腰痛、肩こりなどが酷くなると「マッサージ」を探す人がいます。
しかし、マッサージがどのようなものなのか正確に説明できる人は少ないです。
また、整体やカイロプラクティックをマッサージと混同している人もいます。
マッサージやカイロプラクティックについては、多くの研究がされており症状緩和の科学的根拠が報告されています。
しかし、リラクゼーションサロンでは独自の手法で施術していることも多く、症状を悪化させてしまうこともあります。
このようなことがなぜ起こってしまうのでしょうか。
ここでは、マッサージについて詳しく解説すると共に、カイロプラクティックとの違いについて書いていきます。
カイロプラクティックの基本的な情報はこちらをご参考ください。
パッと読みたい人は見出しをクリック
マッサージとは
Wikipediaでは、マッサージを以下のように解説しています。
皮膚に求心的に施術することにより主に静脈系血液循環の改善やリンパ循環の改善を目的にした手技療法である。マッサージは、フランスで生まれた手技療法(仏: massage、マサージュ)を指すが、同様の効果を得られるものとしてタイ式や朝鮮式のマッサージ(アンマ(안마)と呼ばれるものは除く)も便宜的に「マッサージ」と呼ばれる。
引用元:Wikipedia
マッサージはフランスで生まれたと書いてありますが、起源をたどると歴史は古く、古代ギリシャの有名な医師・ヒポクラテスも使っていたと言われています。
日本のマッサージの歴史をみると、明治に入った頃に陸軍軍医がフランスでマッサージの手技と理論を習得して日本に持ち帰えったそうです。
それ以降は医療マッサージとして導入され、直接皮膚に刺激を与えることによって、血液やリンパの循環を良くして疾患の改善に役立てられています。
マッサージの種類
マッサージはフランスで医療として研究され始め、ヨーロッパ各地に広がりました。
また、マッサージの歴史をさかのぼると中国、インド、エジプトなど世界各国に文献が残されています。
このような背景から、マッサージは以下のようにいくつかの種類に分類することができます。
- スウェーデン式マッサージ
- タイ式マッサージ
- アーユルヴェーダ(インド)
- ロミロミ(ハワイ式マッサージ)
- バリ式マッサージ
- スポーツマッサージ
スポーツマッサージは、スウェーデン式マッサージに深部組織へのアプローチを加えたものとされています。
施術は、揉捏(じゅうねつ)、円を描くような強擦(きょうさつ)、振せん、叩打、軽擦、圧迫などが用いられます。
マッサージの基本的なコンセプトとしては、末梢から心臓へ向かって循環の改善を図ります。
日本のマッサージ
日本は法律によって、あん摩マッサージ指圧師免許もしくは医師免許(共に国家資格)がなければ、マッサージを業を行うことができません。
そのため、リラクゼーションサロンでは法令順守の観点からマッサージと言う言葉は使わず、「揉みほぐし」という言葉が使われるようになりました。
医療的に保険が適用される場合は、医師の同意書が必要であり、もちろんあん摩マッサージ指圧師の国家資格者の施術所でのマッサージに限られます。
あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師は、国家資格です。
あん摩は、「押す・もむ・さする・なでる・たたく」といった手技療法で、マッサージとの違いは心臓から遠ざかるように施術することです。
指圧は、押しこむ圧迫法が独自に発展したとされ、指を使った様々な技法があります。
あん摩マッサージ指圧師の技法は、心臓に近いほど血管は太く、その部分に問題があればマッサージのように末端から施術しても効果的ではないという理由があります。しかし、血液およびリンパ循環を改善させる目的に違いはありません。
マッサージ効果のエビテンス(科学的根拠)
マッサージは、科学的に効果が示されています。
- 2008年に発表された系統的レビューと、 2011年にNCCIHから助成を受けた臨床試験により、マッサージは慢性腰痛に効果がある可能性があると結論されました。
- 2009年にNCCIHが助成した臨床試験により、マッサージは慢性頸部痛に効果がある可能性があると報告されました。
- 2012年のNCCIHが助成した研究によると、マッサージは膝の変形性関節症の痛みに効果がある可能性があります。
- うつ、がんやHIV/AIDS患者の生活の質を改善する可能性があるという科学的証拠があります。
科学的な検証では、継続的に効果を得るためにマッサージを定期的に受け続けることが必要であることも示唆されています。
他の研究では、スポーツ後の筋肉痛および疲労軽減にはマッサージが効果的と報告されています。
〇参考文献
Dupuy, O., Douzi, W., Theurot, D., Bosquet, L., & Dugué, B. (2018). An Evidence-Based Approach for Choosing Post-exercise Recovery Techniques to Reduce Markers of Muscle Damage, Soreness, Fatigue, and Inflammation: A Systematic Review With Meta-Analysis. Frontiers in Physiology, 9, 403.
マッサージの手法は?
