肩こりは、肩がガチガチに固いことが原因ではありません。
そのため、肩がガチガチに固くなった人でも肩こりを感じていない人も多いです。
また、反対に肩が柔らかい人でも肩こりを感じます。このようなことから肩を揉んでも一時的にしか良くならず、揉めば揉むほど解消されることが難しくなります。
肩こりを解消するためには、肩こりの原因をみつけてあげることが大切です。
肩こりの原因、カイロプラクティック心の対処法を詳しく知りたい方は、こちらもご参考ください。
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右側の肩こりと首筋の張り感
50代 女性
〇主訴
以前は肩こりを感じていなかったが、ここ数年の間で肩こりが気になるようになり、最近では首筋まで張っている。また、首にはしこりのような固さを感じることがある。
〇既往歴:現病歴
乳がんの手術
右側の肋骨骨折
右肘の骨折
すべり症(坐骨神経痛が気になるときがある)
膝が曲がらないときがあった。
〇病院での診断
整形外科⇒異常なし
〇カイロプラクティック心の主な検査
- 姿勢分析
- 動作分析
- 触診
- 筋力テスト(NKT)
- カイロプラクティック検査(モーションパルペーション・AKなど)
〇所感
姿勢は、右肩が下がり、バランスをとるように頭部が左へ傾く。
この姿勢をみただけでも、肩こりを感じる部分は常にストレッチをされている状態と言える。
頭部を動かしてもらうと頭部の伸展(天井方向を向く)側屈(頭部を横に倒す)右回旋(右を向く)動作で頸部の痛みや肩の突っ張りを感じていた。
仙骨部分から姿勢を正すと頭部を動かしても痛みや突っ張り感が軽減する。
このことから、腰椎すべり症の代償として頸部に負担がかかっていることも肩こりや首筋の突っ張り感に関与していると推測される。
座った姿勢で身体を捻じってもらうと左右差がみられ、胸椎6,7番の背骨の動きに固さがみられた。
また、深呼吸をしてもらうと肋骨部の動きが少ない。
肋骨部の動きが減ると頸部周辺の筋肉を過剰に働かせ呼吸をするため、頸部への負担が大きく肩こりや首の痛みに繋がりやすい。
筋力テストを行うと右側の三角筋中部(肩の膨らむ部分)の弱化がみられた。
三角筋は腕を支える筋肉であるため、機能が低下していると僧帽筋(肩こりを感じる筋肉)への負荷が大きく腕を使う動作でとくに肩こりが悪化する可能性がある。
このような原因がいくつか絡むことで、肩こりを感じていると仮定して施術を行う。
〇カイロプラクティック心の施術
初回は、姿勢変化による肩こりの状態を観察するため、下肢を含めた筋骨格系の調整を行なった。
施術後は、頭部を動かした時の張り感が軽減された。後日、寝ている時に左側だけ脚が開いてしまうクセも無くなったと報告された。
2回目は、姿勢の改善はみられるものの肋骨の動きに制限はみられるため、胸郭の調整(横隔膜、手術痕のストレッチ)なども行う。
3回目には右肘の骨折と関連する前腕部の調整(深指屈筋、橈骨変位)の調整も行った。
4回目の施術時には当初の肩こり、首筋の痛みが10⇒5に軽減されていた。
施術方針は同じで6回の施術を行い、日常生活で肩こり、首筋の痛みを感じることがなくなった(1週間に1回の施術:1ヶ月半)それ以降は、気になった施術を受けるということで集中施術は終了。
それ以降は1~2ヶ月おきに以前ほどは気にならないレベルではあるが、施術をうけて体調を管理している。
〇カイロプラクティック心からのコメント
姿勢からみた肩こりの特徴として、筋肉が伸ばされた状態であることが多いです。
筋肉は伸ばされると縮もうとする生理的反射(伸張反射)があります。
そのため、少しの伸ばされる方向へのストレスでも伸張反射により筋肉が縮もうとして、疲れやすくなります。
また、筋肉は伸ばされながら力を発揮する伸張性収縮は筋肉へのダメージ大きいです。
このようなことから、肩こりを感じてしまうケースもあります。
そのため、その人にとって楽な姿勢をとれるように施術を行うだけでも肩こりが楽になります。
ただ、姿勢を良くしようと背筋を伸ばしても逆効果です。
意識するのは背筋を伸ばすことではなく楽な姿勢はどのような状態かを探すことが大切です。
