血管疾患につながる可能性があります。
交感神経の過活動は、睡眠障害、息苦しさ、動悸、痛みの誘発などの症状がみられます。
また、これらの問題は病院の検査で問題が見当たらず、自律神経失調症とされるケースも少なくありません。
このようなことから、とくに肥満体型の糖尿病患者では交感神経の過活動による症状がみられる可能性があります。
参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34068919/
糖尿病と腸内細菌叢
健康な人に比べて2型糖尿病患者では、短鎖脂肪酸産生細菌が減少しているということが複数の研究で一致しています。
短鎖脂肪酸は腸内で生成され、以下のような働きがあります。
- 肥満防止
- 食欲抑制
- 腸内環境の改善
- 便通をよくする
- 免疫機能の強化
- 基礎代謝の向上
短鎖脂肪酸の生細菌が減少するだけではなく、低度炎症(インスリン抵抗性の原因)がみられます。
また、マウス実験ではありますが、プレバイオティクス(ビフィズス菌のレベルが上昇)により、内毒素血症、炎症、酸化ストレスが減少、さらにはビフィズス菌擬似カテヌラタムの補給により、炎症が軽減し、インスリン感受性と血糖調節が改善した研究報告があります。
腸と脳の相互作用は、多くの研究で示唆されており、腸内環境の悪化は慢性的な疲労、自律神経症状、ブレインフォグなどの認知機能の低下との関連も示唆されています。
腸と脳の相互関係についてはこちらをご参考ください。
肥満を伴う2型糖尿病患者はあらゆるリスクを伴う
ここまで解説してきたように、肥満を伴う2型糖尿病はあらゆる症状を引き起こす可能性があります。
臨床的にも病院では原因が特定されずにご相談をうけるケースもあり、糖尿病のリスクについてお話させていただくことも少なくありません。
もちろん、カイロプラクティック施術でも痛みやしびれは改善されます。
しかし、糖尿病でみられる生理的な変化によって施術回数が多くなったり、再発を繰り返すことも多いです。
最近では30、40代と比較的若い方でも糖尿病と診断されているケースもあり、まだまだ続く人生を考えると食事や運動も含めてより根本的な問題を解決していくほうが良いと考えています。
2型糖尿病の食事見直しのススメ
肥満を伴うことの多い2型糖尿病は食事療法が重要となるため、研究も多く行われています。
2型糖尿病のリスクを低下させる食事は以下のとおりです。
- 全粒穀物、ナッツ、豆類、野菜を多く含む食事
- ビタミンDの補給
- オリーブオイル、植物性脂肪(菜種油、大豆油など)やリノール酸などの必須脂肪酸の摂取
- 食事によるマグネシウムの摂取
肥満体型の2型糖尿病予備軍においては、これらの食生活を取り入れていくことが重要であり、2型糖尿病患者もこれらを意識した食生活に変更することが大切になります。
実際に肥満体型、糖尿病患者では、精製された炭水化物(砂糖を多く使用した食品、白米、小麦粉)を総カロリーの70%超、加工された肉や赤肉、清涼飲料水を多く摂取している傾向があります。
また、食物繊維の摂取量も少ないです(食事の初めに摂取することで血糖の急上昇を防ぎ、腸内環境を整える作用がある)
2型糖尿病の食事療法
研究では、低炭水化物ダイエット、極低炭水化物ダイエット、地中海式ダイエット、マクロビオティックダイエットなどは全て2型糖尿病には有効性が示されています。
しかし、食の好み、極端な食事制限などがみられるため、短期的かつ速やかに効果はみられますが、長期的な継続が難しい食事パターンもあり、長期的で健康的な食生活を継続するために、個人の好みと通常の摂取量とより一致する主要栄養素の分布で食事計画を個別化することが重要とされています。
長期的に好結果がみられた以下の研究があります。
