コロナウイルスの影響でマスクだけではなく、アルコールも手に入りにくくなってきました。
そこで、次亜塩素酸ナトリウム液がコロナウイルスの消毒に有効であるとされ、色々なところで作り方が紹介されています。
ただ、次亜塩素酸ナトリウム液の作り方の濃度に違いがみられたり、アルコールが効果なく次亜塩素酸ナトリウム液が効果あるという信ぴょう性に欠ける情報も多々みられます。
ここでは、消毒の有効性、次亜塩素酸ナトリウムの有効性などサイエンスベースで解説させていただきます。
次亜塩素酸ナトリウム液を作りたい、次亜塩素酸の使い方を知りたい人はぜひ続きをお読みください。
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コロナウイルスにアルコール消毒と石鹸が有効な理由
ウイルスは、エンベロープ(脂質性の膜)のあるエンベロープウイルスと、エンベロープのないノンエンベロープウイルスに分けることができます。
エンベローブウイルスは、インフルエンザ、ヘルペスウイルスであり、アルコール消毒に対する抵抗性がないとされています。
コロナウイルスは、エンベローブウイルスであることが解っているため、アルコール消毒が有効。
ちなみにノンエンベローブウイルスは、身近なところではノロウイルス、ロタウイルスであり、アルコール消毒に対する抵抗性が高く(ロタウイルスでは30秒間アルコールと接触させる必要があるそうです)アルコール消毒が難しいです。
そのため、胃腸炎では後で解説する次亜塩素酸ナトリウム液を作り、消毒することが勧められています。
石鹸のウイルス消毒メカニズム
石鹸や洗剤などの主成分である界面活性剤は、臨海ミセル濃度に達すると、分子がたくさん集まり集合体(ミセル)をつくり、それがウイルスを皮膚から剥がし、エンベローブを壊してウイルスを不活性化させるそうです。
※臨海ミセル濃度以上になると泡立つため、泡立てて洗うことが重要なポイントになります。
次亜塩素酸ナトリウム液のウイルスへの有効性
次亜塩素酸ナトリウム液は、酸化力によってエンベローブの有無に関係なくウイルス除去の効果があります。
次亜塩素酸ナトリウム液の原液である塩素系漂白剤はさらに除菌効果があると考える人もいるかもしれませんが、水溶液中で次亜塩素酸の形を維持し、強い酸化力を発揮するため、原液では殺菌効果は小さいです。
次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水の違い
最近はメーカーから次亜塩素水が販売され、次亜塩素酸ナトリウムと混同されているようですが、全くの別物です。
次亜塩素酸水は、化学的な物質名ではなく、塩化物イオンを電気分解して有効塩素を作る装置から得られた水です。
次亜塩素酸ナトリウムがアルカリ性に対して次亜塩素酸水は酸性から中性であるため、手荒れになる可能性が少ないとされています。また、殺菌力もあり、新型コロナウイルスの除菌効果があるとされています。
しかし、次亜塩素酸水の成分がメーカーによって違い、成分表記を注意して購入する必要があります。
使用方法もアルコールとは違い、対象物をヒタヒタにした状態まで20秒以上濡らし、その後キレイに布もしくはペーパーで拭く必要があります。
最近は、お店で次亜塩素酸水による空間除菌や噴霧装置が設置してあるところもありますが、空間除菌の有効性は認められておらず、噴霧装置は人体への悪影響を及ぼす可能性もあるため、注意が必要です。
また、次亜塩素酸水は手指の消毒においても有効性は認められていません。
次亜塩素酸水については詳しくはこちらをご参考ください⇒「次亜塩素酸水」を使って モノのウイルス対策をする場合の 注意事項:厚生労働省・経済産業省・消費庁
次亜塩素酸ナトリウム液を作る前の注意点
次亜塩素酸ナトリウム液は、塩素系漂白剤等を希釈して作りますが、取り扱いを間違えると先に解説したとおり効果がなくなるだけではなく、健康を害することもあるため注意する必要があります。
酸性の洗剤と混ぜない
塩素系漂白剤は、強い酸性の物質と混ざると猛毒の塩素ガスが発生します。
塩素ガスは、鼻がツーンとする刺激臭がし、それを吸い込むと呼吸器・眼・口腔などの組織を破壊する作用があり、最悪のケースはは急性呼吸窮迫症候群(ARDS)で死に至ることもあるため、塩素系漂白剤の使用は注意が必要です。
酸性の洗剤はもちろんのこと「クエン酸」「アルコール」「酢」「食塩」なども塩素ガスを発生させます。
やりがちな危険な行為
酸性の洗剤を使用後に洗い流したつもりでも洗剤が残っていることがあり、そこに塩素系の漂白剤が混じってしまうと塩素ガスが発生します。
また、トイレ用洗剤は酸性の物が多く、トイレを次亜塩素酸ナトリウム液を使用して消毒する場合は、十分な換気を行いましょう。(トイレ以外も換気はしっかりしたほうが良いです)
濃度は適切に
濃度が高いほうが効果があると勘違いされる人もいますが、濃度が高すぎると人体への影響や金属部分に使用したときに腐食につながります。
とくに濃度の高い次亜塩素酸ナトリウム液を霧吹きしてしまうと、空気中に塩素が漂うことにもなりそれを吸ってしまうと呼吸器系の障害がおこります。
汚れはふき取ってから
汚れ(有機物)が残った状態であると殺菌効果が弱まります。
テーブル、服など汚れる可能性のあるものに次亜塩素酸ナトリウム液を使用する場合は、まず汚れを落としてから使用しましょう。
繰り返し利用は極力しない
希釈した次亜塩素酸ナトリウム液は時間の経過とともに殺菌効果が低下するため、なるべく使い切るようにしましょう。
どうしても保管する場合は、直射日光の当たらず、こどもの手が届かない場所にしてください。
次亜塩素酸ナトリウム液の作り方
市販されている次亜塩素酸ナトリウム商品によって塩素濃度が違うため、商品の表記を確認する必要があります。
ここでは、5~6%の塩素濃度の商品(市販されている主流の濃度)での作り方をご紹介します。
コロナウイルス消毒の次亜塩素酸ナトリウム液は、濃度0.05%に薄めた希釈液を作ります。
濃度5%の次亜塩素酸ナトリウム液であれば、100倍に薄めたものが濃度0.05%となります。
1リットルの希釈水を作る場合は10mlの原液を1Lのペットボトルに入れて、残りを水で満たせば出来上がりです。
ちなみに乳児のいるご家庭にミルトンが常備されていることが多いと思いますが、ミルトンは濃度1%であるため25倍程度薄めれば0.05%濃度の次亜塩素酸ナトリウム液が作れます。
濃度の上限は0.1%
次亜塩素酸ナトリウム液は、ノロウイルス、ロタウイルスなどアルコール消毒が有効ではないケースに活用されることがご家庭では多いです。
糞便、嘔吐物の処理でも0.1%の濃度の次亜塩素酸ナトリウム液で十分なため、ミルトンであっても10倍以上は薄める必要があります。
それ以上は濃度が高すぎるため、健康を害する可能性もあることを理解して作りましょう。
参考文献
危険な次亜塩素酸ナトリウムと適切な消毒:大 谷 修
投稿者プロフィール

- カイロプラクター
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伊勢市小俣町でカイロプラクターをしています。
病院では異常が見当たらず、どこに行っても良くならなかった方が体調を回復できるようサポートします。
機能神経学をベースに中枢神経の可塑性を利用したアプローチで発達障害、自律神経症状、不定愁訴にも対応しています。
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