今回のクライアントは、手術歴、外傷歴(骨折)も肩こりの原因と考えられます。
そのため、若い頃は肩こりを感じていなかったのではないでしょうか。
手術歴、外傷歴のある胸郭を調整することで肩こりの軽減がみられました。
手術歴、外傷歴は、すぐに身体に何らかの症状を現すこともありますが、何年か経った後に痛みやしびれを引き起こす原因になることもあります。
これは、手術痕や外傷部の動きの減少、神経刺激の減少、それに伴う代償性の動きが積み重なって数年後に痛みやしびれとして現れることが考えられます。
慢性的な肩こり
30代 女性
〇主訴
数年来の慢性的な肩こりを感じている。
〇既往歴:現病歴
卵巣嚢腫
〇病院での診断
整形外科⇒異常なし
〇カイロプラクティック心の主な検査
- 姿勢分析
- 動作分析
- 触診
- 筋力テスト(NKT)
- 原始反射
- カイロプラクティック検査(モーションパルペーション・AKなど)
〇所感
姿勢は平背で頭部前方移動(フラットバック)であり、肩に力入っているようにみえる。
フラットバックの特徴として上部交差症候群(首周辺の筋肉アンバランス)がみられる。
今力テストでチェックすると下部僧帽筋、前鋸筋の弱化がみられ、上部交差症候群に当てはまると考えられる。
とくに下部僧帽筋は両側が弱化していた。その問題としては胸腰部(胸椎12番の変位)がみられた。
胸部の問題と同時に仙腸関節(骨盤)の捻じれも生じやすい。
また、卵巣嚢腫がある側の腹部は緊張がみられた。腹部の緊張を緩める方が、背部にみられた緊張も緩み股関節の運動も楽に行えた。
そのため、仙腸関節よりも腹部の緊張を緩めた方が効果的と言える。
クライアントは立ち仕事のため、足関節の状態もチェックすると可動域の違いみられ、筋肉の緊張度の違いもみられた。足底反射、ガラント反射みるとガラント反射がみられたため、背骨の方から施術を始めていく。
〇カイロプラクティック心の施術
施術は、胸椎12番のカイロプラクティックアジャストメントを行い、腹部の緊張を緩和させた。
施術後は、頭部を動かした時の張り感は感じられない状態であった。
1週間に1回のペースで施術を行い、4回目には10⇒6くらいの軽減がみられた。
この頃にはガラント反射があまりみられなくなった。
ここからは足関節の調整を重点的に行うようにした。
8回目の施術には10⇒3くらいに軽減したため、施術間隔を空けていく。12回目の施術時には1ヶ月期間をあけてもひどい肩こりになることはなかった。
仕事は夜勤もあるため、1ヶ月に1回程度のペースでメンテナンス施術を継続した。
〇カイロプラクティック心からのコメント
肩こりを感じる人の典型的な姿勢ではありましたが、反射の影響や腹部の緊張が影響していた症例でした。
ガラント反射は脊髄反射であり、背骨の影響が大きいです。
そのため、背骨のカイロプラクティックアジャストメントを行い、背骨を刺激するホームエクササイズも指導しました。
ガラント反射は原始反射であり、大人であればコントロールできますが、脳疲労やストレスによりコントロールができなくなると原始反射がみられることがあります。
このようなことから、ストレスが強い仕事や脳疲労(栄養不足、酸素不足:呼吸が上手くできない)がみられると慢性的な肩こりになりやすい傾向があると考えられます。
このような傾向がみられる場合は、ホームケアや生活習慣の改善も必要です。
ただ、夜勤やストレスを強く感じる人などは施術も併用した方が、酷い状態にはなりにくいです。
そのため、1ヶ月に1回程度のメンテナンス施術も行いました。
3年前から気になりだした肩こり
40代 女性
〇主訴
3年前から肩こりが気になりだし、整形外科や整骨院で診てもらったが変化がみられない。
〇既往歴:現病歴
既往歴は特になし
現病歴は腰痛をたまに発症、過敏性腸症候群(整腸剤を処方)
〇病院での診断
整形外科⇒ストレートネック
牽引、電気などの物理療法、服薬(筋弛緩剤)などの治療を受けるが変化なし。
整骨院で電気治療、首周りのマッサージを受けるが変化なし。
〇カイロプラクティック心の主な検査
- 姿勢分析
- 動作分析
- 触診
- 筋力テスト(NKT)