最近2型糖尿病と診断された過体重/肥満患者5145人が含まれ、集中的な生活習慣介入群(総脂肪と飽和脂肪を減らし、運動量を増やした1日1200~1800kcalの食事を続けることで7%以上の体重減少を達成することを目標とする)と現在の標準治療を4年間受ける群に無作為に割り付けられた。その結果、介入群では対照群と比較して、有意に大きな体重減少(−6.15%対−0.88%、p < 0.0001)、HbA1c(−0.36%対0.09%、p< 0.0001)およびその他の心臓代謝パラメータの改善、および糖尿病寛解患者の割合の増加(4年後に7.3%対2.0%)が認められた
長期的に継続できない食事ではリバウンドする可能性も高いため、個別で継続できる範囲で減量を進めていくことが重要と考えられます。
食事で注意すべきポイント
食事量に注意がいきがちですが、食事の内容を考えることがとても大切です。
仮に減量できる食事量を1500Kcalとした場合、お菓子やスイーツ、揚げ物の食事で構成しても体調を崩すリスクも高く、減量もスムーズに行えません。
まずは何を食べることが健康に良く、どのような栄養バランスで総カロリーを構成するべきかを知る必要があります。
栄養バランス
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)で記している栄養バランス(たんぱく質、脂質、炭水化物(アルコールを含む)とそれらの構成成分が総エネルギー摂取量に占めるべき割合)は以下のとおりです。
- たんぱく質 13~20%
- 脂質 20~30%(飽和脂肪酸は7%以下とする)
- 炭水化物 50~65%
欧米人と比べて日本人は糖質をエネルギーに変換しやすい体質であることから、炭水化物の摂取量は多めに設定されています。
他にもミネラル、ビタミンの栄養素も摂取する必要はありますが、エネルギーにはならないことから、総カロリーの内訳には含まれません。
食材の選び方【まごわやさしい】
【まごわやさしい】は、食材の頭文字をとった言葉で、ダイエット中だけではなく健康を維持するために有効なたんぱく質、食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれている食材です。
- ま⇒豆類(大豆製品)
- ごま⇒種実類(ナッツ、ごま)
- わかめ⇒海藻類(わかめ、昆布など)
- やさい⇒野菜類(緑黄色野菜、淡色野菜など)
- さかな⇒肉類(魚、鶏、牛、豚)
- しいたけ⇒キノコ類(マイタケ、えのきなど)
- イモ類⇒(さつまいも、かぼちゃなど)
まごわやさしいに、主食を加えて食事を構成していくことが健康的な食事の第一歩です。
基本的には主食(炭水化物:ごはん、麺類、パン、イモ類など)主菜(たんぱく質+脂質:肉類)副菜(ミネラル、ビタミン+食物繊維)を1食で摂ることが大切となります。
菓子類、清涼飲料水などは総カロリーの10%以下
菓子類、清涼飲料水には甘味料や砂糖が多く含まれており、急激な血糖上昇をもたらすため、総カロリーの10%以下程度に控えていくことが推奨されています。
もちろん、完全に食べないことほうがダイエットも進みやすく健康的です。
しかし、友人との会食やこどもとのおやつ時間、個人的な趣味嗜好で食べる機会も多いため、控えつつお菓子を食べることも長期的な食事計画には大切です。
ただ、個人的にチートデーには反対です。
理由は無理に食事制限をして、チートデーにこれらの食材を多量に摂取する習慣は心理的に無理が生じている可能性があるからです。
太らない生活習慣を手に入れれば、チートデーを設けなくても日常的におやつを楽しむことはできます。
主食は低GI食品
主食となる炭水化物は、血糖値の上昇が抑えやすい低GI食品が推奨されています。
低GI食品は、玄米、全粒粉のパンおよびパスタ、オートミルなどがあります。
ただ、馴染みがなく食べにくいと感じる人もいます。
そのような場合は、白米に食物繊維を多く含むもち麦や大麦を混ぜることで血糖の上昇を抑えることができます。