スポーツ後のマッサージ効果は、主にスウェーデン式マッサージでみられる軽擦法です。
好みによるかもしれませんが、日本人には強く揉まれることを好む人もいます。
しかし、強く揉まれないと気が済まない人は、筋肉の伸び縮みや張力を感じ取る固有受容器の機能が低下していることが考えられます。
そのため、強い刺激を好む(バキバキとしたり、強く押す)とされています。
固有受容器の低下は、スポーツ選手にはデメリットでしかありません。
日本でのマッサージを受けるデメリット
マッサージは、色々な効果がみられることが解っています。
また、熟練した専門家であれば副作用もなくほとんどリスクはないです。
このようなことから、腰痛、肩こりなど身体に不快感がある人は、マッサージを効果を実感できます。
しかし、日本ではリラクゼーションサロン、整体などとマッサージが混同している人が多く、熟練した専門家のマッサージを受けれるとは限りません。
また、広告規制の影響により熟練した専門家は大手のリラクゼーションサロンよりも宣伝量が少なく、立地のよいところで施術所を構えていないことも多いです。
ロミロミ、スポーツマッサージ、タイ式マッサージなどは、独自のライセンス、もしくは海外での習得によって看板が掲げられていることもあります。
そのため、日本の国家資格者ではありませんが、しっかりとした技術を提供している可能性があります。
しかし、医学知識に乏しかったり、数日から数週間の教育だけであったりするケースも多く、しっかりと情報を収集(資格はあるか?何年ぐらい開業しているか?友人からの口コミなど)したほうが良いでしょう。
スポーツにおけるマッサージのデメリット
スポーツの疲労回復(筋肉痛予防、疲労感)は、マッサージが効果的であるとされています。
しかし、スポーツ前のマッサージは、下肢の最大筋力、垂直ジャンプ、スプリントのパフォーマンスに対する長時間の受動的手動マッサージの悪影響を示しています。(参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6159489/)
テレビを見ていると、スポーツ選手が試合前に入念にマッサージを受けているシーンが映し出されることもあります。
ただ、科学的な根拠がないため、海外ではこのような光景はほとんどみられません。
しかし、試合前のルーティンにマッサージが組み込まれている場合は、心理面を考えると急に辞めてることでパフォーマンスに影響する可能性があります。
そのため、試合前にマッサージを受けたい場合は、ウォーミングアップ前のほうが良いでしょう。
マッサージとカイロプラクティックの違い
一般の人から見るとカイロプラクティックでも手技によっては、指で押したり、軽擦したりしているように感じることもあり、マッサージと表現されることがあります。
また、カイロプラクティックのお店によっては、初めにマッサージのように身体をほぐすようなところもあります。
このようなことから、マッサージとカイロプラクティックが混同されがちです。
カイロプラクティックは、哲学や提供する手技によって感じ方も違いますが、当院のコンセプトは「最小の刺激で最大の効果」であり、長時間揉んだり、摩ったりすることはありません。
カイロプラクティックの科学的根拠は以下のとおりです。
2010年に実施された種々の病態に対する徒手療法の科学的根拠に関するレビューによると、脊椎矯正(またはモビライゼーション)は、背部痛以外にも、偏頭痛や頚性(頚部に関連した)頭痛、頚部痛、四肢関節の症状やむち打ちによる障害などの数種類の病態に対しても効果が認められるようです。
カイロプラクティックもマッサージと同じように熟練した専門家によって効果を得ることができます。
また、法制化がされていないため熟練した専門家が少なく、しっかりと情報収集してからカイロプラクティックのお店を選ぶ必要があります。
カイロプラクティックの選び方はこちらをご参考ください
マッサージとカイロプラクティックを上手に利用しよう
マッサージ、カイロプラクティックともに熟練した専門家であれば、腰痛や肩こりなどの症状軽減につながります。
ただ、マッサージ、カイロプラクティックと名の付く全ての施術者が熟練した専門家ではありません。
むしろ、少ないと考えたほうが良いでしょう。
そのため、しっかりと情報を収集し、相性の合う専門家の施術を受けることをお勧めします。
利用の仕方としては、スポーツ後もしくは仕事や育児などの疲労感が強い場合は、マッサージが効果的と考えられます。
カイロプラクティックは、神経機能を高めたり、関節へのアプローチができるため、スポーツのパフォーマンスを上げたい、関節の問題があるケースは効果的です。
熟練した専門家であれば、どのような状況でマッサージやカイロプラクティックを受ければよいかアドバイスしてくれるため、わからない場合は相談してみましょう。
投稿者プロフィール
-
伊勢市小俣町でカイロプラクターをしています。
病院では異常が見当たらず、どこに行っても良くならなかった方が体調を回復できるようサポートします。
機能神経学をベースに中枢神経の可塑性を利用したアプローチで発達障害、自律神経症状、不定愁訴にも対応しています。
最新の投稿
- 発達障害2025年1月6日幼児期の発語の遅れに対する脳機能から考えるアプローチ
- むち打ち症2024年12月17日交通事故の高次脳機能障害でお困りの方へ
- 栄養2024年12月3日過敏性腸症候群
- 発達障害2024年11月1日発達障害の個性を活かすための早期介入の重要性
この記事へのコメントはありません。