- カイロプラクティック検査(モーションパルペーション・AKなど)
〇所感
足関節の回内足がみられ、外反母趾がある。
また、腰の傾きもあり、バランスをとるように首も傾く。
この時点で首周辺以外の代償性による姿勢変化に伴う首周りの負担が考えられる。
頭部を動かしてもらい肩周辺の変化を観察すると、どのように頭部を動かしても肩の張りを感じる。
カイロプラクティック検査で関節の動きを検査すると鎖骨、腰椎の可動制限がみられ、その動きを促すと肩の張り感が軽減された。
また、触診も含めてストレートネックのチェックを行うと伸展の動きはみられる(ストレートネックは頸椎の前湾が損なわれるため、伸展の動きが制限される)
そのため、姿勢の影響でストレートネックと診断されている可能性がある。
腹部の緊張もみられ、直腸付近の過緊張は強い。直腸付近の筋肉のテストを行うと大腰筋の弱化がみられた。
大腰筋は腰部、骨盤部に付着するため、現状の姿勢に影響していると感がれられる。
また、大腰筋の問題は大腸の影響を受けていると考えられる。
今回のケースは、肩周辺以外の問題により代償的に頸部や肩こりを感じている部分に負担がかかっている可能性が高い。
そのため、頸部の治療(牽引、電気、マッサージなど)で変化がみられない。代償的な問題として腸、腰椎、鎖骨などが考えられる。
〇カイロプラクティック心の施術
初回は、外反母趾、腰椎、鎖骨を含めた筋骨格系のアプローチで姿勢の影響による問題を優先して施術を行う。
施術後は、頭部を動かして楽になる。3回目の施術時には、肩こりが10⇒5まで軽減した。
大腸を含むマニュピレーションを行うと共に栄養指導も行い、腸の環境を改善させるアドバイス。
6回目の施術時には、仕事の疲労度によっては肩こりを感じることもあるが、以前ほどの肩こりはなく過ごせるようになったため、本人の希望により施術終了。
〇カイロプラクティック心からのコメント
整形外科で診断してもらうとストレートネックが肩こりの原因とされることも多いですが、レントゲンの撮影姿勢は(顎を引かせる)ストレートネックに見える姿勢のため、正直あまり参考になりません。
実際に頸椎だけの動きをみるとストレートネックではありませんでした。
※ストレートネックは病名ではなく、レントゲンで見た状態のことを指すため、肩こりの原因とは言えないです。
姿勢をみても足部から変化がみられ(外反母趾、回内足)その代償として頸部の傾きがみられると考えられます。
足部は身体の土台となるため、足部の問題は色々な症状を引き起こします。
このようなことから、カイロプラクティック心では肩こりであっても足部の状態にも注目して施術を行います。
また、クライアントは立ち仕事でもあるため、足部の安定期は大切です。
今回のケースでは、足部よりも大腸(過敏性腸症候群)の影響が大きいように考えられます。
大腸付近を通る大腰筋は、大腸の状態に影響し背骨にも付着するため、姿勢(頸部の代償性変化に関わる)にも影響します。
そのため、最初は姿勢改善を優先に行って症状が軽減し、大腸のマニュピレーションにより、さらに肩こりが軽減しました。(この時期は、整腸剤で排便も安定していたと報告もありました)
過敏性腸症候群は、ストレスの問題もあるため、カイロプラクティック施術や栄養指導だけでは改善が難しいケースでもあるため、病院での治療も併用したほうが良いです。
今回の症例では、肩こりであっても腸の影響をうけたケースであったため、首から肩周辺の治療では、肩こりの改善がみられなかったと考えられます。
投稿者プロフィール
![カイロプラクティック心](https://c-cocoro.com/wp-content/uploads/2018/06/192-e1530760916377.jpg)
- カイロプラクター
-
伊勢市小俣町でカイロプラクターをしています。
病院では異常が見当たらず、どこに行っても良くならなかった方が体調を回復できるようサポートします。
機能神経学をベースに中枢神経の可塑性を利用したアプローチで発達障害、自律神経症状、不定愁訴にも対応しています。
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