また、野菜、キノコ類など食物繊維が豊富な食品を最初に食べることでも血糖の上昇を抑えることができます。
低GI食品が苦手という方は、食物繊維を最初に食べること大切です。
脂質の摂り方には注意
脂質にはいくつかの種類があり、摂り過ぎに注意すべき脂質もあります。
脂質は大きく飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸 、多価不飽和脂肪酸 、トランス脂肪酸 に分類されます。
飽和脂肪酸は、赤身肉、乳製品(牛乳、チーズ、バターなど)ココナッツミルクなどであり、総カロリーに7%未満が理想です。
また、トランス脂肪酸(マーガリン、ファーストフード食品、一部の牛乳、肉類など)は総カロリーの1%未満とされています。
これらの脂肪酸は血管への悪影響が研究で報告されており、血管障害を引き起こすリスクの高い糖尿病では控えることが重要です。
ただ、脂質も細胞膜やホルモンなどの材料となるため、摂取していくことが大切であり、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸を中心に摂取していくことが推奨されています。
脂質は肉類とセットとなるため、魚を中心に牛、豚、鶏を適度に摂取していくことでこれらの脂質を摂取しやすくなります。
また、調理油も酸化してしまうと身体に悪影響を及ぼすため、熱に強いオリーブオイルを調理に使うと良いです。
1日3食以上
1日の食事を3食以上に分けることが大切です。
その理由の一つは、血糖値を安定させる必要があるからです。
空腹時間が長くなりすぎると、体内に蓄えてある糖質も枯渇し、体は餓死しないように脂質を溜め込む反応を示します。
そのため、意外かもしれませんが1日1~2食でもダイエットが上手くいかないケースが多くあります。
また、食材をエネルギーや体内の組織変換するための代謝量には上限があるため、それを超えた食事量は脂質に変換されるだけです。
そのため、1日1食で1800Kcalとった場合は代謝量の上限を上回るため、代謝されない栄養素は脂肪として蓄えられていきます。
2型糖尿病の運動の重要性
座りがちな生活と2型糖尿病は非常に強く関連しており、1,331,468人の参加者のデータを取り入れた最近のメタアナリシスでは、座位時間やテレビ視聴時間の増加に伴い、全死亡率および心血管疾患(CVD)による死亡率と2型糖尿病の発症リスクが上昇することが示されました(参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29589226/))
米国糖尿病協会(ADA)の最新のガイドラインでは、定期的な身体活動(週200~300分)が推奨されています。
運動の内容としては、中等度から激しい(最大心拍数の65~90%)有酸素運動トレーニングにより心拍出量が改善され、2型糖尿病患者の心血管疾患および全死亡リスクが有意に減少することが報告されています。(参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22868663/
継続する運動が大事
運動が健康に良いことは、誰もが知る事実です。
ただ、遺伝的に人は、休息できるときは休息したいという欲求があるため、ジムに入会したとしても続かないそうです。
そのため、工夫や習慣化が必要となります。
一つの例としては、強制的に運動を生活の一部に組み込むことです。
例えば、仕事が終わったらジムに直行、起床したら着替えてランニングもしくはウォーキングなど気持ちに左右されず、自分の行動原則にします。
これは、どちらかと言えば元から運動が好きな人にはお勧めです。
運動が嫌いな人は、まずストレスにならない程度の運動(家の周りを1分でも歩く、仕事の合間にスクワットを10回など)をテレビや仕事の合間などの隙間時間に行っていくことです。
毎日行った成功体験が、次の運動につながります。
糖尿病に有効な運動は?
まず運動習慣を身につけることが大切です。
運動が継続できるようになれば、推奨される運動時間、運動の種類などを取り入れていくことで効果的に健康を手に入れることができます。
有酸素運動
定期的な有酸素運動トレーニングは2型糖尿病の成人の血糖値を改善し、逸脱した高血糖も減少します。
また、HBA1Cが0.5〜0.7%減少することが確認されています。
有酸素運動の種類は個人の好みで良いですが、最低週150~300分の中程度の運動、または75~150分の激しい運動が推奨されています。
中程度は最大心拍の50~70%(軽く息がきれる程度)激しい運動とされる高強度は最大心拍の80~90%とされています。
ウォーキングであれば、毎日25分くらい軽く息が切れる程度の早歩きすることが目標となります。
もちろん、継続すれば心拍機能も上がるため、ペースを上げたり、ランニングに移行する、ジムでバイクに乗るなど変化をさせていく必要はあります。
レジスタンストレーニング
レジスタンストレーニングは、筋力、骨密度、血圧、骨格筋量、インスリン感受性の10~15%の改善が見込まれます。
最近のメタアナリシス(複数の研究結果を統合して、ある課題が特定の疾患と関係性を解析する手法)では、2型糖尿病の成人における全体的な血糖管理とインスリンレベルの減衰には、高強度トレーニングが低~中強度トレーニングよりも有益であることが示唆されています。
※1RMの50%~69%で中程度、1RMの70%~85%で高強度(100㎏を1回持ち上げることができる人が50~69㎏の重量でトレーニングを行うと中程度)
レジスタンストレーニングは8~10種類の種目(1~3セット)を週2~3回行います。
また、回数は個人差により異なりますが、中程度では15~30回、高強度では6~15回が目安になります。
以前は高強度のトレーニングによって筋量が増量すると言われていましたが、最近では中程度でも疲労困憊のレベルまで追い込めば筋量が増量することが研究で報告されています。
レジスタンストレーニングも重量を徐々に増やし、時間があればセット数を増やしながら、強度を調整していくことも大切です。
有酸素運動とレジスタンストレーニングの組み合わせ
有酸素運動のみ、もしくはレジスタンストレーニングのみでも効果はありますが、両方を運動を組み合わせていくことでHbA1Cをより大きく低下させる可能性があることが研究で示されています。
ここまで解説してきたとおり、それぞれ良さがあるため、時間にとれるのであれば両方の運動を行っていくことは有効です。
ただ、無理に行う必要はなく継続できるレベルから開始していくことが大事です。
高強度インターバルトレーニング(HIIT)
1回のHIITセッション(最大心拍数約90%で10×60秒サイクリング)は、2型糖尿病の成人の食後高血糖を軽減したことが研究で報告されています。
HITTは、一般的に最大心拍数75〜95%の間で10秒〜4分間行われる有酸素トレーニングと12秒〜5分の休憩繰り返すインターバルトレーニングです。
HIITの注意点としては、朝の空腹時には血糖値が急上昇する可能性があり、強度の高いトレーニングでもあるため、体調管理が重要となります。
※高強度であるため、筋骨格系の損傷に起因を引き起こすリスクも報告されています。(健康であっても高強度ほどケガのリスクは高まります)
運動のタイミング
運動を行う時間帯の研究も複数あります。
全体的に、ほとんどの研究で食後の運動は急性血糖値の急上昇を緩和することで血糖コントロールを改善しています。
また、食後のエネルギー消費量が多いと運動の強度や種類に関係なく血糖値が下がり、運動時間が長い(45分以上)と最も一貫した効果が得られていました。
午前と午後の違いを観察した研究では、HIITは午後の方が血糖値の減少がみられましたが、他の研究では午前と午後の違いがみられませんでした。
一般的に脂肪を燃焼させるために空腹時に有酸素運動を行うほうが良いと考えられがちですが、エネルギー不足により筋肉が分解されるリスクもあり、ケースによっては血糖値が急上昇する可能性があります。
このようなことから、昼食後(食べてから45分~2時間程度)の運動が最も効果的である可能性があります。
運動の効果
長期的な運動の参加は、すべての年齢層の人々のうつ病および不安の症状を大幅に軽減することが示されています。
そのため、2型糖尿病による生活の質の低下、うつ症状などの心理的な健康面の改善につながることが考えられます。
2 型糖尿病は、注意力や集中力、視覚および言語記憶、処理速度、実行機能の低下など、認知機能障害に関連していますが、最近のメタアナリシスでは運動が実行機能と記憶力に小さいながらも中等度の好ましい効果があることが示唆されています。
運動は脳機能や心理面の健康に対しても大きなメリットがあります。
カイロプラクティック心の糖尿病サポート
ここまで解説してきたように、痛みやしびれは筋骨格系が原因ではなく糖尿病に起因していることも多いです。
また、代謝の問題が生じている糖尿病では組織の損傷も修復が長引くため、カイロプラクティックの施術を受けたとしても症状の改善に時間がかかるケースも少なくありません。
さらに一時的な痛みの緩和は可能ですが、数ヶ月単位で症状を軽減するためには、やはり食事や運動を継続していくことが大切と考えています。
カイロプラクティック心は、栄養コンシェルジュ®2つ星の栄養資格を保持しているため、栄養サポートをさせていただきます。
糖尿病と診断された方は病院で指導されていると思いますが、上手く進んでいないケースも少なくありません。
カイロプラクティック心では、食事毎の食事記録を写真で確認させていただき、習慣化できるまでアドバイスさせていただきます。
初回カウンセリングは無料となるため、ご相談ください。
パーソナルトレーニング
オンラインのパーソナルトレーニングで運動をサポートします。
ここまで運動の効果も解説してきましたが、日々の仕事や運動に割ける時間は一人ひとり違うため、「運動不足はわかっているけど、どのように始めてよいかわからない」という方が多いのではないでしょうか?
また、習慣化できていない段階では運動を挫折することも多く、パーソナルトレーニングという形で強制的に運動する環境を作っていくことで継続的な運動習慣も身につけやすくなります。
カイロプラクティック心は、スポーツ選手が多く来院する治療院で経験を積んでおり、トレーニング指導も行っています。
オンラインで行うパーソナルトレーニングは、自重トレーニングが中心となるため、運動初心者にはおすすめです。
最適なトレーニングフォーム、回数、セット数などを指導し、有酸素運動の方法もアドバイスいたします。
また、ケガのリスクを最小限におさえるため、呼吸トレーニング、身体操作のトレーニングも行い、運動が継続できる体作りをサポートいたします。
栄養サポートと合わせてパーソナルトレーニングでのトレーニング指導も可能なため、初回カウンセリング時にご相談ください。
※パーソナルトレーニングのみも可能(無料で体験可能です)
カイロプラクティック
体に痛みがある場合は糖尿病の影響もありますが、カイロプラクティック施術によって一時的でも痛みを軽減させて運動を継続できるようサポートいたします。
また、痛みだけではなく関節可動域の改善、筋肉の機能低下の改善などのカイロプラクティックアプローチによって体を動かしやすく、ケガのリスクを最小限に抑えることも可能です。
さらには内臓マニュピレーションなどによって、内臓機能の向上もあり、食事サポートも効率的に行える可能性もあります。
習慣を変えて健康を取り戻そう
食習慣、運動習慣を見直していくことで、健康を取り戻すことは可能です。
ただ、一人で始めるケースでは挫折する方も多いため、カイロプラクティック心にサポートさせていただければと思います。
理想的には3ヶ月で習慣化していただき、サポートを終了してご自身で管理できるようになってもらえると嬉しいです。
もちろん、「もう少しサポートしてほしい」という方には、サポートを継続させていただきます。
カイロプラクティック心は糖尿病(とくに2型糖尿病)の健康増進に向けてトータルサポートいたしますので、ぜひご相談ください。
参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35029593/
投稿者プロフィール
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伊勢市小俣町でカイロプラクターをしています。
病院では異常が見当たらず、どこに行っても良くならなかった方が体調を回復できるようサポートします。
機能神経学をベースに中枢神経の可塑性を利用したアプローチで発達障害、自律神経症状、不定愁訴にも対応しています。
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